こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
スマートフォンが普及している現在、本格的なカメラを使った複雑な撮影が出来る人は少なくなってきています。
もちろん、ボタンを押すだけで簡単に綺麗な写真が撮れるほうがいいに決まっています。
しかし、現在のカメラの進化が凄まじいとはいえ、まだその域まで便利にはなっていません。環境に合った設定を自分で調整してやる必要があります。
初心者からしたら、この設定項目が本格的なカメラを扱う上での”壁”になってしまっています。
というわけで今回は、本格的なカメラを扱う上で必要な知識やその効果について解説していきます!
目次
絞り(F値)とは?
プロ撮影した写真でよくかける、”背景のボケ感”を出すときに使う設定が「絞り(F値)」です。アイリスと呼ばれることもあります。
※大抵のスマートフォンのレンズでは絞り(F値)は固定されており変更はできません。
絞り(F値)を理解するために、実際にカメラの「絞り優先モード」を使ってみるのが手っ取り早いです。
絞り優先モードは、カメラの機種によって表記が変わってきます。「A」や「Av」という表記で書かれていることが多いですね。※AはApertureの略
絞り優先モードを使うと「F値」の設定を調整することができるようになります。
F値(絞り)を変化させて撮影してみよう
絞り優先モードに設定にできたら、レンズの絞りの値「F値」の調整が出来るようになっていると思います。
カメラのダイアルを操作して「F2.8」とか「F7.0」とかに変えられます。
F値の数字を変えることによって「ピントがあっている深さ」を調整することができます。
こればっかりは、実際に撮影した写真を比べるとわかりやすいです。
というわけで、F値を「F3.0」で撮影した写真と、F値を「F20.0」で撮影した写真を並べてみました。
▲絞り F3.0で撮影 (前タイヤにピント合わせ)
▲絞り F20.0で撮影 (前タイヤにピント合わせ)
- F値が低い(F3.0)と、ピントを合わせた部分だけくっきり写り、周りはボケる
- F値が高い(F20.0)と、ピントを合わせた部分から離れているところもくっきり写る
という事がわかります。
このピントの合っている距離のことを「被写界深度」と言ったりします。
F値の数字が少ないと、ピントの合っている距離が浅くなり、F値の数字が多いとピントの合っている距離が深くなる。というわけです。
そして、絞り調整するにあたって一緒に覚えておかないといけないのが、F値を変更することでシャッター速度にも影響が出てくるという点です。
「絞り優先モード」でF値の数値を動かしたらわかると思いますが、F3.0からF20へ上げていくと、シャッター速度が遅くなったり、ISO値が上がったりしていきます。
原理の話をすると少し小難しくなってきますが、ようは、F値を上げるとレンズから入る光の総量が少なくなるため、より長い時間シャッターを開いておかないといけなくなる→シャッター速度の低下&ISO値上昇
- F値が低い→レンズの絞りの羽が開いて光の入る量が多くなり、シャッター速度は早くできる。
- F値が高い→レンズの絞りの羽が閉じで光が通れる穴が小さくなり、シャッター速度は遅くなる。
ぶっちゃけ、はじめは細かい理屈とかの理解はしなくてもいいです。
最近のデジタルカメラなら自動で調整してくれるので、「F値を上げるとシャッター速度も落ちるんだな」とだけ覚えておいてください。
他にも、絞り(F値)を高くしすぎると、ピントが合う深さは広くなるが、「回折現象」という解像感の劣化が起こったりもします。F値の上げすぎにも注意です。
シャッター速度とは?
F値の解説で「シャッター速度」というワードが何回か出てきましたね。シャッター速度というのはその名の通り「シャッターが開いている時間」のことです。
シャッターというのは、カメラのセンサーが光を取り込むときに開くシャッターのことを指します。普段は閉じていて、写真を撮る一瞬だけ開きます。
カメラでは、レンズから入った光をセンサーで受け取ることで写真を生成します。センサーに入る光は、シャッターの開け閉めの間隔を調整することで、光が入る量をコントロールし、適切な露出の写真になるわけです。
したがって、晴れた野外などの明るい環境だと、シャッターをほんの一瞬開けるだけでも、センサーに取り込む光が十分取れるため、シャッター速度は「1/1000 秒」とかになります。
逆に、室内などの暗い環境だと、光の量が不十分であり、シャッター速度は遅くなり「1/50 秒」や「1/20 秒」になるでしょう。
この「1/20」とかいう数値は、「 1/20 秒」の間だけシャッターが開くという意味です。20分の1秒だから0.05秒くらいでしょうか。
つまりこのシャッター速度で撮影した写真は、0.05秒に起こった世界を切り取っているということになります。
0.05秒間に被写体が動いたり、カメラ自体を動かしたりしたら、0.05秒分の動きが1枚の写真になるので、”ブレ”が発生してしまうわけです。
要するに、シャッター速度が遅いと手ブレが起き易くなり、シャッター速度が早いと手ブレが起きにくくなります。
私が手持ちで撮影するときは、手ブレが起きないように1/100くらいで固定されるような設定をすることが多いです。
ISO感度とは
「アイエスオー」、「イソ」、なんて呼ばれ方をしている「ISO感度」についてです。
ISO感度では、センサーが光を受ける「感度」を調整することができます。
簡単に説明すると、ISO感度を上げると、センサーが光を受け取る感度が良くなり、暗い環境でも明るい写真を撮れるようになります。
じゃあISO感度は高ければ高いほうがよくない?って話になりそうなんですが、実はISO感度を上げるデメリットもあります。
上の比較用写真を見比べると、ISO感度の高い写真のほうがガビガビの写真に仕上がっているのがわかりますでしょうか。
このようにISO感度を上げると、光を受け取る感度が上がる代わりに「ノイズ」が乗りやすくなります。
ガンプラ撮影では、できるだけノイズの少ない綺麗な写真を撮りたいので、ISO感度はできるだけ低めに設定したほうがいいですね。
ISOを下げると光を受け取る感度が弱くなり、シャッター速度が落ちるため、三脚を使った手ブレ対策は必須になります。
- ISO感度を100などの低めの設定にすると、光に鈍感になりシャッター速度が遅くなるかわりに、ノイズの少ない綺麗な写真が撮れます。
- ISO感度を12800などの高めの設定にすると、暗い部屋や夜景などの光が少ない環境でも明るい写真が撮りやすくなります。
ISOの数値には、ISO 100~12800 という幅広い設定ができます。ちなみにカメラによってISO感度の設定できる幅は異なります。私のカメラではISO50からISO204800まで設定ができます。
ISO感度によるノイズの乗りかたは、カメラの機種によっても大きく変わってきます。高級機になればなるほどISO感度を上げてもノイズが乗りにくくなります。
WB(ホワイトバランス)について
カメラで撮影する物体の色は、照らされている光の色に影響されます。例えば照明に電球だったら、「電球色の黄色い光」の色を強く受けます。
そういった「環境光によって変わる被写体の色」をコントロールする設定が「ホワイトバランス(WB)」です。
環境光の色は「色温度(K)」という数値で表すことができます。色温度の単位はケルビン(K)。
電球色などの暖色系によった光は「3200K」、曇り空などの寒色系の光は「6000K」、晴れた日の太陽光は「 5600K」と大まかに覚えておくといいですね。
とはいえ、いきなり色温度だとかケルビンだとか言われてもよくわかんないですよね。ですので初めはAWB(オートホワイトバランス)や、シーンに合ったWB設定「電球色」「蛍光灯」「曇天」「太陽」などのカメラにプリセットされてる設定を使ってみましょう。
なんとなくWBの仕組みが分かってきたら「色温度(K)」でWBを設定してみたり、プリセットマニュアルで白色を取り込む「カスタムWB」にもチャレンジしてみましょう。
露出について
露出というのは写真の明るさを調整する機能です。
写真が暗くなってしまう場合は「露出」の数値を上げてみましょう。
▲露出の数値を+2.0まで上げてみました。これで明るくなりましたね。
逆に周りが明るすぎて白飛びしてる場合は、露出の数値をマイナスまで下げてやり自然な光量に調整してやりましょう。
この「露出」という数値は、「シャッター速度」「絞り」「ISO感度」を調整する機能です。
つまり「露出」は、今まで解説してきた「シャッター速度」「絞り」「ISO感度」の3つのバランスで決定されている数値なんですよね。
例えば、「絞り優先モード(A)」で、「露出」の数値を上げた場合、カメラ側は「F値(絞り)」は変えずに光の量を増やそうとするため、
- シャッター速度を遅くなる
- ISO感度を高くする(ISO感度がオートの場合)
という、2つ設定に自動調整が入ります。こうして写真を明るくしているわけです。
では、「シャッター速度」「絞り」「ISO感度」をすべてマニュアルで設定したら「露出」の数値を変更しても明るさは変わらないの?って話ですよね。
正解です。この3つの設定を固定した状態で露出の数値だけを変えるということはできません。というより露出の数値はこの3つの設定によって決まるので。
【 シャッター速度+絞り+ISO感度 = 露出 】というイメージなので、露出の数値がいじれるのは、3つの設定のどれかが、カメラ側で自動調整できる設定になっている場合に限ります。
セルフタイマーについて
「セルフタイマー」というのは集合写真とか撮るときによく使うあれです。数秒後に遅れてシャッターが切れるあれ。
模型撮影でもセルフタイマーはよく使います。主に「シャッターを押したときの手ブレを極限まで無くしたい」という場面で。
プラモデルの完成品の撮影時、三脚を使用していてもシャッターを押す瞬間はカメラに触れてしまうので、その些細な振動で手ブレが発生してしまう事が多々あります。
そういうちょっとした撮影のミスを少なくするために「セルフタイマー」を活用してみましょう。
ほとんどのカメラのセルフタイマーは10秒になっていると思いますが、カメラによっては、5秒、2秒、とカスタム出来たりするものもあります。
まとめ
ここまでで説明してきた、絞り、ISO感度、シャッター速度、という3つの設定で写真の明るさ(露出)が決まってきます。
- 絞り(F値)が低いと入る光が多い⇔絞り(F値)が高いと入る光は少ない
- シャッター速度が早いと入る光は少ない⇔シャッター速度が遅いと入る光が多い
- ISO感度が低いと光を感じにくい⇔ISO感度が高いと光を感じやすい
このように、3つの数値のバランスで写真の明るさ(露出)が決まるのがカメラの基本です。
はじめからすべての数値をマニュアルで設定して撮影するのは難しいと思いますので、まずはF値だけを自分で調整できる「絞り優先モード(A)」でカメラ撮影に慣れていきましょう!
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