塗料を細かいミストにして吹き付けるエアーブラシは、プラモデルを綺麗に塗装するためには必須といえる道具です。
そんなエアーブラシですが、自分がいざ導入しようとしたとき、たくさんの種類があり何を選んでいいのか迷ってしまいますよね。
というわけでこの記事では、用途や使い方に分けて「エアーブラシの種類・特徴」を詳しく解説していきます。
目次
エアーブラシの種類
自分に合ったエアーブラシを選ぶためには、「動作方式の違い」と「形状の違い」を知る必要があります。
それぞれの違いによる「メリット・デメリット」をしっかり理解しておけば、自然と自分に合ったエアブラシが見つけられるでしょう。
一方、「ハンドピース」は、その中でも実際に手で操作して塗料を噴射するための道具を指します。
本記事では、一般的な呼び方として「エアーブラシ」という表現で統一していますが、解説の対象は「ハンドピース」になります。
「動作方式」の違い
エアーブラシには、「シングルアクション」、「ダブルアクション」、「トリガーアクション」、というい動作方式の違いがあります。
特に強いこだわりが無ければ、はじめの一本は「ダブルアクション」か「トリガーアクション」を選ぶことをオススメします。
動作方式の違いについて詳しく知りたい方は、エアブラシの動作方式の「シングルアクション」「ダブルアクション」とは?その違いを徹底解説!の記事をご覧ください。

操作の違い
エアーブラシには、大きく分けで「ボタン」で操作するものと「トリガー」で操作するものがあります。
ボタン式

塗装で使えるオススメのエアーブラシ! 「エアテックス エボリューションA」の紹介
こちらのタイプでは、ペンのような持ち方でエアブラシを保持し、「ボタン」を人差し指や親指で操作することで塗料の吹付け作業を行います。
メリット
- ポピュラーな方式なのでエアブラシの種類が豊富
- シンプルな構造なのでメンテナンスが楽
- 価格が安い
デメリット
- 人によっては指が疲れやすく感じる
トリガー式

クレオスのエアーブラシ『プロコンBOY LWAトリガータイプ』を徹底分解してメンテナンスをしてみよう
こちらのタイプでは、エアーブラシを握るように持ち、指で「トリガー」を引くことで塗料の吹き付け作業を行います。
メリット
- 操作が単純なため初心者でも使いやすい
- 長時間の作業でも疲れにくい
デメリット
- ボタン式に比べて種類が少ない
- 価格が高め
「重力式」「吸上式」による違い
「重力式」
重力式では、エアーブラシ上部に設置されたカップに塗料を入れることで、エアーブラシに塗料が供給される仕組みです。
特にこだわりが無ければ「重力式」のエアーブラシを選んでおきましょう。
吸上式
吸上式は、下部のタンクから塗料を吸い上げることで、塗料を吹き付けるタイプのエアーブラシです。
塗料ノズルに高速でエアーをぶつけることで、ノズル内部に”負圧”をつくり、下部のタンクから塗料が吸い上げられるとい仕組みで動作します。
塗料の吹き出し量は、「塗料ノズルの高さ」を調整することでコントロールできます。
塗料カップを直接取り付けられるものもあるため、サーフェイサー専用として運用するというのも便利ですね。
重力式(サイドカップ)
同じ重力式の仲間ですが、エアーブラシの横に塗料カップが取り付けられたモデルもあります。
エアーブラシボディの直線上にカップが無いため、塗装を行う対象への「視認性」が高いのが特徴です。
ただし、塗料カップからノズルまでの経路が長いので、洗浄の手間がかかるというデメリットもあります。
「ノズル・ニードルキャップ」の違い
ニードルやノズルを保護する目的のノズルキャップですが、これにもいくつか種類があります。
クラウン型
■吹付け形状:丸
王冠のような形状をしたニードルキャップで、全周にスリットが入っているのが特徴です。
エアーブラシ先端をパーツに近づけて塗料を吹き付けても、全周のスリットから空気が逃げてくれるため、安定した吹付け作業が行えます。
デメリットとして、形状の問題があるためキャップ先端を指で塞いで行う「うがい洗浄」はできません。
円筒形
■吹付け形状:丸
丸い形をした円筒状のニードルキャップです。
ニードルの保護性能も高く、うがい洗浄もできる汎用性の高いノズルキャップですね。
デメリットとしては、ノズルキャップに塗料が溜まりやすいということでしょうか。作業毎の洗浄はこまめに行いましょう。
フラット
■吹付け形状:丸
ニードルを全く保護する気のないフルフラットなキャップです。
大口径の大型エアーブラシでよく見るタイプですね。大型のエアーブラシでは、ニードル先端が尖っておらず先端を保護する必要が無いためこのような形にすることができます。
またキャップ形状の突起も少ないため、作業中にキャップが塗料で汚れる心配もありません。
平吹き
■吹付け形状:平
こちらも大型のエアーブラシでよく見る「平吹き用エアキャップ」です。
ノズル先端にいくつかの小さな空気穴が設けてあり、塗料の吹き出し形状を平たく伸ばしてくれる効果があります。
大きな面積を一気に塗る「カーモデル」や「ラジコンのボディ塗装」などで便利に使えるエアキャップですね。
H&S社 エボリューション・インフィニティ用ノズルキャップ
■吹付け形状:丸
私が愛用しているH&S社のエボリューションのノズルキャップです。
クラウン型と少し似た形状をしていますが、ニードルを保護する突起は上下に1本づつしかありません。
こちらのノズルキャップはクラウン型と同じ性能を持っていながら、ニードルキャップを指で摘むように塞ぐことができるので「うがい洗浄」が可能です。
ノズル径の違い
塗料の出口となる「ノズル」にもいくつかのサイズがあります。
ノズル径が小さくなれば「細かい塗料ミスト」が扱えるようになり、ノズル系が大きくなれば「大きな塗料ミスト」を一気に出せるようになります。
ノズル径 0.1~0.2mm
繊細なグラデーション塗装が得意なノズル口径で、プラモデルやフィギュアのシャドーを入れる用途などで役に立ちます。
逆に大きな面積を均一に塗ることは不得意なため、サブ機として利用されることが多いです。
ノズル径 0.3~0.4mm
汎用的なサイズで、グラデーション塗装、広範囲のベタ塗り塗装など幅広く使用することができます。
初めの1本目としてエアブラシを選ぶなら、このサイズを選ぶと失敗しないでしょう。
ノズル径 0.5mm~
模型用としては大型のエアブラシとなります。カーモデルやラジコンボディなどの大きな面積を塗ることが得意です。
大きな口径のノズルを活かすことで、塗料を一気に吹き付ける「トップコート」などの作業でも活躍できます。
中には「平吹き用エアキャップ」が搭載されているモデルもあり、大きな面を一気に塗ることに特化したエアブラシも多いです。
エアーアジャスター
一部のエアーブラシには、空気吐出量を手元でコントロールできる「エアーアジャスター」がついているものがあります。
コンプレッサー側の「レギュレーター」でも空気量の調整は出来ますが、ハンドピース側の「エアーアジャスター」を使えば、より素早く空気量をコントロールできるため大変便利です。
ボタンから先端までの長さ
エアーブラシを操作するボタンから、塗料が吹き出すノズル先端までの長さも、エアーブラシを選ぶうえでは重要なポイントです。
ここの長さが短ければ短いほど、細かいコントロールがやり易くなるイメージです。
「ニードルアジャスター」の有無
エアーブラシのニードル(塗料の吹き出し量の調整)の引き代を制限するための機能です。
ミリタリーモデルの明細塗装や、細かなグラデーション塗装をしたい場合、「ニードルアジャスター」の機能があると便利です。
一部エアーブラシにはニードルアジャスター機能が付いていないものがあるので注意しましょう。(例:エボリューションSOLOなど)
まとめ
エアーブラシの種類による違いについて解説してきましたが、用途に合ったエアーブラシのイメージはできましたでしょうか。
自分がエアーブラシを使ってどんな塗装をしたいのかを考えたときに「必要な機能」「不必要な機能」が見えてくると思います。
この記事が理想のエアーブラシの購入の手助けになれば幸いです。
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