エアーブラシの『価格差』によって何が変わるの?廉価モデル~高級モデルの品質の違いを写真で比較してみよう!

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは、柚Pです。

みなさんは、模型の塗装で使用しているエアーブラシ(ハンドピース)にどのくらいお金をかけていますか?

安いものだと数千円から手に入りますし、高級なものだと数万円するエアーブラシも存在します。

そんなピンからキリまであるエアーブラシですが、価格によってどのような差があるのでしょうか。

というわけでこの記事では、私の所有しているいくつかのエアーブラシを元に、構造の違いや品質について比較してみようと思います!

注意
※本比較はあくまで個人の感想に基づくレビューです。製品の品質や効果を保証するものではありません。

比較するモデルはこの3本

左から、70,000円、20,000円、3,000円のエアーブラシを準備してみました。

廉価モデルと高級モデルの価格差はなんと20倍以上もあります。いったい何が違うんでしょうか?

3,000円のエアーブラシ

一般的によく見かけるダブルアクションタイプのエアーブラシです。ノズル径は0.3mm。

3000円という低価格帯のモデルで、Amazonなんかで安売りしてるノーブランド品も同じような品質でしょう。

各パーツの作りがちょつとお粗末ですが、最低限の機能は有しており模型作業でも一応使えます。

ここからは批判的なコメントが多くなると思いますので、メーカー名は伏せておきます。(分かっても言わないでね!)

20,000円のエアーブラシ

ドイツのH&Sが製造する「エボリューション」です。純正仕様からちょっとカスタムしてます。ノズル径は0.2mm。

私がメインで使っているエアーブラシでもあり、10年以上使っている相棒でもあります。

この価格帯の品質は、各模型メーカー(T社C社W社など)が販売している1万円程度のエアーブラシをイメージするといいでしょう。この価格帯になってくると、趣味用途、仕事用途、どちらでも使えるレベルになってきます。

70,000円のエアーブラシ

日本のアネスト岩田が製造する「カスタムマイクロン」です。ちなみにサイドカップの「TAKUMI」というモデル。ノズル径は0.18mm

価格は67,000円とアホみたいに高いです。このカスタムマイクロンは、現在売られているハンドピースの中では一番値段高いんじゃないでしょうか?これより値段の高いハンドピース見たこと無いですし。

自分はつい最近購入して、既に数回ほど使用しているのですが、明らかにほかのエアブラシとは何かが違うんですよね。体感的な話になりますが、何故か気持ちよく塗料が出る。

違いは分かるのに、パット見では何の違うのか全然わからない。なのでパーツ単位で比較して、どのような違いがあるのか見つけてみましょう。

ノズル周り


▲左から70000円、20000円、3000円

ノズル周りの作りを比べてみます。

さすがに2万円と7万円の差は無いように見えます、どちらも精度良く作られていますね。

3000円の方はどうでしょうか、ちょっとノズルキャップの空気穴でかくない?

これでは空気が出すぎてしまいます。空気の出口が大きいとエアブラシを動作させるために必要な空気量も増えますし、低圧下での流速が稼げません。

ニードルの位置


▲3000円エアブラシ

ニードルを引くと、ノズルの上方向にむかって下がるようです。

気持ち的には、ノズルのど真ん中にニードルが来て欲しいところではありますが、GSIクレオス公式も言ってるように「ノズルに沿うような形でも不良ではない」という解釈でいいと思います。

それよりもこのエアブラシの場合は、ニードルキャップの空気穴の大きさのほうが問題です。

▲20000円のエアブラシ

こちらも同じくノズルの上方向に向かってニードルが下がっています。

ニードルはノズルのセンターにはありませんが、ノズルとニードルキャップがセンターにいるので塗料はまっすぐ飛びます。

▲70000円のエアブラシ

先程まで「ノズルとニードルはセンターになくてもいい」なんて話をしましたが、こちらの高級モデルのニードルはかなりセンター寄りです。

写真で見ると少しだけ下側にズレていますが、そもそもニードル自体が可動部品なわけで、クリアランスとか色々な問題あるなかでのこの精度を出せているのは流石です。

ニードルの先端

▲左から70000円、20000円、3000円

ニードル単体でも比較してみましたが、あまり形の差は無いように見えます。

使われてる金属の素材が違うのかも?

ノズルキャップの作り

▲左から70000円、20000円、3000円

3000円のノズルキャップにはペラッペラのパッキンが使われていました。機能としてはこれでも十分ですが、頻繁に分解されることは想定していない作りに思えます。

20000円では、しっかりしたOリングが付いています。とはいえ数年使ったらボロくなるのでメンテナンスは必要です。

70000円では、もはやパッキンが使われていません。パーツの精度だけで空気の通り道を密閉できています。

ノズルの精度

▲左から70000円、3000円

▲20000円

正直、見た感じ大きな差は無いように思えます。

ノズルは一番精密な部品ですから、外観では確認できないレベルの精度が違うんでしょう。多分。

塗料カップの違い

▲70000円

▲20000円

▲3000円

カップ内部も大きな違いは感じられませんでした。どれもメッキがかかっているので綺麗です。

20000円と3000円のエアブラシは若干表面加工の跡が残っていて荒い気もします。

エアー吐出口の違い

▲70000円

▲20000円

▲3000円

ノズルキャップを外した先にある「エアーの吐出口」の違いについてです。

高級モデルになると、ノズルキャップから出るエアーを安定させるために「複数の空気の通り道」が設けられていることが多いです。

70000円のエアブラシでは、全周に複数箇所のエアーの吐出口が見られます。

20000円と3000円エアブラシでは、大きな空気穴が1箇所空いているだけです。

エアーの出口が一箇所だと、ノズルキャップから出るエアーも安定させられず、「低圧で吹けない」「塗料がまっすぐ出ない」なんて問題に繋がります。

▲20000円

ちなみに20000円のエボリューション、実は本体側ではなく、ノズルキャップ側で空気の道筋を3つに分けて安定させる作りになっています。

さすがに高価格帯なだけあって、こういうところはちゃんと作ってますね。

塗料カップのフタ

▲左から70000円、20000円、3000円

塗料カップのフタを比べてみましょう。

70000円エアブラシのフタには溝が多いですね。中心にある空気穴から飛び出てしまった塗料が垂れないようにする意図でつけられているのでしょう。

20000円エアブラシでは、完全フラットで洗いやすくそうなデザインをしています。もちろんハメ合わせの精度も悪くないです。

3000円エアブラシは、、、塗料カップに差し込んでもグラグラしてハマってる感じがしません!フタ側か塗料カップ側のどっちかが歪んでますねこれ。フタを締めたところで隙間から塗料が漏れてきそうです。残念!

まとめ

というわけで色んな箇所の比較をしてきましたがいかがでしたか?

正直自分は「思ってるより外観的な違いは無かった」と感じました。写真だけで比較しても何も分からないということが分かりましたね。

ただ、これだけは言っておきたいのですが「何故か分からないが値段が高いほうが気持ちよく使える」ということは確かです。実際に塗料を入れて使用してみると感覚的に分かります。

3000円のエアーブラシや20000円のエアブラシが「悪い」という意味では無いのですが、やはり値段が高いなりの理由はちゃんとあります。

逆に「そんな精度高い塗装するつもりないよ」というライトユーザーからしたら、3000円レベルのエアーブラシのほうが需要としては合っているでしょう。

今回の記事で、「実際に使ってみると違いが分かる高級機にチャレンジしてみようか」あるいは、「思ったより差がないから手頃な価格帯でも十分かも」といった、エアブラシ選びの参考になれば幸いです。

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