低価格なのにハイスペック!?複製で使える真空チャンバー『互換ちゃんば』を導入してみよう!

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは、柚Pです。

今から約5年前、真空注型で使える真空チャンバーを自作した記事を公開したのを覚えていますでしょうか?

レジン複製で活躍する『真空脱泡機』を自作!低コスト・高品質なガレージキット複製が出来る設備を整えてみた

自作チャンバーでも小規模の量産くらいなら十分使えていたのですが、昨年(2023年)くらいだったか、互換ブースでおなじみの互換屋から「互換ちゃんば」というとても気になる商品が発表されたんですよね。

前々から四角い形状の真空チャンバーが欲しいと思っていたのですが、四角いチャンバーは特殊な形状故、ワンオフで製作しないといけない&製作費用として二桁万円くらいは必要、ということで、軽い気持ちで手が出せる代物ではありませんでした。今までは。

しかし今回紹介する「互換ちゃんば」の価格はなんと4万円台。え、安すぎない?こんなの買わない選択肢はありません。

というわけで、この記事では「互換ちゃんば」の導入からオススメの運用方法まで色々と紹介していきます!

互換ちゃんば

「互換ちゃんば」ガレージキット複製でのシリコーンゴムの脱泡から、レジンキャストの注型まで幅広く使える角型の真空チャンバーです。

本体価格は42,900円。通販で購入する場合は送料として一律1500円 別途必要です。

購入方法や詳しいサイズ

受注生産ということなので購入方法が少しだけ特殊ですので、互換屋公式通販ページに詳しく記載されている指示にしたがって手続きしてみてください。

また、容器サイズや使用されているパーツの詳細についても互換屋公式ページにありますので、こちらでは割愛させてもらいます。

どんな真空ポンプを用意すればいいの?

「互換ちゃんば」から真空脱泡にチャレンジするという方は、それに適合する真空ポンプも別で用意しておく必要があります。

真空ポンプもまあまあ値段の高い買い物になりますので、十分な性能があり、長く使えるようなしっかりとした物を選びましょう。

基本的には「有名メーカー」「100V電源で動く」「排気速度100L/min以上」を目安に選べば失敗は少ないと思います。また私が個人的に気に入っている機種もいくつかピックアップしてみたので参考にしてみてください。

排気速度 100L/min~

互換屋さんがデモ機用としても使っている真空ポンプがTASCOの「TA150YB」ですね。

  • 価格43,000円~(Amazon参照)
  • 排気速度 102L/min 120L/min(60Hz/50Hz)
  • 到達真空度:75×10^-3Torr(7.5ミクロン)

高性能なオイルキャッチャーが内蔵されているモデルで、吸気中に出てくるオイルミストも少なく動作音が控えめなモデル。室内を汚せない集合住宅や爆音が出せな環境の方にオススメですね。

ポンプの性能は、排気速度120ℓ/min(60Hz)・102ℓ/min(50Hz)とそこまでハイスペックではないので、レジン注型で使う際は、チャンバー内にスタイロフォーム等の詰め物をするなりして容積を減らす工夫が必要になるかもしれません。

排気速度 150L/min~

続いて、ほぼ同スペックの2モデルから。

私が愛用しているBBKの「BB-260C」と、TASCOの「TA150XK」です。

  • 価格55,000円~(Amazon参照)
  • BB-260C:排気速度 142L/min 170L/min(50/60Hz)
  • ■TA150XK:排気速度 150L/min 180L/min(50/60Hz)
  • BB-260C:真空到達度15ミクロン以上
  • ■TA150XK:到達真空度:2.0PA(15ミクロン)

動作中オイルミストの排出がすごかったり動作音も大きいですが、なんといっても性能に対して値段が安い!排気速度が150L/min~の高性能ポンプを50,000円代で買えるんですから。

室内の換気設備が整っていて爆音を出しても大丈夫な戸建て住宅にお住みの方にオススメなモデルです。

私が使っているポンプでもあるので、これを買って「レジン注型がうまく出来ない!」ってことは無いでしょう。最悪、私のやり方を丸パクリしてもらえれば再現できるので。

排気速度 340L/min~

BBK インバータ式電磁弁真空ポンプ V-i2120SN

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イチネンTASCO インバーター式真空ポンプ TA150GL

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またまた、ほぼ同スペックの2モデルから。これは私が将来的に買いたいと思っているポンプですね。

正直、レジン注型だけでここまでハイスペックである必要は無いと思いますが、真空ポンプの性能については大は小を兼ねているので・・・。常圧から真空にするまでの時間が短ければ短いほうがいいとされています。

  • 価格80,000円~(Amazon参照)
  • V-i2120SN:排気速度 340L/min(50/60Hz)
  • ■TA150GL-B:排気速度 340L/min(50/60Hz)
  • V-i2120SN:真空到達度15ミクロン以上
  • ■TA150GL-B:到達真空度:2.0PA(15ミクロン)

強力なブレラシレスDCモーターを搭載しているので、西日本60Hz/東日本50Hzの周波数によるパワー差もありません。

さらに、排気速度は 340L/minとバケモノ級で頭一つ飛び抜けていますが、ポンプ本体の大きさや重量は先ほど紹介した「BB-260C」「TA150XK」とほぼ同じというコンパクトさも兼ね備えています。

もし貴方のお財布に余裕があるなら、追加で3万円払うことで幸せになれます。

互換ちゃんばを組み立ててみよう

それでは互換ちゃんばを組み立てていきましょう。

受注生産ということですが、私の場合は予約注文から約1ヶ月強くらいで自宅に届きました。

予想していたものよりコンパクトな梱包です。

付属品について

中にはいくつかの付属品が入っていました。

  • スポンジテープ
  • アクリル板
  • 配管部品
  • 取扱説明書
  • 互換屋ステッカー

配管パーツはそのままでも十分使える性能のものが付属しています。

  • ボールバルブ
  • アズワンの真空計(1.6級)
  • L字ジョイント
  • 1/4フレアを5/16フレアに変換するアダプタ
  • シールテープ

真空チャンバーを自作するならネジの規格も全部自分で調べとかないといけませんが、互換ちゃんばならパーツ選定をしなくて済むので楽ですね。

各パーツの組み立て

基本的には互換ちゃんばに付属している「取扱説明書」通りに組み立てていきましょう。

まずは付属のスポンジパッキンを任意のサイズに切り、アクリル板(フタ)との密着をよくします。

スポンジパッキンをいい感じに貼るコツですが、スポンジが途切れる角の断面を斜めに切ってもう片方のスポンジに若干被せるように貼り付けると、容器とアクリル板の隙間が少なくなり密閉度を多少なりとも上げることができる気がします。

配管パーツは「モンキーレンチ」や「ウォーターポンププライヤー」を使って組み付けていきます。

トネ(TONE) モンキレンチ(目盛付) MWR-200 全長200mm

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ネジ部には付属のシールテープを巻き付けておくのを忘れずに。

ちなみにシールテープはネジの回転方向と同じ向きで巻きましょう。逆向きで巻いてしまうと正常にシールされません。

配管が接続できるネジ穴は3箇所ありますので、自分の環境に合わせて適当に取り付けておきます。

あとは真空ポンプに繋げるためのホースを接続する配管パーツを組み付けて完成!

私はチャンバーとポンプの接続に「真空用の耐圧ホース」を使っているのでホースニップルを接続していますが、皆さんの場合は自分の環境にあった配管パーツを接続してくださいね。

イチネンTASCO 1/4チャージホース 黄 92cm TA136A-3

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互換ちゃんばには、R1/4を1/4フレアに変換するアダプタが付属しているので、TASCOの「真空ポンプ用のチャージホース」を買えば、他のジョイントパーツを用意せずにチャンバーとポンプの接続ができるので手っ取り早いでしょう。

試運転をしてみよう

すべてのパーツの組付けが終わったら、ポンプと接続して試運転をしてみましょう。

真空計の針が -0.1MPa 付近になるまでポンプを稼働させます。

-0.1MPaまで針が動ききったら、ポンプ側のバルブを閉め、ポンプの稼働を止めて一定時間様子を見てみましょう。

このように容器を真空にした状態のままポンプを停止させ一定時間放置することで、簡易的な『リークテスト』をおこなうことができます。

ちなみに互換屋公式ページのリークテストでは、60分経過するごとに -0.001MPa ずつリーク(空気が抜けていく)していく傾向にあるみたいです。

これ以上のスピードでリークしていた(針が動いた)場合は、真空チャンバーが正常に組み立てられていない可能性があります。容器に貼り付けたパッキンや、配管のシールテープの組付けミスなどを見直してみてください。

真空注型用のシリコーンゴム型を用意しよう

互換ちゃんばに入る大きさのシリコーンゴム型を用意します。

私は容器にぴったり入るサイズの「290mm×220mm」になるようゴム型を製作してみました。

ここで使っている型枠は、【シリコーンゴム型の製作で便利に使える「互換ちゃんば専用の型枠」の作り方を紹介!で】の記事で作り方を紹介しているので参考にしてみてください。

シリコーンゴム型の製作で便利に使える「互換ちゃんば専用の型枠」の作り方を紹介!

また真空型の作り方や基礎知識についても、【レジン複製でつかえる『真空型』の作り方を徹底解説!常圧型との違いは?】の記事で紹介しています。

レジン複製でつかえる『真空型』の作り方を徹底解説!常圧型との違いは?

容器が汚れないよう養生しよう

注型作業中に互換ちゃんばがレジンで汚れてしまったらちょっと悲しいので、作業前にしっかり養生しておきます。

容器の蓋となるアクリル板には透明な「アプリケーションフィルム」を貼り付けて保護。

本体には、短めのマスカーで側面を保護しておきました。

沸騰層から飛び散ってくるレジンに対しては「クリアファイル」を使ってアクリル板への飛散を防止します。

ちなみにA4サイズのクリアファイルがぴったりサイズでした。

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無駄な容積を減らそう

シリコーンゴム型が用意できたら、真空引きの時間をさらに短縮させるため、容器の隙間をスタイロフォームなどで埋めておきましょう。

容積を減らすことで、ポンプを回したときの真空(-0.1MPa)になるまでの時間を短くでき、作業時間が短く忙しくなってしまいがちなレジン注型もスムーズにおこなえるようになります。

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隙間埋め用で用意したスタイロフォームは強い溶剤(レジンなど)が付着すると表面が溶けてしまうので、アルミテープを使って全面を保護しておきました。

実際に使ってみた感想

ワンダーフェスティバルで販売用のキットとして、型は3つ、用意する数は40個ということで、120回ほど注型作業で使ってみました。

「互換ちゃんば」を今まで使っていた自作チャンバーと比較すると”完成度を高めた上位互換”という感じでした。

ぶっちゃけ使い心地は自作のものとほぼ変わりませんでした。真空ポンプ側とリーク用のバルブが計2つなので操作感も同じ。そのせいもあってか、違和感なく乗り換えることができました。

ほかにも、四角いチャンバー形状で隙間埋め用のスタイロフォームも効率的に埋めることができるので、結果的に自作のチャンバーよりも速い速度で真空引きできるようになりました。

付属のアクリル蓋が容器よりも一回り大きいサイズで作られているのも良いですね。容器の上にアクリルの蓋を多少雑に置いてもちゃんと密閉されます。

また、角が丸く加工されているのも手に優しくて好印象。実際に使う人のことをよく考えて作ってくれてます。

容器と蓋の密閉をしてくれるパッキンも、クッション性の良いものが採用されているのもGoodです。ポンプのスイッチを入れるだけでアクリルの蓋が「キュッ」っと吸い付いてくれます。

横置きで運用すれば低収縮レジンを使った「母型」の真空引きでも使えそうですね!

おわりに

レジン複製をしているモデラーからしたら「こういうのを待っていた!」という素敵な商品でしたね。

個人でできる真空注型のハードルを一気に下げてくれる「互換ちゃんば」、みなさんもぜひ手に入れてみてください!

それでは。