レジン複製でつかえる『真空型』の作り方を徹底解説!常圧型との違いは?

レジン

こんにちは。柚P(@yzphouse)です。

今回の記事は、以前より要望があった、レジン複製で使える「真空型」の作り方について紹介していきます。

真空注型の仕組み→パーツレイアウトの解説→実際にレジンを流してみる→成形パーツの確認、という流れで進めていきます。真空注型の理屈がわかってしまえば簡単なので、是非挑戦してみてください。

真空注型の仕組み

真空型を作るためには真空注型の仕組みを理解しましょう。

よく見る真空型のレイアウトとしてこんなのがあります。

  • 上側にレジンを流し込む沸騰槽(レジンプール)
  • 下側にパーツ(丸いやつ)
  • 沸騰槽とパーツの間に湯口

真空注型の仕組みは、この図を使って解説していきます。

沸騰槽にレジンを入れる

まず、沸騰層に混合したレジンを流し込みます。

湯口は1本なので、この状態でレジンがパーツへは流れていきません。

真空ポンプで空気を抜いて真空状態にする

レジンを流した型を真空注型器に入れ『真空状態』にしてやります。すると、沸騰槽に入れたレジンが沸騰してくるのが確認できます。

真空状態になると『ボイルの法則』で、空気の体積が大きくなります。パーツ内部の空気の体積も大きくなり、逃げ場のない空気は湯口を通って沸騰槽から出ていきます。

さらに『ヘンリーの法則』とやらで、気泡の発生もある程度防げるっぽいです。気圧が上がる(真空から常圧へ)事により、液体(レジン)が取り込める気体(硬化で発生する気泡)の量が増えるのだとか。

さらにさらに『真空にする=気圧が下がる』事により、レジンの沸点も下がり沸騰しはじめます。この現象ついては、実際に沸騰しているのか、レジンの硬化で発生したガスが大きくなってブクブクしているだけなのかはわかりません・・・

真空状態から常圧に戻す

最後に真空状態から常圧に戻してやります。

常圧に戻すにつれて、真空状態で大きく膨らんでいた空気の体積がもとの大きさに戻ろうとします(つまり小さくなる)。この空気が小さくなる力で、沸騰槽に入れていたレジンが吸いとられていき、型に配置したのパーツにレジンが満たされていくというわけです。

これが真空注型の基本的な仕組みになります。

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パーツの配置方法について

パーツを配置するにもいくつか種類があります。

ここでは『トップゲート方式(仮)』と『アンダーゲート方式(仮)』の2種類を紹介します。

トップゲート方式

真空注型の仕組み説明でも使っていたこの図が『トップゲート方式』です。上に設けた湯口からレジンを吸うという仕組みです。

メリット

  • 1パーツあたりが占有するスペースが狭い
  • レジンのムダが少ない
  • 大きなパーツが得意
  • 湯口が少なく済むのでパーツカットが楽

デメリット

  • 気泡が残りやすい

このトップゲート方式が、真空型のレイアウトとして一番使われているのではないでしょうか?

アンダーゲート方式

真空注型の仕組みを上手く使えば、このようなレイアウトを作ることができます。ここでは仮に『アンダーゲート』と呼ぶことにしましょう。

メリット

  • 気泡が入りにくい
  • 真空引きが1回で済むので注型作業が楽(後述)

デメリット

  • 1パーツあたりが占有するスペースが大きい
  • レジンに無駄が出る
  • 湯口が増えるのでパーツカットの手間が増える
  • 体積の大きなパーツは苦手

ぱっと見、デメリットの方が多いのであまり良くなさそうなレイアウトに見えます。しかしデメリット以上に、レジン複製ではこの2つのメリットが非常に重要になってきます。

詳しいことはアンダーゲート方式のパーツ確認に書いているのでそっちを読んでみて。

実際に真空型を作ってみる

基本的に真空型を作るときも常圧の型を作るときと工程は同じです。

【複製したい原型を粘土埋めをする→シリコンを流す→片側の粘土を剥がす→もう片側にシリコンを流す】ですね。

※シリコン型を制作する作業については『フィギュア複製を徹底解説!ガレキの原型パーツを粘土埋めしてみよう!』こちらの記事を参考にしてください。

フィギュア複製を徹底解説!ガレキの原型パーツを粘土埋めしてみよう!

 

真空型を作る上で注意する点として、

  • レジンを入れる沸騰槽は大きめに作る
  • アンダーゲート方式にする場合は『気泡逃げ用の空間』を確保しておく(写真ではタミヤ5mm角棒を使用)

があります。

レジンは真空にすると2~3倍くらいに膨らみますので、沸騰槽もそれを見越した大きさにしておく必要があります。沸騰槽が小さすぎると真空注型するたびにレジンが溢れて大変なことになるので気持ち大きめに作っておきましょう。

アンダーゲート方式を採用する場合は、気泡逃げ用の空間の確保を忘れずに。ちなみに、気泡逃げは原型の1/4くらいの大きさで十分でした。

型の硬化が終わったら、原型を取り外して、湯口を切ってやれば完成です。

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真空型にレジンを流す

型が出来たのでレジンを流してみましょう。

シリコン型を『レジン複製で活躍する真空脱泡機を自作してみた。』で制作した真空注型機にセットします。

レジン複製で活躍する『真空脱泡機』を自作!低コスト・高品質なガレージキット複製が出来る設備を整えてみた

ここからはスピードが大切になってきます。ちなみに、私の環境での作業時間はこんな感じです、参考にしてみてください。

カップに計量したレジンを用意して、

  • レジン混合&型の沸騰槽へ流し込み:10秒
  • 1回目真空引き(完全な真空にならなくてもOK):15秒
  • リーク(常圧に戻す):2秒
  • 2回目真空引き(ここで完全な真空にする):40秒
  • リーク(ゆっくり常圧に戻す):10秒

この作業を2分以内で済ませるようにしてます。

真空引きを2回行う理由ですが、1回より2回したほうが気泡が少なくなるからです。気泡が無くなる詳しい原理は私もよくわかりません。

トップゲート方式のパーツ確認

この型は上段が『トップゲート方式』と下段が『アンダーゲート方式』のハイブリッドですね。上側がトップゲート方式なので、そちらのパーツを確認してみましょう。

▲体積の少ないパーツは気泡の残りも少ない印象です。それ以外には、どこかで気泡を噛んだのか小さな気泡もいくつか見られます。

▲こちらも湯口付近に気泡が残っています。

空気(気泡)は上へ昇ってくるものなので、気泡が溜まりきそうなところに湯口を配置してやれば、もっとパーツが綺麗に成形できるようになりそうです。

▲こちら形状が複雑で大きなパーツの湯口付近です。

複雑なパーツや体積が大きなパーツは、レジンが流れる際に乱流が起こりやすいのか、微細気泡が発生しやすいような気がします。

このタイプの微細気泡の対策としては、湯口の数を増やすなり、湯口を太くしたりして、樹脂が流れるスピードを調整してやると改善されたりします。

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アンダーゲート方式のパーツ確認

こちらは全パーツをアンダーゲート方式で配置したシリコン型です。気泡が少なく非常に優秀な型に仕上がっています。

▲パーツ内に残るはずだった気泡は、シリコン型に設けた『気泡逃げ用の空間』へ入っています。

この気泡逃げのおかげて、パーツに微細気泡が入ったり、湯口の手前で気泡が溜まったりという成形不良は起こりづらくなってます。

1パーツに対する湯口の数は増えますが、抜き品質の高いパーツを作りたい方にはオススメです。

『アンダーゲート方式』は作業時間の短い透明レジンにも有効です。

通常の真空引き作業ですと、1回のレジン注型で2回の真空引きを行うのですが、『アンダーゲート方式の型』の場合に限り、真空引きは1回でも大丈夫でした。

作業の時間配分としては、

  • レジンを混合10秒
  • 真空引き50秒
  • リーク10秒

このくらいです。真空引きが1回で済むので、作業時間の短縮に繋がります。

ちなみに、市販の透明レジン(ポリウレタン樹脂)の作業時間はだいたい90秒です。しかも取り扱い説明書にも『透明レジンを入れるシリコン型はドライヤーなどで加熱しましょう』なんて書かれています。

加熱されたシリコン型に90秒硬化の透明レジンを流すので、ゆっくり作業していたら真空引き中に硬化が始まってしまうんですよね、なので透明レジンを扱う上で作業時間が短く済む型というのはとても大切なポイントなんです。

さらに、アンダーゲート方式の型は気泡が入りにくいという特徴もあるので、気泡の無い綺麗なパーツを成形することも出来ます。

しかし、前に書いたとおりアンダーゲート方式にもデメリットもありますので、適材適所で使い分けていきましょう。

私はコストが上がる事よりもパーツの成形不良が増えるほうが嫌なので、できる限りはアンダーゲート方式を採用しています。

まとめ

以上、私が作っている真空型についての紹介でした。

今回紹介した2種類のパーツレイアウト方法ですが、自身の環境によってもどれが適切か大きく変わってきます。

例を上げると、業者複製で有名なRCベルグの真空型では、ほとんどをトップゲート方式の型を採用しています。真空注型器の性能もですが、それ以外にもトップゲート方式で気泡が上手く逃げるノウハウなんかがあるのかもしれません。

真空ポンプの性能や、使用するレジンによっても気泡の抜け方は変わってくると思います。この記事を参考に自身の環境にあったレイアウトを探してみてください。

それでは。