こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
この記事では、ガレージキットの製作で一番の難関であろう「塗装」について書いていこうと思います。メイン記事の「フィギュア初心者でもできる!ガレージキットの作り方を徹底解説!!」の詳しい解説にあたるエントリです。
フィギュア初心者でも分かる『ガレージキットの作り方』を徹底解説!!ガンプラやスケールモデルの塗装をしたことのある方なら、意外とハードルは高くないかもしれないですね。やってることはプラモデルとほとんど同じなので。
それでは続きからどうぞ。
目次
ガレージキットの「塗装前の下地処理」「プライマーサーフェイサー」について
塗装をする前に、ガレージキットを組み立てておく必要があります。
ガレージキットの組み立てには各パーツの処理が必要になってきますので、塗装前に済ませておきましょう。
各パーツの処理については別の記事でまとめているので参考にしてみてください。
ガレージキットの湯口・パーティングライン・バリの処理の方法をまとめてみた。
ガレージキットの気泡・合わせ目・ゴミ混入パーツの処理の方法をまとめてみた。
パーツの表面処理についてもプラモデルとほぼ同じです。紙やすりやスポンジヤスリ、場合によっては金属ヤスリなどを使っておこないましょう。
ヤスリの粗さは、パーティングライン、湯口の跡は320番で整えて、表面のヤスリ目を消して仕上げる時は400~800番くらいを使用して磨いていけばいいと思います。
曲面の多い美少女フィギュアの表面処理だと、「スポンジヤスリ」が活躍すると思います。表面の粗さの違うものを数種類ほど用意しておくと捗るでしょう。
スポンジヤスリの種類については「ガンプラ製作で曲面表面処理が捗る!便利な「スポンジヤスリ」の種類を徹底解説!」の記事を参考にしてみてください。
ヤスリで表面を整えていくにあたって「どのパーツをどこまで仕上げたか」がわからなくなる場合があります。
そういう時は、パーツ全体に薄く「プライマーサーフェイサー」を塗装してあげましょう。もちろん、サーフェイサー塗装前にはパーツの「離型剤」を完全に落としてからです。
使用するサーフェイサーは、レジンパーツでも使える「プライマー入り」の物を使いましょう。タミヤのファインサーフェイサーとかクレオスのプライマーサーフェイサーとかですね。
プライマーサーフェイサーを塗装してから表面処理をすると、ヤスリで削った部分の塗料が落ちるので、どこまで手を入れたかがひと目で分かるようになります。
綺麗に磨けたら、最後は各パーツを洗浄して、再度プライマーサーフェイサーを塗装して下地塗装は完了です。
下地処理が済んだパーツを塗装する。
プライマーサーフェイサーを塗装したら、基本色を塗装していきます。
ちなみに、この記事で紹介するやり方は「エアブラシ」での塗装を前提で解説していきます。
まずはすべての基本となる、単色塗りから。
単色塗り
サーフェイサーを塗装したパーツに1色の塗料をベタで塗装した塗り方です。
特になにも考えずに塗装できます。一番簡単な塗装方法です。この塗装方法ならエアブラシを使用しなくても、缶スプレーを使っても出来そうですね。
グラデーション塗装「黒立ち上げ」
下地を一度「ブラック」に塗装して、その上から基本色を塗るグラデーション技法の一つ。
2段目に塗る基本色は、パーツの端を残すように塗ります。そうすると立体感が出ていい感じになります。
黒立ち上げで塗るとパーツに「重厚感」とか「深み」が出るような気がします。硬そうなメカとか革のパーツとかに合いそうな塗装法ですね。
グラデーション塗装「サフレス」
この塗装法はサーフェイサーを使用しない、つまり「サフレス」という塗装法です。
サーフェイサーを使わないことによって、レジンパーツ自体の「透明感」を生かした塗装ができます。美少女フィギュアとかではよく使われている「ホワイトレジン」なんかで高い効果を発揮します。
表面処理までの工程で、既にサーフェイサーを塗っている場合は、ラッカー系溶剤や各模型メーカーから販売されている塗料落としを使って、パーツに塗装されたサーフェイサーを落としておきましょう。
プライマーサーフェイサーを落としたパーツは、普通のラッカー塗料を上から塗っても簡単に剥がれてしまいます。なので、基本色を塗る前にレジンのパーツに透明なプライマーを塗装しましょう。
無色透明なプライマーもいくつか種類があります。ガイアの「マルチプライマー」や、フィニッシャーズの「マルチプライマー」、各模型メーカーの「メタルプライマー」などがあります。私のオススメはフィニッシャーズのマルチプライマーです。
それでは塗っていきましょう。
レジンパーツに無色のプライマーを塗装した後、その上から基本色を塗装します。
透明感を活かす塗装なので、この基本色も厚塗りになりすぎないように気をつけながら塗ります。パーツの薄い部分が光で少し透けるくらいが丁度いいです。
その上から、同系色の「クリアー塗料」でグラデーションをつけていきます。ここで使用したのは、クリアーイエローと無色のクリアーです。
色付きのクリアー塗料だけを使用すると、色が乗りすぎるので無色のクリアーで色味を薄く調整してたものを使うと塗装しやすくなります。
クリアー塗料で塗る部分としては「シワで入り組んだ部分」「影が落ちている部分」「スジボリのライン」「パーツのフチ」を中心にやるとそれっぽくなります。
大きなシワが無いようなパーツでも、実際の影が落ちている部分を参考にして塗装していきましょう。
のっぺりとしたパーツもクリアー塗料を塗ればそれっぽい立体感が出ます。おすすめです。
髪パーツの塗装
髪のパーツもサフレスのグラデーション塗装と同じ方法で塗装できます。
ピンクをベースに、クリアーレッドでグラデーション塗装をしています。
前髪のパーツも同様に塗装します。
ちょっとした小技として、前髪の先端に薄い肌色をグラデーション塗装することによって、2次元イラストでよく見かける「前髪の先端が透けて肌色がかっている」という表現も再現できます。
肌パーツの塗装
肌色のパーツも基本的に「サフレス塗装」でおこないます。肌パーツこそ”透明感”が重要になってきますので。
ここで紹介するやり方は「ホワイトレジンのパーツ」を前提での塗装方法です。
使用する塗料は2種類です。グラデーションをつけるための「クリアーピンク」と、基本の色となる「クリアーオレンジ」です。
色味と色の濃さはこの写真を参考にしてみてください。このくらいです。
自分で調色するのが難しいという方は、模型メーカーが出している「サフレスカラー」を選択するのもありでしょう。
まず始めに、クリアーピンクで影となる部分にグラデーションを付けていきます。ここでもパーツに直接クリアー塗料を塗っても剥がれてしまうので、事前にプライマーを塗装したパーツで作業しましょう。
このパーツはこの後、包帯でぐるぐる巻になる予定なので変な位置にグラデーション塗装をしていますが、とりあえず今は気にしないでください。
グラデーションを付けた後は、クリアーオレンジで肌色を塗っていきます。
クリアー塗料は塗り重ねるほど色が濃くなるので、他の肌パーツと同じ色味で仕上がるよう様子を見ながら少しづつ塗り進めましょう。
メタリック調塗装
ガレージキットによっては、メカや武器といった「金属っぽい素材」のパーツが出てくることがあります。
こういったパーツはメタリック系の塗料で塗装するのが一般的です。
メタリック系塗料は最終仕上げでトップコートが出来ないものもあるので、基本色が全て塗り終わったくらいで塗装することが多いですね。
基本色が塗り終わったパーツです。このパーツのメタリック系塗料を塗る部分を事前に光沢のブラックを塗装しておきます。
下地がブラックの状態でメタリック系塗料を塗ると色に深みが出てカッコよくなります。オススメです。
途中写真を撮っていなかったのでいきなり仕上がっちゃいましたが、光沢ブラックの上からゴールドを塗装したらこんな時上がりになります。高級感のあるゴールドになりました。
あと、メタリック系塗料の上からトップコートをする場合は、目立たない部分でテストして変な感じにならないかをしっかり確認してから行いましょう。
メタリック塗料の光沢感の変化に不安がある場合はラッカー系トップコートは使わず、水性トップコートで仕上げるという手もありますね。
スミ入れ
ガレージキット塗装でも「スミ入れ」は有効な塗装技法の一つです。
スミ入れのやり方は「ガンプラ初心者でもできる!エナメル塗料を使ったスミ入れのやり方を徹底解説!!」の記事を参考にしてみてください。
スケールモデルやガンプラみたいに深いスジボリがされていたりするわけでもないので、スミ入れを行う場所には注意する必要があります。
それから、使用する「色」にも気を使いましょう。
すべてのパーツに同じような「黒」のスミ入れをするのではなく、例えば「緑」のパーツならスミ入れは「深緑」というように”同系色”のスミ入れ塗料を使うと自然な感じに仕上がりやすいです。
最後ははみ出した余分を綿棒や筆を使用して拭き取ってやればスミ入れ完了です。
ドライブラシでパーツの質感を変える
例えば、冬物のフードに付いているような「モコモコ」のパーツ。
まず、ベース色をブラウン系に塗装してやって、
その上からホワイトの塗料でドライブラシしてやれば、モコモコがそれっぽく仕上がります。
モコモコの飛び出ている部分だけが塗装されて、ドライブラシで塗料が入らないような奥まった部分はブラウンの色が残ったままになりました。
ドライブラシがどんなものなのか分からない方は、こちらの「ガンプラ初心者でも簡単にできる!ウェザリング「ドライブラシ」のやり方」を参考にしてみてください。
それ以外にも、ジーンズなんかのデニム生地だったり、くたびれた布生地なんかの質感を表現するのにもドライブラシは有効です。
塗装した基本色より一段階明るい色を調色してドライブラシをしてやれば、よく擦れる角の色が落ちている表現ができます。
特殊な方法でパーツの質感を変えてみる
実際に塗装をせずにパーツの質感を変化させる方法です。ちなみに、これはさっき肌パーツのサフレス塗装で塗っていたパーツです。
この足パーツには包帯が巻かれているモールドがしっかり入っているのですが、これを実際にマスキングして塗り分けるのは非常に面倒。
なので、ここは「白色のマスキングテープ」を使用して包帯の表現をしてみました。
使用したのはコチラの「マスキングテープ マットホワイト」です。
それっぽくなれば仕上げに何を使ってもいいという例です。ガレージキットに正解は無いので色んなものを使って作るのも面白いですね。
顔の塗装
一番の難所である「アイペイント」の塗装がある顔パーツについてです。
アイペイントについては別記事「やり方とコツさえ掴めば簡単に出来る!?フィギュアのアイペイントの方法を一から説明してみた。」にまとめているのでそちらを参考にしてみてください。
それ以外には「口」の塗装もあります。
モールドがしっかり入っている口なら、スミ入れの要領でエナメル塗料の「ピンク」を流し込んでやればそれっぽく仕上がります。
トップコートで光沢をコントロールする
最後はトップコートで各パーツのツヤを整えてやりましょう。
トップコートにはツヤを整える以外にも「塗膜の保護」という役割もあるので塗装して損はないでしょう。
ここでもパーツの素材によってトップコートの種類を変えてやると説得力がでます。
例えば
- 肌パーツなら→つや消しトップコート
- 金属系パーツ・硬そうなパーツ→光沢トップコート
- 光沢感のあるシルク系の布→ホワイトパールの上からつや消しトップコート
といったかんじです。
つや消しトップコートについてはコチラの記事「これでアナタもつや消しマスター?つや消しのトップコートの種類と質感を徹底比較してみた。」で比較をしているのでもしよければ参考にしてみてください。
まとめ
上手なフィギュアの塗装で重要になってくるのは「塗装による質感のコントロール」だと私は考えます。
色んな塗装法をマスターして、お気に入りのガレージキットを綺麗に仕上げてみましょう!
それでは。
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