こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
一般的に知られているフィギュアは、模型メーカーが販売している完成品のものだと思いますが、中にはガレージキットよばれる未完成の状態で販売されているフィギュアが存在しているのをご存知でしょうか?
『ガレージキット』とは、メーカーや個人が少量生産で”レジンキャスト”という樹脂を用いて作ったフィギュアのひとつです。
このガレージキットは「ワンダーフェスティバル」や、「C3(旧キャラホビ)」、「トレジャーフェスタ」といったフィギュアイベントで手に入れることができ、それ以外にも模型メーカーが少量生産で販売しているものもあります。
そして、ガレージキットというのは”キット”という名前がついている通り「自分で組み立て・塗装を前提としている模型」です。フィギュアイベントで欲しいガレージキットがあったとしても、「買っても作れないしな・・・」なんて考えて、結局買うのを諦めたりなんての人も多いと思います。
しかし、「プラモデルをある程度のレベルまで組み立て・塗装をしたことがある人」で、製作必要な最低限の道具を揃えられる人ならば、この「ガレージキット」も案外簡単に作れちゃうんです。
そこで、フィギュアを0から作るはハードル高いけど、ある程度完成した状態の物から、自分なりに作ってみたい人のために、ここでは、分かりやすくガレージキットの作り方を詳しく解説していきたいと思います。
プラモデルを作ったことのない人が誰でも簡単に作れる。とまでは言えませんが、一度作り方を理解してしまえば「プラモデルを塗装して製作するのとそう変わらない」レベルで作れてしまいます。
それでは早速、ガレージキットの作り方を解説してきましょう。
目次
作りたいガレージキットを入手しよう!
なにをするにも、まずは作りたいガレージキットを手に入れるところからです。
ガレージキットは主に、「ワンダーフェスティバル」「C3AFAマーケット」「トレジャーフェスタ」といったフィギュアイベントで手に入れることができます。
最近は少なくなってきましたが、模型メーカーが販売している「公式のガレージキット」もあります。ボークスが販売している”キャラグミン”のシリーズなんかがそうですね。
値段はピンきりで、安いものなら数千円から手に入りますが、高いものだと数万円するものもあります。
ちなみに写真のキットは、私が原型を製作してワンダーフェスティバルで販売したガレージキットです。詳しくは「少女終末旅行のフィギュアを作ったのでWF2018Wの告知をします。」へどうぞ。
なかには第三者が二次生産(コピー)をした”偽物”もあります。正規販売ルートや、ちゃんとしたフィギュアイベントで購入することを心がけましょう。
購入後は、ガレージキットのパーツチェックをしよう。
ガレージキットを手に入れたら、まずパーツチェックをしてください。
ほとんどの場合、簡単な取扱説明書が入っていてその中に「パーツリスト」があると思います。
そのパーツリストと実際に入っているパーツを並べながら全パーツ入っているかどうか確かめましょう。
ガレージキットのほとんどは「個人製作」のものばかりです。なのでかなりの確率で「パーツ不足」があります。
イベントで売られているガレージキットは、基本的に「パーツ不足対応は、数週間~1ヶ月」といった短い間でしか受付ていない方も多いです。購入したら早い段階でパーツチェックを済ましておきましょう。
早速組み立ててみよう!その1『パーツに付着した離型剤を落とす』
ガレージキットは複製の関係上、パーツ表面に「離型剤」という油のようなものが付いています。この「離形剤」を落とすためにパーツを洗ってやる必要があります。
離型剤を落とす方法はいくつかありまして、お湯で茹でる、レジンパーツ専用の離型剤落とし、中性洗剤で洗う、市販のパーツクリーナーで離型剤を落とす、などがあります。
ここで説明すると長くなるので「ガレージキットの離型剤を徹底的に落とす方法!」の記事にまとめましたので参考にしてみてください。
フィギュア初心者でもできる!ガレージキットの『離型剤』を徹底的に落とす方法ガレージキットを作るために必要な道具・材料
ガレージキットを作るには、プラモデル同様いくつか必要な工具や材料を揃える必要があります。それらを一つ一つ紹介、解説していきます。
ニッパー・デザインナイフ
フィギュアや模型を作るなら持ってるであろう「ニッパー」と「デザインナイフ」です。
ニッパーは主に、パーツには必要ない「湯口」という部分をカットするのに使います。
デザインナイフでは、同じように「湯口」「バリ」「パーティングライン」といったパーツには必要ない部分の処理に使います。
デザインナイフを持ってない方はコチラの記事「プラモデル製作では必須!色んな種類の「デザインナイフ」の種類 まとめ」を参考にしてみてください。
ニッパーについてはコチラの記事「ガンプラ製作で使える!プラモデル用ニッパーのオススメ8選【2017年度版】」を参考にしてみてください。
ちなみに、ガレージキット製作では「太い湯口」を切るときもあるので、ゲート専用精密ニッパーなどの”刃先強度が弱いニッパー”を使用するのはオススメしません
ガレージキットには「軽い金属線とかに対応した強度のあるニッパー」を使用するのがオススメです。
中には「ガレージキット専用のニッパー」もあったりします。ゴッドハンドが販売していますね。
やすり
パーツを磨くのに使います。
ロボット系のメカなら、当て木の付いたやすりをたくさん用意しておきましょう。
プラモデルとは違い、入り組んでいる複雑なパーツも多いので、形状に合わせてヤスリを加工できる「格安で超簡単に作れる!スチレンボードを使って「自作ヤスリスティック」を作ってみた。」とかもオススメです。
また、フィギュア系で丸みをおびたパーツがある場合は「スポンジやすり」も用意しておきましょう。
スポンジやすりについては「【ガンプラ工具】曲面の表面処理が捗る!便利な「スポンジヤスリ」の種類まとめ」参考にしてみてください。
アルミ線
ガレージキットは、プラモデルのように「パーツ同士をはめ合わせたら簡単に組み立てられる」というものではありません。
パーツ同士の接続は、アルミ線などを使って自分でパーツをつなげてやる工作が必要になります。このパーツ同士を繋ぐ作業を「軸打ち」といいます。
「軸打ち」に使う材料は、プラ棒でも金属線でも何でもいいのですが、私は「アルミ線」を愛用しています。
理由としては、素材がアルミなので柔軟性があり、値段が安いからですね。アルミ線はダイソーで買えます。
用意するサイズは、Φ1mm、Φ1.5mm、Φ2mm、Φ3mm、です。細かいパーツはΦ1mmで接続、大きくて力のかかるパーツにはΦ3mmで接続、といった感じで使い分けます。
彫刻刀
彫刻刀も数種類あれば便利です。
デザインナイフでは刃が届かなくて処理しにくいようなパーツで使ったりします。使用頻度が高いのは刃先が「平」のタイプです。平の3mmと6mmがあれば安心ですね。
彫刻刀については「プラモデルの改造で使える!模型用の「タガネ」や「彫刻刀」を紹介する。」の記事を参考にしてみてください。
接着剤・パテ
パーツ同士を組み立てるために必要な「接着剤」と、合わせ目やパーツの気泡を埋めたりするのに使用する「パテ」です。
レジン(ポリウレタン樹脂)を素材とするパーツには、プラモデルで使用するようなプラを溶かして接着する「溶剤系接着剤」は使えないので注意してください。
2液タイプのエポキシ系接着剤や、シリコンゴム系の強力接着剤を使用しましょう。
私はセメダインのゴム系接着剤「スーパーXG」と、コチラの瞬間接着剤の「シアノンDW」をよく使っています。
大きいパーツを接着する時は「スーパーXG」、合わせ目消しが必要なパーツには「シアノンDW」という感じで使い分けています。
各パーツを処理しながらガレージキットを作っていく
道具や材料を揃えたら、早速パーツの組立てをしてきます。
作業内容は、ガンプラやスケールモデルなどの”プラモデル製作”で使うテクニックとあまり大差ありません。
湯口・パーティングライン・バリの処理
ガレージキットのパーツには「湯口」と「パーティングライン」、「バリ」という余計なものがついています。本来なら必要無い部分なのでニッパー、デザインナイフ、やすり、を使用しながら除去していきましょう。
詳しくはこちらの「ガレージキットの湯口・パーティングライン・バリの処理の方法をまとめてみた。」を参考にしてください。
ガレージキットの湯口・パーティングライン・バリの処理の方法について成形不良・気泡の処理
ガレージキットは個人が製作した手作りのキットです。なので、パーツの中には大きな気泡による「成形不良」や、レジンから出た泡で発生する「微細気泡」というものがあったりします。
成形不良や微細気泡は、完成した時の見栄えが悪くなるので、見える箇所にあった場合は綺麗にパテや接着剤で埋めるなどして処理をする必要があります。
気泡・合わせ目消し・成形不良のパーツの処理についてはコチラの記事「ガレージキットの気泡・合わせ目・ゴミ混入パーツの処理の方法をまとめてみた。」を参考にしてみてください。
ガレージキットの気泡・合わせ目・ゴミ混入パーツを処理する方法パーツ同士の軸打ち
ガレージキットはプラモデルのように「はめ合わせたら固定される」というものではありません。
ドリルで穴を開け、その穴にアルミ線などを通してパーツ同士を固定させていきましょう。
これについても、詳しく書いていくと記事が長くなりそうなので、別の記事にまとめます。
「関連記事リンク予定」
ガレージキットのパーツ処理が終わったら傷や粗を確認しよう
塗装前に加工したときに出た削り粉を綺麗におとす
サーフェイサーを塗装する前に、湯口処理、表面処理で粉まみれになったパーツの洗浄をしておきます。
この汚れた状態でサーフェイサーを塗装してしまうと、表面に付着している細かい粉まで巻き込んでしまうので綺麗な塗装ができません。
先細の歯ブラシなど使用して各パーツを丁寧に洗いましょう。
洗剤を使用したガレージキットの洗浄は「ガレージキットの離型剤を徹底的に落とす方法!」の記事にまとめているので参考にしてみてください。
フィギュア初心者でもできる!ガレージキットの『離型剤』を徹底的に落とす方法サーフェイサー塗装
サーフェイサー(下地塗料)を塗装したら、細かい傷や、加工した部分の粗を確認します。
目立つキズが見つかった場合は、600~800番の細かいヤスリで磨いて消してやりましょう。
作業の流れとしては『粗を修正→サーフェイサー→粗を修正→サーフェイサー・・・』の繰り返しで、自分が納得いくまで綺麗に仕上がったら、基本塗装に進みましょう。
ガレージキットを塗装する
ガレージキット製作では、「塗装の出来」がいちばん完成度を左右するポイントだと思います。
ガレージキットの基本的な塗装については「ガレージキットの塗装のやり方を徹底解説!色んな塗装技法を使ってパーツの質感を変えてみよう。」の記事を参考にしてみてください。
ガレージキットの塗装方法を徹底解説!色んな塗装技法を使ってフィギュアの質感を変えてみよう。パーツの基本塗装以外にも、キャラクターフィギュアでは「アイペイント」が必要になってくる場合があります。
親切なディーラーさんが作られているフィギュアだと、たまに「瞳デカール」という便利アイテムが付属していることもあります。付属していたらラッキーです。遠慮なく使いましょう。
しかし、ほとんどの場合は面相筆を使用してアイペイントをしなければなりません。しかもアイペイントはとても難しく、「それなりの経験」と「絵心」も必要となってきます。
ただし、フィギュアの顔パーツに目のラインが薄くくぼんでいるモノもあったりするので、その”くぼみ”をアタリにしてアイラインを書いていけば意外と塗装が出来ちゃったりもします。
ようするに「アイペイントに必要な道具」と「アイペイントの方法」をしっかり知っておけば、案外なんとかなるもんです。
詳しいアイペイントについては「やり方とコツさえ掴めば簡単に出来る!?フィギュアのアイペイントの方法を一から説明してみた。」の記事にまとめているので参考にしてみてください。
やり方とコツさえ掴めば『アイペイント』は簡単に出来る!?フィギュアの目を塗装する方法を解説塗装が終われば完成!
完成後は、飾るなり、写真をとるなり、一緒の布団で寝るなり、各自で自由に楽しんでください。
ガレージキットは1つひとつのパーツを丹精込めて自ら製作するので、完成品を購入するのとは、また違った味わいがあります。
もちろん、初めてガレージキットを製作して「上手に作れなかった・・・」なんてこともあると思います。
しかし、一度完成を経験してしまえば「何が悪くて上手に作れなかったのか」も見えてくると思います。
はじめは失敗ばかりだと思いますが、失敗を繰り返してでも、完成品で売られているメーカー製フィギュアよりもクオリティの高い作品を作れるよう目指してもらえればと思います。
また「高いお金払って購入したガレージキットで失敗したらどうしよう・・。」と考えてしまって、挑戦すらできずにいる人も多いのではないでしょうか。
この記事が、少しでもそういった方のガレージキット製作の後押しになればなとも思っております。この記事を参考にしていただければ、失敗のリスクも多少は減るのではないかと思います。
それでは。
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