レジン複製用シリコーンゴムが正常に使えない時のトラブルシューティング一覧

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  • 柚P

 

こんにちは、柚Pです。

みなさんには、レジン複製で使用するシリコーンゴムが正常に使えずに困ったという経験はありませんか?

この記事ではそんなシリコーンゴム使用時に発生する問題や、その原因や解決策について詳しく解説していきます。

シリコーンゴムが固まらない

いちばんよく聞く問題ですね。

ゴムが硬化しない原因は様々ありますので、いくつかの種類に分けて解説していきます。

硬化時間は足りてる?

「シリコーンゴムを流して1日経ったのになんだか生っぽい・・・硬化剤も規定量入れてるのに・・・」というとき、大抵の場合は作業場の室温が極端に低い事が原因だったりします。

室温が低さからくる硬化不良は、冬などの季節で起こりがちですね。

シリコーンゴムは20~25℃程度の環境で、パッケージに表示されてる通りの性能を発揮できるように作られています。

ですので、室温が極端に低い冬場(0℃~)に作業してしまうと、通常の硬化時間の数倍時間がかかってしまうこともあります。

特に24時間硬化タイプのシリコーンゴムでは、その影響が顕著に現れる気がします。例えば、信越のKE-1417や造形村の透明シリコーンですね。2日経っても生っぽい場合があったりするので、しっかり暖房を効かせた部屋で硬化させてやりましょう。

またシリコーンゴムは空気中の水分を取り込んで硬化するため、湿度が極端に低い環境下でも硬化不良を起こす場合があります

問題の解決方法としては、

  • 室温を上げる(20~25℃程度)
  • 湿度を上げる(30%以上推奨)

が挙げられます。

硬化剤さえちゃんと入っていれば、適切な温度・湿度で硬化は再度始まりますので、あせらず落ち着いて対策をしましょう。

ちゃんとした材料を使えているか?

気温も湿度もそこまで悪くないのに何故か正常に硬化しない・・・。という場合は、使っている材料を疑ってみてください。

まずは主剤と硬化剤の種類が適切か確認してみましょう。違う種類の主剤と硬化剤を混ぜたところでは正常に硬化しません。

次に、シリコーンゴムを購入した日を確認してみましょう。

シリコーンゴムの使用期限はだいたい1年程度ですので、あまりにも昔に購入したシリコーンゴムは正常に硬化しない恐れがあります。

ですのでシリコーンゴムは鮮度の良いものを使う分だけ購入し、作業毎に使い切るよう心がけて作業しましょう。

そもそも硬化時間が長いタイプを使っていないか?

一般的に模型ユースで販売されているシリコーンゴムの硬化時間は「6~8時間硬化」が多いです。しかし中には、「24時間硬化のシリコーンゴム」もあったりします。

遅硬化タイプのゴムを、7~8時間硬化のものを同じ感覚で使っていると「粘土を剥がしたけどゴムが未硬化でした・・・」なんて失敗に繋がってしまう恐れがあります。

ちなみに24時間硬化のゴムで有名なのは、

  • 造形村 透明シリコーンゴム
  • 信越 KE-1417

がありますね。

このような遅硬化タイプのゴムは、特に気温の低い冬場では24時間以上経っていても十分に硬化していないことも多々ありますので、冬場の室温対策は必須といえます。

付加タイプのシリコーンゴムを使用していないか?

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シリコーンゴムには「縮合タイプ」と「付加タイプ」という種類があります。

一般的によく売られているシリコーンゴムのほとんどは「縮合タイプ」といって、硬化時にアルコールを放出するという特徴があります。

対して「付加タイプ」のシリコーンゴムは、アルコールの放出などはありませんが、接触していると硬化阻害を起こしてしまう物質があったりします。

レジンキャストの複製で影響がありそうな素材としては、

  • 油粘土
  • 合成ゴム
  • 塩化ビニール樹脂(PVC)
  • ポリエステル樹脂
  • エポキシ樹脂
  • ウレタン樹脂(イソシアネート類)
  • 接着剤
  • ワックス類
  • 縮合タイプのシリコーンゴム

などが挙げられるようです。

こういった特性から、付加タイプのシリコーンゴムは、粘土埋めの工程が無い引き裂き型なんかでよく使われていますね。

またポリパテ原型やエポパテ原型でも硬化阻害を起こすそうなので、付加タイプのゴムを使用して複製する場合は、アクリル系塗料のサーフェイサーで全体をコーティングしてから複製作業を行うようにしましょう。

シリコーンゴムがすぐ固まってしまう

シリコーンゴムが混ぜている最中に固まってしまった、膜のような固形物が出来てしまう、などの問題がよく聞きますね。

作業場の室温・湿度が高すぎていないか?

寒すぎるとシリコーンゴムが正常に硬化しないという問題もありますが、逆に、部屋が熱すぎても正常に硬化しません。

特に夏場の作業場なんかは室温35℃、湿度60%とかザラにあります。

対策としては、

  • 室温・湿度を適正な状態にする
  • 硬化剤の量を減らす

が有効でしょう。

室温・湿度については、エアコンなどの空調を入れるのがてっとり早い解決方法になりますね。湿度が高すぎる場合は除湿機を回すというのもいいでしょう。

他にも、硬化剤の量を減らすという対策方法もあります。個人的にはあまりオススメしませんが・・・。

硬化剤を規定の量の1/2~2/3程度に減らして混合することで、硬化速度をコントロールすることができるみたいです。

メーカー側が公開してくれているデータシートにて、ゴムが正常に硬化する硬化剤の最低量を明記してくれているところもありますが、そういう情報が出ていないゴムの硬化剤の量を変更する時は、正常に硬化するかテストを行なって本番で使うようにしましょう。

シリコーンゴムが劣化していないか?

シリコーンゴムの使用期限は1年程度なので、購入してから時間の経ったシリコーンゴムは未開封でも劣化が進んでおり、正常に硬化しない恐れがあります。

劣化したシリコーンゴムを見分ける方法にもいくつかありまして、一番分かりやすいのがラベルの「製造年月日」を確認するという方法です。(製造年月日が書かれていない物も多いですが・・・)

他にも、容器が錆びていたり、内容物の粘度がいつもよりも高いと、劣化してるシリコーンゴムの可能性が高いですね。

また新品で購入したという場合でも、在庫の回転が少ないような店だとデッドストック品を購入してしまうこともあるでしょう。

明らかに品質が劣化しており使えなかったという場合は、お店に「正常に使うことができなかった」と連絡し、対応してもらいましょう。

撹拌中に硬化が始まって膜のような固形物が発生する

シリコーンゴムの撹拌時に、硬化剤が素早く混ぜ合わせられなかった時に起こりがちです。

主剤と硬化剤が撹拌されて無い状態で接触し続けていると、2液の接触面で強制硬化が始まってしまい膜のような固形物ができてしまいます。

ですので、硬化剤を投入後は素早く撹拌するようにしましょう。

硬化剤の種類は適正か?

シリコーンゴムの硬化剤には「倍速タイプ」というものが存在していたりします。

倍速タイプのものは、通常のシリコーンゴムよりも素早く硬化しゲル状になるもので、主にドールパーツやフェイスマスクを作ったりなどの大型パーツの複製でよく使われていますね。液状のゴムを流し込むというより、ゲル状のゴムを原型にペタペタ貼り付けて使うイメージです。

知らずに倍速タイプを使用すると「何故か硬化速度が爆速で、撹拌中にゲル化していく」という問題に見舞われます。

シリコーンゴムを購入するときは、硬化剤の種類もちゃんと確認したうえで購入するようにしましょう。

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