こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
前回の記事『光造形方式3Dプリンタ『Phrozen Shuffle XL』のセットアップをしてみた。』では3Dプリンタを使う準備をしましたね。
というわけで今回の記事は、SK本舗さんで用意されている『テストデータ』をつかって、データのアップロードから出力までしてみたいと思います。
目次
テストデータを入手
まずは出力するデータを用意しましょう。
Phrozen Shuffle XLで取り扱えるファイルの拡張子は
- .STL
- .SLC
- .SVG
- .ZIP(.PNG)
の4種類みたいです。
この記事では、SK本舗さんで用意されている『SK_ring.stl』というテストデータを使います。拡張子はSTLなので対応していますね。このデータ以外にも『テストデータ STL』と検索して調べれば、テストデータがいくつか出てくるのでそちらを使ってみてもよいかと。
テストデータを3Dプリンタにアップロードする
まずはじめに、3Dプリンタに表示されているIPアドレスをブラウザに入力し管理画面を開きます。
プリンタとPCの接続については、前回の記事『光造形方式3Dプリンタ『Phrozen Shuffle XL』のセットアップをしてみた。』をご確認ください。
管理画面に入れたらファイルをアップロードしていきます。
が、私は英語があまり得意ではないので、どこへアップロードすればいいのかさっぱりです。
パワーオフとリスタートくらいは辛うじて読めますが、私の英語力ではこれ以上先へいけそうにありません。ファイルアップロードの前に言語をなんとかしましょう。
管理画面を日本語化する
右上バーの『setup』から設定画面に移り、『Language(言語)』のバーを見つけます。
ここで『日本語』を選択します。
最後は、一番下にあるボタンを押して変更を保存。
ホーム画面に戻って日本語になっていたら作業完了です。これで私でも理解できるようになりました。
現在のバージョンでは、若干日本語の翻訳が怪しいところがありますが、なんとなくでも意味が分かればいいんです。
出力ファイルをアップロードする
3Dデータをプリンターにアップロードしていきます。
ホーム画面一番上の『モデルファイル』をクリックして、次に『新規ファイル作成』をクリックします。
こんな画面が出ました。ここに、アップロードするデータや必要な設定を入力していきます。
入力するところがたくさんありますが
- モデルファイル
- プロフィール情報
私はこの2箇所しか操作しません。
それ以外の入力欄はどういう時に使うのかわかんなかったので・・・。
モデルファイルには、出力する3Dデータを入れます。拡張子はさっき書いた4種類のどれかで。
プロフィール情報は、レジンの設定です。初期設定では『Phrozen Grey ABS-50um』というPhrozen純正レジンのプロフィールが入っています。これ以外のレジンを使う場合は、個別で設定してやる必要があるようです。※後述
2箇所の入力が終わったら、一番下の『提出』ボタンをクリック。これで3Dプリンターにデータがアップロードされます。
無事にアップロードが終われば、表示されてるファイルが増えてるはずです。私の場合は『SKRing』が追加されました。
USBメモリを使ってアップロードする
USBメモリを使って直接アップロードすることも出来ます。
USBメモリにSTLファイルを入れてPhrozen Shuffle XLに差し込みます。
Phrozen Shuffle XLのタッチパネルから『PLATES>USB files』を選択。
USBメモリに入っている3Dデータが表示されます。
上側でレジンの設定、読み込んでいるUSBメモリの選択ができ、下側はUSBメモリに入っているファイルが表示されます。ここからアップロードしたいファイルを選択しましょう。
なんか英語が出てきました。『これでいい?』みたいなことを聞かれています。最終確認ですね。
表示されているProfileとPathとFileが間違えなければ『Yes』を選択。
プログレスバーが出てきて読み込みが始まります。すべて終われば『OK』を選択してアップロード完了です。
レジンの設定
レジンの設定をしましょう。
ホーム画面一番上の『レジン紹介』をクリックしてこのページをひらきます。
初期で登録されているのは『Phrozen Grey ABS-50um』というレジン1つだけです。
Phrozen純正レジンを使う場合は『Phrozen Grey ABS-50um』の設定が使えるのでなにもいじらなくてもOK。
ちなみに、私が購入したレジンはWANHAOの『WHレジン』です。
というわけなので、WHレジン用の設定を新しく作ってやりましょう。
レジンの設定
出力もしたことない人が1からレジン設定を作るのはかなり難しいので、既存の『Phrozen Grey ABS-50um』の設定を書き換える方法で新しい設定を作っていきます。
まずPhrozen Grey ABS-50umの欄にある『コピー』のボタンをクリックします。
そしたら、Phrozen Grey ABS-50umの設定そのままのコピーが作れます。これを基準に数値をいじって調整していきましょう。
私が変更した箇所は
- タイトル→レジンの名前
- ベースレイヤー>硬化時間(秒)→130秒
- 一般レイヤー>硬化時間(秒)→9.5秒
- モーター速度>低速速度→120
などです。
『ベースレイヤー>硬化時間』は、ビルドプレートにくっつけるために行う始めの照射時間の設定です。ビルドプレートにレジンが食いつくように、一般的に100秒前後で設定するらしい。
『一般レイヤー>硬化時間』は出力品の積層をする時の照射時間です。この数値は、レジンの種類やらレジン温度によっても変わってくると思います。
Phrozen Shuffle XLでWHレジンを使ってる方をネットで調べてみたところ、9.0~10秒の間での運用が多いみたいだったので、私は間をとって9.5秒で設定してみました。自分の環境で調節してみて。
『モーター速度>低速速度』は名前通りの意味です。プリント中の低速速度を設定できます。サポートがちぎれたり、出力品が歪んだりする場合、この数値を下げて遅くしてやればいいらしい。
こんな感じでレジンの設定をしました。
レジンの設定を変更した後は、アップロードした3Dデータのレジン設定も忘れず変更しておきましょう。
3Dデータを出力する
SK本舗さんで用意されているテストデータには、始めからサポート(リング周辺にある構造物みたいなやつ)が付いているのでそのまま使えます。
レジンを温める
Phrozen Shuffle XLの取り扱い説明書によると『レジンは25~40度くらいまで温めて使うと良い』と書いてあります。
ですので、事前に60度程度に温めたお湯の中にレジンボトルを入れて予熱しておきましょう。
私は、SK本舗さんで購入した超音波洗浄機『SKUS3L』を使いました。水を入れた槽内にレジンボトルを入れておけば、内蔵のヒーターで設定温度まで温めてくれます。
レジンが温まったら撹拌させます。
シェイクしすぎてレジンが泡々になるのも悪い(出力品に気泡が入ったりする)らしいので控えめに。
レジンバットにレジンを注ぎます。
レジンを入れすぎると、ビルドプレートが浸かった時にオーバーフローするので、大きな出力品を出す時以外は、レジンの量は控えめにしましょう。
出力スタート
アップロードしたデータは【ホーム画面>PLATE>SK_Ring_2019_F>Print】で出力できます。
右上の『Print』を選択すると出力スタートです。同時にプリンター側の画面も切り替わり『PRINTING』になりました。
『Layer』では、残りのレイヤー数が確認でき、『Remaining』では残り時間が確認できます。
この表示によると、131min(約2時間)で出力できるらしいです。
あとはただひたすら待つのみ!
出力終了
出力が終わればビルドプレートが上がってきます。
なんか付いてますね、ひとまず出力成功?っぽいです。
出力失敗したら?
3Dプリンタの出力では、本来あるはずのパーツがビルドプレートに付いていない・・・なんて失敗がよく起こります。
はじめは、消えたパーツはどこ行ったの?ってなりますよね。
ほとんどの場合、出力に失敗したパーツは『レジンバット』の中に残っています。レジンバットに入っているレジンをボトルに戻し、失敗したパーツにアクセスできるようにします。
床面のフィルムに失敗したパーツが張り付いているので、フィルムが傷つかないようにシリコンヘラやプラヘラで丁寧に取り外してやりましょう。
出力品の洗浄
無事に出力できたら、ビルドプレートを取り外し出力品を金属製のスクレーパーで取り外します。
取り出した出力品は、未硬化のレジンでベトベトになっているので、無水エタノールをつかって洗浄してやります。
このときも超音波洗浄機があれば楽に洗浄できますね。
超音波洗浄機が無くても、出力品を筆で撫でて洗ってやる方法もあります。
二次硬化
出したばかりの出力品は柔らかいので、レジンの表面をさらに硬化させる『2次硬化』をしてやる必要があります。(出力品の形が変わってるけど気にしないで)
2次硬化には色々な方法があるようですが、私は一番簡単にできる『野外に放置』で二次硬化をしてみました。日陰に模型用のターンテーブルを置いて1日放置です。
ちなみに、直射日光に当てると変に硬化しちゃって、出力品にクラックが入るという噂もあるので、二次硬化は日陰で行いました。日陰でも十分紫外線が当たるらしいので。
サポートと出力品の切り離し
出力の関係で取り付けられているサポートを切り離します。
無理やりちぎってもいいですが、慎重に切り離したい場合はニッパーなどを使って作業しましょう。
サポートと原型が外れたら作業終了です!お疲れさまでした!
まとめ
ここまで出来てようやく3Dプリンタのスタートラインに立てたという感じでしょうか。私自身も、まだまだ分からないことだらけで失敗ばかりしてますが・・・。
次回は無償スライスソフトを使って、出力用のデータ製作に挑戦してみます!
それでは。
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