なぜ今になって2年落ちのELEGOOの『MARS 4 Ultra』を購入したのかという話

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは、柚Pです。

このたび1年ぶりに新しい光造形3Dプリンターを導入いたしました。ELEGOOの「MARS 4 Ultra」という機種でございます。

「今更?」という声が聞こえてきそうですが、それもそのはずMARS 4 Ultraは2年も型落ちした機種。現在はもっと新しい機種が色々と発表されています。

ではどうして今になってMARS 4 Ultraを選んだのか、今回の記事ではその理由について詳しく語っていこうかとおもいます。※今回の内容は私の思想強めなのでそういうのが苦手な方はスルー推奨

MARS 4 Ultra はどんな機種?

ELEGOOが販売するMARS 4 Ultraは、7インチのLCDパネルを搭載した小型の光造形プリンターです。

基本スペック

  • LCD解像度:8520×4320
  • XY解像度:0.018mm
  • 印刷サイズ:153×78×165mm
3Dプリンターを選ぶときに見ておくべきポイントとは?性能の違いを比較できるようになろう! 3Dプリンターを選ぶときに見ておくべきポイントとは?性能の違いを比較できるようになろう!

2年前のモデルとはいえ、今でも十分に使える解像度はありますね。

ちなみに今回わたくしはAmazonではなくELEGOO公式通販サイトから購入させてもらいました。そちらのほうがセールで安くなっていたので。

2年も型落ちの機種をあえて購入した理由

結論から言うと、そもそも魅力的な新機種が無かった。というのが大きな理由です。

現在も新しく発表され続けている光造形3Dプリンターですが、個人的に「欲しいと思える機種」がありません。

私の要望をすべて満たしている機種があるとすれば、UniFormationの「GK3」という機種が挙げられます。

  • LCD側からのレジンヒーター
  • ビルドプレート、レジンバッドのクイックリリース
  • 4点からレベリング調整できるビルドプレート
  • フリップアップ式の前面カバー
  • WiFi対応

これらを見るだけでもかなり魅力的な機種ではありますが1つだけ大きな問題が・・・。日本向け窓口が無ければ、日本の代理店すら無い状態なんです。

個人輸入すれば手に入りますが、トラブルが起こったときに対応できる気がしません。なにか起こって修理対応するのに本体の返却をしようにも、国を超えなくてはいけないのでそれだけでも一苦労でしょう。

さらに、前機種のGK2でしたら「サンステラ」が代理店として取り扱っていたのですが、GK3の代からはなにやら品質的な問題があったようで「サンステラ」で取扱をしない方向に動いているっぽくて、それも無視できない点です。

ソフトウェアに問題があるのか、ハード面の品質に問題があるのか、それらの問題が解決するまでは手が出せませんね。今のところ様子見って感じです。GK2の評判が良かった反面ちょっと残念です・・・。

それからELEGOOのMARS 5 Ultraに関しても、私はすべての面で改悪だと思っているのでそもそも選択肢には入っていません。チルトリリース機能や自動レベリング機能、電源ボタンやUSBコネクタの位置、外観デザインなどなど。

同社のSaturn 3 Ultraも購入の選択肢に入っていたのですが、現在うちにはSaturn 8kが既にあるため、大型機2台になるよりは小型機が1台欲しいなということでこちらもパス。

また今年は新機種のMARS 6が発表されるのでは?と期待していましたが、既存商品のセールばかりで何もありませんでしたね。

その他メーカーの機種でも、レジンバットの外周にヒーターがついてるタイプだったり、レジン自動供給だったり、私の好みでない余計な機能が埋め込まれたりしておりイマイチ決定打に欠けます・・・。

そんなこんなで、現状一番安牌なMARS 4 Ultraになったわけであります。あえて選んだというより消去法で選ばれた、ですね。

MARS 4 Ultraの良いところ

それはそれとしてMARS 4 Ultraは日本のユーザーからも今でも大人気です。何でそこまで選ばれているのでしょうか?

ここからはその理由に迫っていきます!

メディア差し込み口と電源ボタンが正面に配置されている

これ意外とできているところ少ないんですよね。

マザーボードのレイアウトの関係なのか、ほとんどの機種で電源ボタンは背面、USB差し込み口は側面、になっています。

「USBの差込口を側面に付けたらプリンターの横にモノ置けなくなるじゃん!」って私は思っちゃうんですが、一般的にはプリンターの横に物とか置かないんでしょうか?

MARS 4 Ultraでは、電源、USBともに正面に配置されているので大変便利です。おかげでプリンターの横にアルコール洗浄機や二次硬化機を置いたりできます。

4点固定式のプラットフォーム

今までのMARSシリーズでは、2点のボルトで締め込む「ボールジョイント式のレベリング調整」でしたが、MARS 4 Ultraより「4点ボルト固定のレベリング調整」に変更されました。

今まで私はPhrozenのshuffle XLやsonic mini 4kを使っていたということもあり、やはりこちらの固定方式のほうが剛性感があり安心できます。

一度レベリング調整をしたら、印刷ミスでプラットフォームに大きな負荷かからない限り狂うことは無いため、手放しで運用し続けられます。

”ちょうどいい”7インチのLCD

これまではメイン機として大型の「10インチLCD」を搭載したSaturn 8kを使っていましたが、これがまた難しいんですよね、レベリング調整が。

7インチのような小さいプラットフォームと、10インチクラスの大きいプラットフォームを比べたとき、同じ角度のキャリブレーションのズレが起こったとしたら、プラットフォームが大きい方が縦方向のズレが大きくなってしまうのです。

ですので、プラットフォームが大型になればなるほど「正確なレベリング作業」が必須になってくるというわけ。これ結構難しい。

大型機を所有している方で、パーツをまとめて印刷している最中「片側だけラフトが剥がれて失敗した」なんて経験ありませんか?そういうことです。キャリブレーションのズレでZ方向の隙間に差が生まれることで、硬化不良&過剰露光が同じレイヤー層で起こってしまっています。

シックネスゲージやダイヤルゲージを使って正確に水平を取って上手に運用されているヘビーユーザーの方もいらっしゃいますが、皆が皆それができる訳ではありませんからね。

というわけで、7インチのような小型機のほうが、キャリブレーションが多少ズレていたとしてもZ方向のズレは許容範囲内で収まってくれるため、同じような条件でも”印刷の死”が起こりにくい「初心者向けのモデル」と言えるでしょう。

リリースフィルムのテンション

レジンバッドに貼られているリリースフィルムについても、小型機のほうが優れている点があります。

大型のレジンバッドに比べて小型のレジンバッドでは、リリースフィルムのサイズが小さく、テンションも強く張れているため、硬化したレジンをリリースするときに起こるフィルムの歪みが少なくできます。

フィルムの歪みが少ない=硬化レジンをリリースするまでが早い ということなので、単純な印刷速度の向上にも繋がるでしょう。大型機よりもリフト距離を短くできるというわけです。

WiFi機能

Twitterでは「スライスデータが壊れる」「不安定」などとあまり評判は良くないWiFi機能ですが、実際に私が使ってみか感じ特に不具合無く使えています。

てかWiFi転送機能めっっっちゃ便利ですね。

「USBメモリにデータ入れてプリンターに挿す」という単純な工程が無くなる程度なので自分には不要とずっと思っていましたが、いざ使ってみると感動しました。全部のプリンターに搭載してくれ。

真っ黒ボディ

良くも悪くも特徴の無いデザインなので、部屋に溶け込ませやすいです。

他のモデルは、オレンジやら赤やら緑やらのカラフルな筐体をしていることがほとんどなので、ブラックボディなのはデザインも重視して選んでるユーザーにもありがたいです。

MARS 4 Ultraのここがダメ

褒めてばかりでしたが、気に食わない点もいくつかあるので紹介しておきます。後継機で改善されるといいな。

上部ボディを一体成型で作るな

MARS 4 Ultraもいままで通り、上部ボディがズポッと抜けるようになっているのですが、これやめません?

これを外すためにプリンター上部にスペースを設けないといけない(棚などに置けない)し、外したあとのボディの置き場に困るしで、まるでいいことがないです。

今後はMARSシリーズもSaturn4シリーズのようにフリップ式のカバーにしていただきたい。

後付けヒーターの取り付け口ほしかった

ELEGOOから後付けのヒーターが発売されているのですが、MARS 4 Ultraには取り付けすることができません・・・

商品の発売タイミング的に対応してないのはしょうがないのですが・・・。もう少しだけパネルヒーターの民のままこの冬を乗り切ろうと思います。

保守部品の入手問題

こればかりは買うタイミングの遅い私が悪いのですが。

既に在庫処分でもおかしくないMARS 4 Ultraですので、保守部品である「LCDパネル」の在庫状況が気になるところではあります。

ぶっちゃけあと2年動いてくれれば十分なのですが、既に発売から2年経過しているモデルなので、保守部品がいつ無くなってもおかしくないわけです。

LCDの予備を買っておくほど使い続ける気も無いのでモヤモヤしますね。

数年はMARS 4 Ultraで我慢します!

現状満足できそうな機種がなかったので、ひとまずはMARS 4 Ultraにはそれまでの中継ぎとして頑張ってもらいましょう。

個人的にはUniFormationのGK3が日本で使えるような環境になってくれるのが一番うれしいですね。サンステラさん何卒よろしくお願いします。

記事に関連するキーワード