こんにちは、柚Pです。
ワンダーフェスティバルに参加し造形活動をしてる方なら1度は憧れる『ワンダーショウケース』、なんとWF2023Sにて、わたくし柚Pも選出してもらえました!
というわけでこの記事では、ワンダーショウケース(以下、WSC)に選ばれた人が一体どうなるのか、なにをしたのかという体験談を紹介していきます!
目次
ワンダーショウケースってなに?
大抵のことはWSC公式ページに事細かく書いてあるので、わざわざここで解説しなくてもいい気もしますが・・・。
簡単に説明するとワンダーフェスティバルの運営である海洋堂が主催となり、開催されるワンフェスごとに「今注目のガレージキット作家」を3人ほど選出して紹介してくれるというもの。
選出されたガレージキット作家は「WSCアーティスト」として、WSC公式ページをはじめ、様々なメディアでも紹介されまくります。
これから売れたいと思っているガレージキット作家にはとてもありがたいですね!
WSCにどうやって選ばれたのか
ここからは私の体験談になります。
WSCのお誘いが来たのは、WF2023冬のイベント開幕前でした。WSCレーベルプロデューサーでもある『あさのまさひこ』さんが直接うちの卓に挨拶しに来ていただいた形です。
WSCに選んでもらった作品『マゼラン』はWF2023冬が初お披露目だったので、あさのさんが「イベント当日作品を見て回って適当に決めた」というわけではなく、これまでのWFでの活動やSNSの動向などを事前にチェックしたうえで来られたんじゃないかと思います。
それ以前のワンフェスに参加しているときでも、何度かWSCの名札を付けたカメラマンが作品の撮影をしにきていたのを目にしたことはあったので、事前につばを付けられていたのでしょう。
WSCの名札を付けたカメラマンに撮影されたことあるディーラーさん、声をかけてもらえなかったからチャンスを逃したって思っていませんか?ちゃんとWSCに狙われていますよ・・・。
WSCに選ばれるにあたっての自身の心境
私は今までWSCには『自分の憧れてる原型師が沢山選ばれているワンダーフェスティバルの頂』なんてイメージを持っていました。
だからこそ、WSC選出の声を掛けてもらったときには、嬉しいという感情よりも「なんで私?もっと居るでしょ相応しい人が」という疑問のほうが大きかったですね。
正直、受けるかどうかめっちゃ悩みましたし、正式にWSCの返事ができたのはワンフェスが終了して5日も後の金曜日だったという・・・。
悩んでいるとき「自分よりもっと上手い人を知ってる」「どうして私なのか」「WSCに相応しくない」「そもそも造形文化に対する志が低い」という選ばれないための都合のいい言い訳が沢山頭の中を巡ります・・・。
許されるのならWSCに選ばれたことを誰かに相談でもしたいところですが、選出されたことは基本的に口外NGなので一人で悩むしかありません。
で、最終的にたどり着いた私の考えですが、WSCは狙って賞を取りにいくようなコンテストとは違い、海洋堂に一方的に選んでもらうシステムなんだから「自分の思ってる自分の評価はひとまず置いておこう」と。
「わざわさ選んでもらっといて断るほうがお前何様なんだ」「他人様がしてくれた評価を否定するほうが失礼では」と自分に言い聞かせる事で心の平安を保つことに。
それとは別に、「WSCってよく荒れてるしあんまし良いイメージがない」というのも選出を迷っていた理由の1つでもあります。
私がWSCに持っていた良くないイメージですが、
- WSCレーベルプロデューサー『あさのまさひこ』さんへのイメージ
- 最近になって変更されたWSCのキット販売方法など
ただこの問題についてはわりとすぐ決着がつきます。
WSCに選ばれたこともなければ、あさのさんと直接話をしたこともない私が持っている「噂のレベルを超えてない悪いイメージ」は、ありがたいことにWSCからお声がけ頂けた事で「実際のとこどうなのか」を自分で体験することができるわけです。
というわけで、私はWSCアーティストとして選ばれることを決め「実際選ばれてどうだったのか」という体験をしてみようという方向で進むことにしました。
幸い私はたくさんの方が読んでくださる自分のメディア(YZPハウス)を持っているので、悪い方に転んだとしても最悪ネタとして昇華することもできるなと(笑)
あさのまさひこさんに対するイメージ
私が抱いてたあさのまさひこさんに対するイメージについてですが、主にSNSや人づてで聞いた悪い噂ばかりです。私の近しい友人にも「あさのまさひこは苦手」と話す人もいますし。
ただ、SNSや人づてでこういう話をすると、どうしても「話し手の主観」が強く出てしまうものです。なので、こればっかりは直接会って話してみないと分かりません。あと時間が経つと人の性格も多少は変化してくるでしょうから、人から聞いた情報だけで他人を決めつけてしまうのは良くない。
というわけで実際にあさのさんと直接お話してきました。直接お話できたのは、WF2023W、リモート会議、アー写撮影会、WF2023S、のときですね。
数時間という少ない時間でしたが、私的には気分を害するようなコミュニケーションをとるような方ではなかったと感じました。
もちろん、お互いが持っている価値観(ジェネレーションギャップと言うべきか)は違うので、リモート会議のインタビュー中に自分の持っていない価値観から痛い質問される事もありましたが、そこは自分の考えを述べるとちゃんと「なるほどね~そういう考えね~」と納得してくれるので、気持ちのいい会話のキャッチボールをさせてもらいました。
私の年齢的にも、あさのまさひこさんが活躍されてたモデルグラフィックスだとかガンダムセンチネルだとかの時代の事とかは正直よく知りません。なのでこれはWSCレーベルプロデューサーとしての「あさのまさひこさん」に対して、私はそう感じたという話。
とはいえ、WSCは1999年から長く続いているものですので、実際に「私は彼に深く傷つけられた」と今でも思っている方もいらっしゃるでしょう。そういう方は自分の感じた気持ちも大切に。人には合う合わない絶対にあるとは思うので。
WSCのキットの販売方法について
これまでは海洋堂がWSC選出キットを複製・販売をしてくれていましたが・・・。前々回くらいからでしょうか、WSCに選出されたガレージキットの販売を自分で用意するシステムに変わったのは。
最近は3Dプリンター出力品のキットも増えてきているため、「海洋堂が代理で複製代行に出す」ということが難しくなってきているのも変化している理由のひとつかもしれません。
逆に代理複製のシステムをやめたことによって、まっつくさんや私のガレージキットでは3Dプリンターの出力品が使われている「デジタル造形特有の作品」を作られている作家さんも選びやすくなっているのではないでしょうか。
そして現在の販売システムになってからは、WSCのアイテムは自分で用意する必要があります。
▲WF2006冬 ディーラー『鋼鉄飯店』よりYATUKI様 原型製作の げんしけん 萩上”蓮子コスプレver”
各自で販売アイテムを用意するようになってからは、以前より続いていたWSC専用の箱も無くなりました。
正直この箱で自分のキットが売られるのに少し憧れていたので残念です。
さらにWF公式で行っていた事後通販も無くなりましたね。今はWSCに選ばれたとはいえ、イベントの当日版権のルールに従って販売しないといけません。
専用の箱は無くなりましたが、今は代わりにこんな紙袋を用意してもらえます。
本来ならこの紙袋、WSCに選出されたガレージキットを購入してくれたお客様の手に渡るものですが、運営様よりすこし多めに貰っていたので、自分用の記念として1つ貰っちゃいました。
WSC選ばれて具体的に何したの?
主には、自分のプロフィールを書いたり、あさのさんとリモート会議(なぜかSkype)をして一対一でのインタビューを受けたり、アーティスト写真の撮影会へ行ったり、選出コメントを書いたり、でした。
具体的にはWSC選出ページを見ていただければ。プロフィールとか柚Pからのコメント、みたいな欄を自分で書いてメールで提出しています。
作品の宣材写真の撮影
▲模型業界で働いてる方なら「あー、ここね」ってなる某有名スタジオ
事前に各自の都合のいい日程を話合わせ、東京の某撮影スタジオを借りて開催される撮影会では、選出作品の宣材写真やWSC用のアーティスト写真を撮ります。
作品以外にも自分も撮ってもらうので精一杯のおしゃれをしていきます。(いつもの普段着ですが)
実はこの撮影会がWSCに選ばれた3人の初めての顔合わせだったんですよね。ここでようやくemDASHの木田さんと、ArCrayのまっつくさんがWSCの同期なのだと知ります。
デザイン・アートの道を立体という表現方法で突き進むおしゃれ高身長イケメンの木田さんと、業界のプロにも一目置かれているレジェンド原型師まっつくさんに挟まれてる、ただ趣味で可愛いキャラクターフィギュア作ってるオタクな私。
えー、私の場違い感、すごい。
と思いつつも、撮影会では普通にデジタル造形(みなさんデジタルだったので)や3Dプリンターの話をして大変盛り上がりましたね。木田さん、まつっくさん今後とも仲良くしてください!
アーティスト写真での顔出し
WSCに選ばれた3人が全員が顔出しで紹介されたのは実に10年ぶりらしいですね。
私も自分がメディアで顔出しすることは無いと思っていたのですが、WSCに選ばれる前からすでにホビージャパンのお仕事で顔が出てたり、ワンフェスに来れば普通に素顔見れるので「わざわざ隠す必要も無いか」と思った次第です。
それと、私の尊敬する歴代WSCアーティストの皆さん(saiさんジムさんsisiroさんハトさんひいらぎはじめさんあかちょむさんetc…)が、みな顔出ししていたというのもあり、私も右にならえしました。
とはいえ普段家に引きこもって模型作ってるだけの人間が、いきなりアーティスト写真のなんて撮られ慣れてるはずもなく。すげー緊張した笑顔すぎて友人に笑われました。恥ずかしいのでもう自分では見れません。
ワンフェス当日
とても広い会場なので遠くから見ると小さく感じますが、
どどーん!
かなりデカいポスターとともに作品を飾らせてくれます。いつものWSCの展示ですね。
イベントには何度も参加しているので見慣れた光景だと思ってたのですが、いざ自分の作品が展示されてるのを見るととても嬉しい気持ちになりますね。
いつもなら「私なんて~」と謙遜しがちですが、今日くらいは「俺すげーだろ!!」って言っても許されそうな気分にさせてくれます。だって実際にすごい展示してくれてるんだから。
ワンフェス当日もたくさんの方が卓に来てくれて「WSCおめでとうございます!」とお祝いの言葉を貰いました。
はじめは「自分なんかが」とか「WSCに選ばれるメリットあるのか?」とかネガティブなことばかり考えてましたが、ここまで来ちゃうともう全部どうでもよくなっちゃいます。だってみんながチヤホヤしてくれるし承認欲求も満たされて気持ちがいいんですもの。
というわけで、はじめにグダグダと面倒くさい事を書きましたが、最終的に柚Pとしては「全部ひっくるめてWSCにに選ばれて良かったし楽しかった!」ということでした。
お金の話
みなさん一番気になってるであろうお金の話。私もお金の話は好きですよ、メールにて「WSCに選ばれたら具体的にお金どれだけ貰えるの?」ってストレートに聞いちゃうくらいには大好き。
ただ、お金の話を詳細に説明しちゃうと、それはそれでWSCが炎上する火種になってしまうので、すごいぼかした私の主観で話していきますね笑
まず、私はド田舎(広島県三次市)に住んでいるのですが、別に地方からWSCに選ばれたからといって、特別金銭面での負担が他の人よりも大きくなるということは一切ありませんでした。
差があるとすれば、アーティスト写真の撮影スタジオが東京なので、関東住みの方に比べると移動時間が必然的に多くなってしまう、というのはありますね。仕方ないですが・・。
それから、今のシステム(自分でキットを用意する)と以前のシステム(海洋堂が代行してキットを複製・販売するもの)の違いをメールにて聞いたりもしましたが、それを比較したうえで、金銭面的にも今のシステムでWSCに参加できて良かったと私は感じています。
ただ、これは人によっては合う合わないがあるとは思います。今は自分で商品を用意しなきゃいけないので、売れ残るリスクを背負うのは海洋堂ではなく自分たちですし。
とはいえ、売れ残りのリスクはWSCに選ばれてないときにいつもやっていること。つまるところ、やることはいつも通りのディーラー参加で、WSCが都合よく自分達の宣伝を大々的にしてくれて、なおかつお金までくれる。って感じでした。
最高じゃないっすか。
おわりに
つい先日WF2023夏も終わっているので、次のWSC選出作家さんへ声が掛かりWF2024冬の本番に向けての準備が進んでいることでしょう。
時代に合わせてやり方を変化させつつも、素晴らしい造形作家さんが発掘し続けている『WonderShowcase』今後も要チェックですね!
それでは。