こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
少し前になりますが「ウェーブから面白い塗料ボトルが発売された」ということでモデラーたちの間で話題になった商品がありましたよね。
Twitterでもトレンド入りするようなその商品は、デジタルカメラの普及で今は見ることの無くなった「フィルムケース」のようなデザインをしたボトルでした。
一昔前から模型趣味をしている人にとっては、フィルムケースが模型用塗料の保存に適しているというのは有名な話です。
今回は、そんな話題の「押すだけフタ 塗料ボトル」についての記事です。
目次
押すだけフタ 塗料ボトル
フィルムケースは、現像後に余ったものだったり、カメラ屋から譲ってもらったりしないと手に入れることが出来ませんでしたが、ウェーブが発売したたことにより模型店で気軽に入手できるようになりました。
サイズは大小の2種類あり、
- 大サイズが6本入りで容量40ml
- 小サイズが8本入りで容量28ml
となってます。
今回私が購入したのは、容量40mlの大サイズ。
プラ製の容器なので、ガラス製に比べ厚みが無いので一回りコンパクトなサイズ感ですね。
容量については、左から、
- 10ml(Mr.カラーなど)
- 15ml(ガイアカラー)
- 18ml(Mr.カラーGXなど)
- 46ml(タミヤスペアボトル)
- 50ml(ガイアカラー大瓶)
- 40ml(ウェーブ 押すだけフタ塗料ボトル)
コンパクトなわりに大量の塗料を保管刷ることができそうです。またガラス製のスペアボトルよりも値段が安いのも特徴ですね。
- 大サイズが6本入り495円で1本あたり83円
- 小サイズが8本入り495円で1本あたり62円
似たようなガラス容器を探すと、クレオスのスペアボトル40mlが165円、タミヤのスペアボトル46mlが154円なので、容量で比較すると押すだけフタ 塗料ボトルがかなりお得なのが分かります。
プラ容器がガラス容器の完全上位互換になれるのか?
今現在も模型用塗料はガラス製が主流ではありますが、プラ製の容器はガラス製容器と同じ性能が出せるのでしょうか?
この商品が発表される以前から「気密性がバツグンに高いので、数十年前にフィルムケースに保存していたのラッカー塗料が使えた!」なんて話も聞きます。
というわけで、押すだけフタ 塗料ボトルが有機溶剤の保管でどのくらいの性能があるのか簡単に見ていきましょう!
溶剤を入れて放置してみる
実は 押すだけフタ 塗料ボトル で使われている素材
PE(ポリエチレン)
PP(ポリプロピレン)
には得意不得意な有機溶剤があります。
PE/PPのデータシートでググれば耐薬品性の性能を知ることも出来ますが、私も素人なので正直よくわかりません。模型用の有機溶剤のラベルになんの有機溶剤を配合しているのかも詳しく書かれていませんし。
なので今回は、私がよく使っている模型用の薄め液を直接入れて時間経過でどのような変化が出るのかを見てみることにしました。
検証方法は「一定量入れた有機溶剤が数カ月後にどれだけ減っているか」という簡単なもの。
各容器にマスキングテープの下側の境目まで有機溶剤を入れたら準備OKです。
結果発表(2ヶ月後)
5月18日~7月28日までの変化量です。期間はだいたい2ヶ月くらいですね。
それでは順に見ていきます。
▲タミヤの水性アクリルの溶剤
まずは水性塗料でおなじみのアクリル溶剤です。全く減っていませんね。
押すだけで閉まる簡単なフタなので気密性に不安はありましたが、全然大丈夫そうですね。
水性アクリル塗料の保管は安心して行えます。
▲ガイアノーツ 薄め液
続いてラッカー系の薄め液です。こちらも全く減っていませんね。
この感じだとクレオスの薄め液でも同じような結果になりそうです。
噂でしか聞いたことがなかった「数年前の塗料が生きていた」というのも嘘ではなさそう。
▲クアトロポルテ ティーポマルチシンナー
ここから少しずつ変化が現れてきます。こちらも同じラッカー系の溶剤ですが、1/4くらい減っていますね。
ティーポマルチシンナーはガイアノーツの薄め液に比べると強めの溶剤が入っているので、PP/PE製の容器だと樹脂の構造の隙間から有機溶剤が染み出して揮発して減ってしまうみたいです。
この商品の開発をされた方から聞いた話だと、ティーポマルチシンナーはプラ製の容器では内容物が揮発して商品寿命が短くなるので、あえてコストの高い金属製の容器を採用しているとのこと。
そう言われるとたしかに。ティーポマルチシンナーはすべて金属製の容器でしたねね。
▲ガイアノーツ ツールウォッシュ
塗料を効率的に溶かす強力なラッカー系の溶剤なので、1/3くらい減っていますね。
こちらもティーポマルチシンナーと同じように、強い有機溶剤が使われているので容器表面から揮発したものだと思われます。
消費者の立場からすると「こんなに揮発する有機溶剤をプラ容器で売ってて大丈夫なの?私損してない?」と感じる方もいるかもしれないですね。
しかし、この問題はメーカー側で「表示された容量より多めに入れておく」「商品寿命で販売管理している」などの対策がちゃんとされてるらしいです。今後も安心して購入してくださいね。
最後は2つまとめていきます、タミヤのエナメル溶剤と、ガイアのエナメル溶剤です。
どちらもほんの2ヶ月で半分以下まで減ってしまいました。
塗装派のモデラーなら、エナメル塗料がプラスチックに浸透して侵す性質を持っていることは知ってますよね。
それと同じような感じで、プラスチック表面の構造の隙間から浸透して抜けていったのでしょうか。
この結果を見るかぎり、プラ容器でエナメル塗料の保管はやめたほうがよさそうです。
まとめ
今回紹介したウェーブの押すだけフタ塗料ボトルは、使用する溶剤の種類に気をつけていれば十分長期保管に耐えうる性能があるということが分かりました。
とてもいい商品ですが、性質を理解しないまま使ってしまうと「気密性が高いと思って買ったのに塗料が乾いてる!」なんて事もおきかねません。
公式の商品ページにも、「強い溶剤や特殊な塗料、接着剤などを使用する際は、本格的な作業の前に使用テストをしてください。」と注意書きがされているように、溶剤との相性をしっかり理解して上手に運用しましょう!
それでは。
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