こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
エアブラシや筆塗りでパーツを塗った後の、塗料を乾燥させる時間って、作業が止まってしまいがちで暇ですよね。
そんな、塗装をしたパーツを素早く乾燥させて、待ち時間を大幅に短縮させられる道具があります。模型メーカーからも発売されていたりする、「塗装乾燥ブース」というものです。
というわけでこの記事では、出来るだけお金をかけずに、今持っているものを使って「自作の塗装乾燥ブース」の製作をしてみました。
目次
熱源となる発熱するパーツを手に入れる
まずは発熱して乾燥ブースの中を温める熱源を入手します。
私が使用する熱源は、模型ユーザーから「山善」の愛称で親しまれている、「食器乾燥機YD-180」の中身を使用します。
レビューを見たら分かるように、この食器乾燥機を本来の用途で使っている人は殆どいません。
模型用のドライブースとして使っているレビューばかりですね。
この食器乾燥機自体が、模型用のドライブースとしてかなり使える商品ので、無改造でも問題無いと思う人はそのまま使ったほうがいいでしょう。
私の場合は、「ドライブースの大きさ」「庫内の高さ」「フタの開閉機構」などに不満があったので自作をしました。
それから、今回は丁度良く山善の食器乾燥機を持っていたので、何も買わなくても安定した熱源が確保できましたが、山善の食器乾燥機を持っておらず、1からドライブースを自作する人は別の熱源を探す必要があります。
「白熱電球」とかを熱源に使ってみるのもいいかもしれません。40Wほどの低出力の白熱灯に調光器を付けて、温度を微調整出来るようにすれば、乾燥ブースにも使用できるかもしれません。
電球自体もかなり高温になりますので、火事にないようにする対策は必要になってきます。もちそん、白熱球を使って作るのもすべて自己責任でお願いします。
理想の箱のサイズを考える
これから作っていく理想の箱のサイズを考えてみます。
山善の食器乾燥機の熱源を使うので、元々の食器乾燥機の体積より大きくなりすぎると、庫内が十分に温まらなかったりする原因になります。なので、大きさは元の食器乾燥機と同じくらいか、それより小さくないといけないという訳です。
さらに、自分の使っている塗装用の持ち手なども使えるサイズにしないといけません。
私が塗装で使っている「パーツを保持するベース」のサイズが 230mm×220mm なので、最低でもこれくらいの底面の広さが必要になります。
高さについては、背の高い模型も入れれるよう、300mm以上は欲しいですね。
これを踏まえた上で、大きさを考えてみました。
- 底面の広さ300mm×300mm
- 高さが350mm
私の製作するドライブースの庫内のサイズはこれにまとまりました。
それから「食器乾燥機の熱源パーツ」を入れる空間も考えておきましょう。
底上げして取り付けする予定なのと、電熱線がむき出しになっている部分にステンレスのトレーも取り付ける予定なので、ここも余裕を持って100mmの高さにしておきましょう。
そんなこんなで、設計した図面がコチラです。(手書きでスミマセン)
使用する材料
外枠で使用する板は、加工がしやすくホームセンターでも手に入りやすい「MDFボード」を使いました。
MDFボードは、木材の粉末を樹脂で固めて板状にしたものです。木材特有の木目が無く、湿気による板のそり(歪み)も発生しにくいという特徴があります。
そして、先程書いた図面を参考に任意のサイズにカットしていきましょう。
MDFボードの加工は木材と同じく、ノコギリで行います。丸のこなんかを使えば素早く正確にカットが出来ますね。
丸のこは安くても5000円~ほどするので、頻繁に木材カットする機会の無い人は、素直にホームセンターで「木材カット」を頼んだほうが安上がりです。
木材カットは大体、1カット20~50円くらいでしてくれると思います。
場所によっては、ホームセンター内にある作業スペースで、無料で丸のこなどの工具レンタルができるサービスがあったりするので、そういうのを使ってみるものいいかもしれません。
熱源と箱を接続する
まずは、食器乾燥機から抜き取った熱源を、底面の板に取り付けます。
熱源の本体付近は、かなり熱くなると思うので、板と熱源の間を10mmほど隙間を開けときました。ある程度の空間を確保しておくことで、底板に熱が伝わりすぎないようにしています。
取り付けには、5mmのネジを使います。2つのナットを上下から挟み込んで固定します。
続いて発熱部の上部を見てみましょう。この状態だと、発熱する電熱線がむき出しになっていますね。
このままにしておくと、電熱線にパーツが落ちてしまって溶けてしまったり、庫内に均等に熱が広がらなかったりしそうです。
なので、山善の食器乾燥機でもあるような「熱を均等に広げるためのステンレスのトレー」を接続してみます。トレーの接続には、本体をつなげているボルトをそのまま使用するので、そのボルトに合わせて穴を開けます。
まずは印をつけましょう。
印をつけた所を鉄工用のドリルで穴を開けます。
Φ2.0mmのドリルでセンターを開けて、次にΦ5.0mmのドリルでボルトと同じサイズの穴に広げます。
開けた穴に、熱源を取り付けてあるボルトに差し込んで、同じように上下にナットを取り付けて挟み込んで固定します。
そして、MDFボードの底の部分も表面がむき出しになっているのも少し心配なので、アルミテープを貼っておきます。
アルミテープは底面の全面に貼ります。気安めかもしれませんが。
これで、保温性も良くなり、熱によってMDFボードから発火する危険性も少なくなったのではないでしょうか。
箱の組み立て
箱を組み立てる前に、必要なボルトや接着剤をホームセンターで追加購入してきました。
- ゴム系接着剤
- 正面のフタに取り付ける取っ手
- フタの可動部に付ける丁番
- フタが勝手に開かないようにするストッパー
- Φ3mmのさらネジ
- Φ4mmのなべネジ
MDFボードの接着で使用する接着剤は、「耐熱性高い物」を選びました。乾燥ブース内の温度が高くなるので当たり前ですね。
私が使用した接着剤はコチラ。
【セメダインのスーパーXG 超多様と速乾タイプ】です。
この接着剤は、粘度が非常に高く(ゼリー状)、乾燥前でもかなりの接着保持力があります。そしてシリコーン系の接着剤でもあるので耐熱温度も高いです。
接着剤は切り出した板の断面に塗っていきます。
熱く塗りすぎると板同士を合わせたところから、接着剤が外にはみ出して周りがベトベトになって大惨事になるので、付属のヘラなどを使って塗り広げながら適度な量を塗布します。
「スーパーXゴールドクリア」には塗り広げるためのヘラも付属しているので、そちらを使用するとはみ出さない適当な量を綺麗に塗り広げられると思います。
MDFボード同士を接着させたら、接着剤が固まるまでズレないように住宅用の養生テープで仮止めをしときます。このテープは接着剤が固まった後に剥がしましょう。
普通のホームセンターで売られている養生テープは、だいたい緑色や白色のものが売られていると思います。
私がよく行くホームセンターではピンク色の養生テープしか売られていませんでした。
細かいパーツの取り付け
MDFボードの箱組が出来たら、細かい箇所を仕上げます。
底面には熱源となるトレーがむき出しになっているままなので、塗装したパーツ置けるように、この上から更に金属の網を敷いていきます。
まずは、取り付ける網が下まで落ちないようにするためのストッパーを作ります。MDFボードを切り出したときの端材を使ってこんな棒をいくつか切り出してみました。
この端材を水平になるように側面の5箇所接着します。
網がこのストッパーに乗っかって止まってくれるという仕組みです。
次は網の加工です。
網は100円ショップで買ってきた450mm×450mmのバーベキュー用の網を使用します。
(2017/11/27追記 100円ショップの網では強度が足りずに、たわんできて使えなくなったので、現在は猫の爪研ぎを底面に取り付けております。)
箱自体の内側の大きさは289mm×289mmなので、そのサイズに合うように網をカットします。
カットする時は、ダメになっていいニッパーか、電工用の丈夫なニッパーを使用して下さい。
カットが出来ました。これで網を底に敷けるようになりました。
さらにさらに、余ったMDFボードの切れ端を使って丁番の取り付けに必要なパーツも作って組み立ておきましょう。
MDFを取り付けた箇所をこのような感じにフタの板に接着します。
Φ4mmのネジでMDFボードに固定しています。
使っている材料は5.5mmの厚みしかなく釘や木ねじを打ち込むことが難しいので、MDFボードにボルトが通る穴を開けておいて、ボルトを通して裏からナットで固定するという方法を取っています。
正面のフタには取っ手を付けました。ホームセンターで購入したフタのストッパーも同じ要領でボルトで固定していきます。
「丁番」「取っ手」「網」「ストッパー」を取り付けが終わりました。
完成まであと少しです。
最後の仕上げ 表面にアルミテープ
「庫内の熱が外へ逃げず適度に保温してくれる」という効果を期待して、箱の内部にアルミテープを貼ってみました。
アルミテープで「正面フタ」「上面フタ」「側面」「背面」の全てに貼り終えたらようやく完成です。
完成後、自作の乾燥ブースの中に温度計を入れて、実際にどれくらいまで熱くなるのか計測してみました。
結果は「外気温が16℃で、庫内は一番高くなってる時で45℃くらいまで上がりました。
運転し続ければ、湿度も30%くらいまで低くなりドライブースとしての性能的にも悪くないです。40℃前後なので、塗装の乾燥、パテの硬化促進、には適度な温度ですね。
まとめ
私の場合は、山善の食器乾燥機を初めから持っていたので、自作するときの材料費は比較的抑えられたのですが、やはり、全て一から乾燥ブースを作ろうとなると、だいたい1万円くらいは必要になってきますね。
参考までに今回使ったパーツや材料の値段を書いておきます。参考にしてみて下さい。
ホームセンターで購入
- MDFボード ¥770
- ボルト類 ¥254
- 丁番4つセット ¥304
- スーパーXゴールド ¥518
- フタストッパー ¥218
- 取っ手 ¥172
- 養生テープ ¥258
100円ショップで購入
- アルミテープ2本 ¥200
- バーベキュー網 ¥100
合計で¥2794(税抜き)でした。
一つ一つの材料は安くても、ちりも積もればなんとやらです。結構費用がかかっちゃいましたね。私としては、追加で¥3000払うだけで理想の塗装乾燥ブースを自作出来たので非常に満足しております。
今となってはドライブースは塗装作業には必ず使用するツールの一つなので、自分にあったものがいいですからね。
というわけで理想の塗装乾燥ブースの紹介でした。
それでは。