こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
戦車のようなスケールモデルでは成型色が単色であることが多く、組み立てるだけでは実物のような塗装は再現できませんよね。
人によっては「塗装なんて面倒くさい」と思う方もいるでしょう。しかし、この「塗装」もプラモデルの楽しいとことの1つでもあり、モデラーとしての腕の見せ所だったりもします。
というわけでこの記事では、「エアブラシを使用した10式戦車 塗装テクニック」について紹介していきます!
▼前回の記事はこちら

目次
資料として写真集を購入
キット付属の資料だけで製作を進めるのもいいのですが、せっかくなので私は10式戦車の写真集を買ってみました。フルカラー写真集なのでキットよりも値段高いですが・・・。
10式戦車は街を走ってる車とは違い、大きなイベントや一部の北海道などでしか見ることができません。
このような写真集があれば、工作や塗装の時の資料として便利に使うことができますね。また、ウェザリングやジオラマを作るときのイメージも湧きやすくなります。
参考書以外にも、youtubeやgoogle画像検索でもたくさんヒットしますので、製作や塗装に困ったら調べてみると楽しいですよ。
これは静岡ホビーショーで行われたイベントの一部を撮影したもので、実際に運用している10式戦車の話や、モデラー目線で知っておきたい情報などが沢山解説されてたりします。
10式戦車を作るなら是非見ておきたい動画ですね。
塗料を用意する
まずはキットの塗装をするための「塗料」を用意します。
国産のプラモデルの場合、組立説明書やパッケージ側面などに使用する塗料が記載されていますね。
タミヤ10式戦車では
- 茶色(陸上自衛隊)
- 濃緑色(陸上自衛隊)
といった専用カラーが売られています。
指定のカラーを使えば、複数の色を調色する必要もなく簡単に実車の色を再現することができます。
基本色以外にも、搭乗者の肌につかうキャラクターフレッシュ、マッドラップ(サイドスカート)を塗装するためのタイヤブラック、履帯を塗装するためのガンメタリック、なども別途用意しておくといいですね。
下地塗装
下地となる色を塗装していきます。
今回は、ミリタリーモデルの塗装でポピュラーな塗装技法「黒立ち上げ」で仕上げていきます。
パーツの保持には「ペインティングクリップ」や、タミヤの「スプレーワーク ペインティングスタンド」などがあると便利ですね。
ペインティングクリップで掴めないような小さなパーツには、木のブロックに両面テープを貼り付けた塗装治具で対応します。
ブロック、両面テープ、共に100円ショップで購入できます。
サーフェイサーの塗装
下地色を塗る前に、合わせ目消しなどでヤスリを使ったパーツにのみ「サーフェイサー」を塗装しておきます。
サーフェイサーの傷埋め効果を使って、ヤスリ痕を目立たないようにしておきましょう。
ヤスリを使っていない綺麗なパーツにはサーフェイサーの塗装は不要です。
すべてのパーツにサーフェイサーを塗装してしまうと、せっかくパーツ表面にャープで細かいモールド作られているのに、それが埋まってしまったり丸くなってしまうので非常にもったいないです。
金属パーツの下地塗装について
金属製のディティールアップパーツやエッチングパーツを組み込んでいる場合は、事前に「メタルプライマー」を塗装しておきましょう。
模型用の塗料は金属に対しての定着力はあまり強くないので、メタルプライマー無しで塗装してしまうと爪で引っ掻いただけで塗料が剥がれたりします。
タミヤが販売している金属パーツ用の「メタルプライマー」という専用の塗料を塗っておけば、金属パーツ相手にも塗装が可能になります。
同じような商品で、ガイアノーツのマルチプライマー(ミッチャクロン)もありますが、こちらはプラスチック樹脂を溶かす強い溶剤が入っているため、プラモデルで使うときは注意してください。
ブラックを塗装
黒立ち上げの下地色には、隠蔽力・発色の性能が良いMr.カラーGXの「ウイノーブラック」を使います。
まずは、塗料が乗りにくい隅や角から先に塗装していきます。
最後に、残しておいた大きい面をざざっと塗装します。
パーツの角や隅を先に塗装しておくことで、均一な塗膜でパーツ全体を塗装することができます。
パーツ全体の下地色の塗装が完了しました。
基本色の塗装
下地のブラックが塗れたら、基本色の塗装をしていきます。
塗る順番としては、
- サイドスカート(ダークグレー)
- 濃緑色(陸上自衛隊)
- 茶色(陸上自衛隊)
の順番で塗っていきます。
【サイドスカートの写真】
まずは、サイドスカートのダークグレーの塗装です。(作業途中を撮り忘れていたので写真が無いですごめんなさい)
サイドスカート部にのみ、エアブラシの細吹きでダークグレーを塗装します。
このときマスキングなどはしません。どうせ他の基本色が上から塗られるので。
サイドスカートの塗装ができたら、塗った箇所をマスキングテープで養生しておきます。
次に濃緑色(陸上自衛隊)の塗装です。
パーツの立体感を出したいので、パネルラインやエッジに黒を残すように濃緑色をエアブラシで細吹きしていきます。
それを繰り返して、濃緑色本来の色が発色してきたらOKです。
「黒立ち上げ」では、どのくらいのグラデーションの濃さで仕上げるかは人それぞれで変わってくると思います。
私は遠目から見て「よーく見たらグラデーションかかってるかな?」くらいが好きです。
迷彩の塗装
10式戦車の迷彩パターンは塗る人によって違うらしいですが、キット付属の資料に迷彩パターンを記載してくれているので、今回はそれを真似して塗装していきましょう。
実際の10式戦車の迷彩塗装は、スプレーガンでノーマスキング塗装したような質感になっています。これを模型で再現するためのテクニックも紹介していきます。
まず幅広のマスキングテープを使って、迷彩パターンを入れる箇所を大まかに覆います。
このとき、マスキングテープに迷彩パターンのラインを書き込んでおきましょう。
パーツに貼り付けたマスキングテープを一度剥がして、カッターマットに貼り付けます。
書き込んだ迷彩パターンをナイフでカットします。
カットしたマスキングテープをもう一度同じ位置に貼り付けます。これで迷彩パターンの1箇所だけマスキングができました。
同じ作業を繰り返しながらボディ全体の迷彩パターンをマスキングしていきましょう。
これで迷彩パターンの大まかなマスキングができました。
迷彩塗装の縁をぼかすテクニック
実際の10式戦車の迷彩塗装では、濃緑色と茶色の境目が若干ボケています。(マスキングせずにスプレーガンで塗ったような感じ)
模型でも同じようにマスキングせずに塗装してしまうと、ボケが大きくなりすぎて実物の塗装とはかけ離れたものになるでしょう。
この絶妙なグラデーション加減を再現するためには「練り消し」を使ったマスキング方法が最適です。
ここで使っているマスキング材は「MaskingGum」という商品ですが、普通に文房具屋に売られている「練り消しゴム」でも十分です。
さきほどマスキングしたフチに、細く伸ばした練り消し貼り付けます。
この上からエアブラシを使用して茶色(陸上自衛隊)の塗装をします。
迷彩塗装のフチがボケたほうな質感になってることがわかります。
練り消しを使ったマスキングは、エアブラシ塗装の「奥まった隅に塗料のミストが入りにくい」という特性をうまく使ったマスキング方法ですね。
ボディ全体の迷彩塗装が終わったらすべてのマスキングを剥がしましょう。
サイドスカートや、ボディの迷彩塗装、ともに綺麗に塗ることができました。
その他パーツの塗装
ボディ以外の、履帯や機関銃などの小物の塗装もしていきましょう。
履帯の塗装
10式戦車の履帯は、ラッカー塗料で塗装が出来るタイプの軟質樹脂が使われているため、プライマーは無くても塗装が可能です。
昔のキットでよく使われていたゴム製の履帯を塗装する場合は、ゴム用のプライマーを用意しておきましょう。
ちなみに、履帯には割り箸を噛ませて保持しておくと塗装がしやすいです。
今回は履帯にメタルカラーを塗装するのですが、メタルカラー単体では定着力が弱いので、事前にメタルプライマーを塗装しておきます。
プライマーの上からMr.メタルカラーの「ダークアイアン」を塗装します。
メタルカラーは乾燥後に磨いたら光沢の出る特殊な塗料です。綿棒や布で磨いてやれば金属のような光沢を簡単に作ることができます。
パーツを磨いたら、重厚な金属感が出てきました。
作業中は手が汚れてしまうので、他の綺麗なパーツを触ったりしないように注意しましょう。ほかの作業に戻る場合は、手についたメタルカラーを石鹸などで綺麗に落としておきましょう。
転輪の塗装
10式戦車の転輪の外側にあるゴムの塗り分けです。
丸パーツをマスキングするときは「コンパスカッター」が便利です。
転輪の大きさに合う幅にコンパスカッターを固定できたら、円形のマスキングシートを大量に作りましょう。
また、コンパスカッターは小さな円をカットするのは不得意なので、小さい転輪にはハイキューパーツの「円形マスキングシート」を使いましょう。
大まかにマスキングできたら、エアブラシの細吹きで塗り分けていきます。
塗料をはみ出させなければ、パーツ全体をマスキングテープで覆う必要はありません。
これで転輪の塗り分けは完了です。
メタリックの塗装
後部ワイヤーや機関銃など、メタリック系で塗装指示がされているパーツの塗装についてです。
メタリック系の塗料は、筆塗りでもいいのですが、エアブラシで塗装したほうがより綺麗な質感が出せます。ですので、面倒くさいですがマスキングをして塗り分けをしてきましょう。
ここでは、粒子の細かいガンメタル系の塗料「バーチャロンカラー フレームメタリック1」を使用しました。
細部の塗装
残りの細かい塗り分けは面相筆で対応します。
機関銃周辺のローラー部や、使用済みの薬莢が入るバケットの塗装などをしました。
水転写デカールの貼り付け
水転写デカールを貼り付けます。
塗装作業をすると、水転写デカールを貼り付けるタイミングが難しいですよね。私的には、ウェザリングやトップコートの前に貼るのが一番いいと思っています。
付属デカールのエンブレムにはいくつか種類がありますので、組立説明書を読みながら好きなものを選んで貼り付けましょう。
詳しい水転写デカールの貼り付け方法は、別記事(もう失敗しない!プラモデル・ガンプラ初心者でも出来る「水転写デカール」の上手な貼り方とは)で紹介しているので、ここでは簡単に解説していきます。
まず、水転写デカールを貼り付ける位置にマークセッターを塗布します。
エンブレムを貼り付けて、余分な水分を綿棒で拭き取ったら貼り付け完了です。
デカールを貼り付けたあとは、ボディとデカールの艶感を統一させるためにつや消しトップコートの塗装をしておきます。
次の工程でウォッシングやウェザリングも行うので、ここで使用するトップコートは水性ではなくラッカー系のものを使いましょう。
シルバリングの対処法
10式戦車で使ったタミヤカラー(濃緑色と茶色)はつや消しの塗料ですので、デカールとパーツの隙間に空気が残って白く見える「シルバリング」という現象が起こりやすいです。
デカールを貼り付けた直後は綺麗に見えても、完全に乾燥したあと確認したらシルバリングが起きてるなんてこともあります。
▲シルバリングが起きて余白が白くなっているデカール
シルバリングが起こってしまっても、リカバリーする方法はちゃんとあります。
空気が入ってしまったデカールの上から、再度マークセッターを塗布します。
新品の刃に交換したデザインナイフでデカールをつつきます。
デカール表面に小さな穴を開けるイメージですね。
デカール表面に開けた穴からマークセッター染み込むように何度か塗り重ねてみてください。
デカールとパーツの間にあった空間にマークセッターが綺麗に流れ込み、白くなっていた箇所がなくなります。
最後ははみ出た余分なマークセッターを綿棒で拭き取り、完全に乾燥したあともシルバリングしてなければリカバリー完了です。
基本塗装おわり
基本塗装はこれにて完了です。
戦車のプラモデルでは使用する色の数も少ないため、慣れてくると1~2日間だけで簡単に早く終わらせることができます。
次は、搭乗員の塗装について解説していきます。リアルなフィギュアを乗り込ませて、より動きのある魅力的な模型に仕上げていきましょう!

それでは。
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