プラモデルのサーフェイサーとは?塗装することによって得られる効果を詳しく解説

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは。柚P(@yzphouse)です。

ガンプラの塗装をしていたら「サーフェイサー」という言葉を耳にしたことはないでしょうか?

サーフェイサーというのは、プラモデルの塗装をする前に施工する「下地塗料」となるものです。模型用だけでも、各メーカーから様々な種類が販売されていますね。

今回は、この「サーフェイサーの基本的な効果」について解説していきます。

サーフェイサーの効果とは?

下地塗料というサーフェイサーですが、塗料の定着を良くする以外にもいろいろな効果があります。

細かいキズ消し

サーフェイサーの成分には、ラッカーパテなどにも使われている「タルク」という粒子の大きな顔料が含まれています。

粒子の大きい顔料が使う事によって、サーフェイサーを塗装した時にパーツ表面の細かいキズを埋める事ができます。

▲ものによってはサーフェイサーのキメの細かさを表す番号が表記されているものがあります。

この番手は「サーフェイサーのキメの細かさ」を表しています。

この数値が高くなればなるほどサーフェイサーのキメは細かくなります。

500>1000>1200>1500

  • サーフェイサー500は、溶きパテのように粘度が高く、大きい傷を埋めるのに適しています。逆に塗りすぎてしまうと塗膜が厚くなりすぎたり、エッジが塗膜により丸くなってしまう恐れがあります。
  • サーフェイサー1500は、表面が非常になだらかに仕上がるため光沢塗装前の平坦な下地づくりに適しています。逆に表面の小キズを消す能力はそこまでありません。

このように、「どのくらいの傷を消すのか」「表面の仕上がり」を意識してサーフェイサーを使い分けるといいと思います。

サーフェイサーの種類については模型メーカーが販売している「サーフェイサー」の種類を徹底比較!の記事を参考にしてみてください。

塗料の食い付きを良くする

サーフェイサーには、上に塗った塗料を剥がれにくくする効果があります。

と言っても、サーフェイサーを塗装していれば「絶対に剥がれない」ということは無いので過信しすぎないようにしましょう。

サーフェイサーの中には、プライマーを配合して定着力を高めた商品もあります。プライマー入りのサーフェイサーのことを、「プライマーサーフェイサー」とも呼びますね。

プライマーが入ることによって、「レジン(無発泡ウレタン樹脂)」や「エッチングパーツ(真鍮やステンレス)」の塗装にも対応ができます。

色を統一させる・パーツの透けを無くす

サーフェイサーは隠蔽力のとても高い塗料です。

この特性を使って、ガンプラの全塗装の前に全体の色を統一させたり、プラスチック特有の光の透けによる「安っぽさ」を消すことが出来ます。

ガンプラやスケールモデルという「ロボットやメカ」には効果絶大です。

逆に、美少女フィギュアやFA:Gの様な、「透明感が無くなると不自然になる人肌」とかは、サーフェイサーを塗装しないほうが自然に仕上がったりもします。

キズや形状の確認がしやすくなる

サーフェイサーは基本的には「ライトグレー」の色をしています。

不透明のライトグレーで塗ることで、パーツの凹凸の陰影がしっかりついてくれるので、目視での細かいキズや形状の確認がしやすくなります。

最近はライトグレー以外の色のサーフェイサーもいくつか出ているので、「キズの確認がし易い」というのはすべてのサーフェイサーに言えることではないです。

ライトグレー以外の色には、「ホワイト」「ブラック」「ダークグレー」「オキサイドレッド」「フレッシュ」「ピンク」「シルバー」などがあります。

サーフェイサーって塗装前に必ず塗らないといけないの?

ほとんどのモデラーは、塗装前にサーフェイサーを塗装を行っていますよね。プラモデルを本格的に作ったこと無い人からすると、「なんで成型色と同じ色を塗るのに、全部グレーにしてるんだろう?無駄な作業では?」なんて思ってしまいがちです。

ここまでの記事を読んでくれた方なら、「サーフェイサー」の役割がしっかり理解できた思いますが、

実際には、サーフェイサーの「パーツの透明度を無くす」「傷を埋める」「塗料の定着力を高める」という効果をよく理解せずに、漠然と使っているモデラーも少なくはないようです。

捨てサフと言いつつ、どこまで表面処理をしたかを確認する為に、とりあえずでサーフェイサーを塗装して表面処理を始めていませんか?

「捨てサフ」の作業をサーフェイサーでする必要は本当にあるのでしょうか?

もちろんサーフェイサーには、色の統一により、キズや形状確認がしやすくなる効果があります。ですがそれ以外にも、分厚い塗膜で傷を埋めるという効果もあります。

塗装をすればするほど、ヤスリの表面処理では届かない「スジボリ」「モールド」がどんどん埋まってしまいます。

何が言いたいかというと、精度の高いプラモデルを目指すなら、サーフェイサーはできるだけ使わない方がいいというのが理想だったりします。極論ですが。

形状確認や、ヤスリを当てた部分の可視化は、ライトグレーの普通の塗料でも同じ効果が得られますし、塗料の定着力に関しても、普通の塗料だけでもプラスチックの表面をほんの少し溶かすので密着してくれます。

このあたりを頭に入れておけば、プラモデルの塗装前にサーフェイサーを塗装するというのは、「絶対ではない」という考え方ができるようになります。

もちろん、サーフェイサーを使わないことが正解という訳でもありません。簡単にキズが埋められて、ついでに色も統一でき、塗料の食い付きを良くしてくれる、という一石二鳥にも一石三鳥にもなる便利な時短アイテムなのには代わりありません。

サーフェイサーの特性をちゃんと理解した上で、

  • 塗料の定着が弱いパーツの塗装に(ウレタン樹脂や金属製エッチングパーツ)
  • 表面処理は400番までしかしないので、傷埋め用途に。
  • プラスチック以外のパテ(エポパテ・ポリパテなど)を使っているので、その境目の処理をしたい

というような、サーフェイサーの特性を活かす上手な使い方をしてみましょう!

まとめ

レベルの高いプロモデラーの方なんかは、わざとサーフェイサーの塗膜の厚さを利用して「船の甲板のモールド」や「飛行機の金属製の羽の凹凸」を作り込む技法を使っていたりもします。

こういった、自分が使用しているマテリアルの特性を知ることで、より深い理解を得られる以上に、そこからその特性を使って他にどんな応用ができるか?などにも繋がってきます。

プラモデル作りには考える力や持ち合わせの”センス”も必要ですが、それ以上に、使う道具や素材に関する技術と知識も非常に重要になってきます。小難しい話ではありましたが、こういった知識一つ一つが今後の模型製作で役に立っていくと思います。

この記事があなたの模型製作のお役に立てれば幸いです。

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