こんにちは、柚Pです。
プラモデルやガレージキットの複製などで使われている「レジンキャスト」ですが、みなさんには愛用している銘柄はありますか?
この記事では、ディーラーを数年続けて得た知識を元に、各社から販売されているレジンを詳しく紹介していきます!
それでは続きからどうぞ。
目次
レジンキャストとは?
ここで紹介するレジンキャストというのは、二液混合タイプの「ポリウレタンレジン」「ウレタン樹脂」などと呼ばれる樹脂です。A液とB液を1:1で混合することで硬化します。
似たようなもので「エポキシレジン」がありますが、こちらは全くの別物なので間違えないように。
造形村 EXキャスト
- 販売:造形村
- 価格:3630円~/1kg (2024/01/19)
- 硬化速度:120秒タイプと180秒タイプ
- キシレンタイプ
造形村が販売しているEXキャストというレジン。
ボークスやヨドバシカメラといった実店舗で取り扱ってることが多いので入手性が非常に良いのが特徴。
他社のレジンに比べ価格は少し高めではありますが、最小で200g~という少量販売もあるので、はじめて複製に挑戦するユーザーにも手が出しやすいという特徴もありますね。
かくいう私も初めて複製をしたときは造形村のEXキャストでした。
成分
- A液:キシレン(30~40%)
- B液:キシレン(10~20%)
- ジフェニルメタンジイソシアネート変性体(76%)
- (4.4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを1%以上含有)
キシレンが使われているタイプのレジンですね。有毒ですので、室内の換気、防毒マスク・保護具の着用をして取り扱いましょう。
使い心地
左:A液 右:B液
A液とB液で比重が違うので、同じ50gをカップに注いだら水位の差が出ますね。B液の方が少ないので、若干重いのでしょうか。
造形村 EXキャストは非常に優秀なレジンで、気泡の抜け、流動性の良さ、硬化後の物性、色、どれをとってもトップクラスの性能だと感じました。
また、購入時に「ベロ」という注ぎ口も付属しているので、購入してすぐ使うことも出来ます。
しかし、EXキャストを購入するときには注意も必要です。
レジン複製するユーザーが少ない地域の店舗で売られている商品は、数年間売れなかった「デッドストック商品」の可能性があったりします。
実際に私が購入した1kg缶の180秒ホワイトレジンの容器にも、上面に少しだけ点サビが確認できましたし、B液の内部のパッキンが白く変色(後半で詳しく解説します)していました。
ですので個人的には、商品の回転が早い通販サイトや、利用するユーザーの多い大きな販売店で購入するのがオススメです。
とはいえ、未開封状態なら1~2年程度売れ残ってたとしても余裕で使えるので安心してください。
最悪、造形村から「EXキャスト脱泡剤」という商品も販売されているので、あまりにも内部発泡が酷い場合はこちらの商品を併用してみると改善できるかもしれませんね。
RCベルグ ファインキャスト
- 販売:RCベルグ
- 価格:1925円~/1kg (2024/01/19)
- 硬化速度:120秒タイプと180秒タイプ
- キシレンタイプ
業者複製でおなじみのRCベルグが販売する「ファインキャスト」です。複製作業中で忙しいなか梱包作業をしてくれたのか、手で掴んだ跡が残っていますね笑
価格は安くも高くもなくといった感じ。まとめて購入すると値段は安くできるので、ガレージキット複製でレジンを大量に使うという方にはありがたいですね。
ファインキャストは、RCベルグの公式通販サイトからのみ購入できます。
成分
- A液:主成分ポリオール キシレン27%含有
- B液:主成分ポリイソシアネート キシレン25%含有
こちらもキシレンが使われているので、十分に注意して取り扱いましょう。
使い心地
左:B液 右:A液
RCベルグのファインキャストもキシレンタイプなので、流動性、気泡の抜け、硬化後の物性、どれもよいです。
B液に若干の黄色味があるので、A液と混同しないのも個人的グッドなポイント。目視で違いが分かるので、B液+B液 や A液+A液 といった事故を未然に防げますね。
ただし硬化後は他のホワイトレジンと比べると、ほんの少しだけB液の黄色味が残っちゃう気もします。些細な黄色味さえ気になるという方は、同ファインキャストのラインナップにある「ピュアホワイト」という商品を使ってみると改善できるかもしれませんね。
こちらのレジンには注ぎ口の「ベロ」は付属していませんので、別途用意しておく必要があります。
RCベルグの通販サイトにも、550円/10個入りのものが販売されているので、忘れずしておきましょう。
里見デザイン 里見造形レジンキャスト
- 販売:里見デザイン
- 価格:3450円~/2kg (2024/01/19)
- 硬化速度:120秒タイプと180秒タイプ
- ノンキシレンタイプ
私が最近愛用している里見デザインの「里見造形レジンキャスト」です。
価格も安く、ノンキシレンタイプということなので、私の他にも愛用しているモデラーは多いのではないでしょうか?
扱いやすい2kgでのみの販売になっており、少量~大量生産でも幅広く対応することが出来ます。
まとめて大量に買ったとしても、2kg単位で小分けにできるので未開封での保存がしやすく、次シーズンへの使いまわしもしやすいですね。あと缶が小さいので家庭ごみで捨てやすい。
里見造形レジンキャストは、里見デザインの公式通販サイトでのみ購入することが出来ます。
成分
- A液:芳香族炭化水素(含有量20-30%)ポリオール類
- B液:芳香族炭化水素(含有量10-20%)
- 4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)含有量1%以上
芳香族炭化水素という化合物が使われているようですが、キシレンも芳香族炭化水素に分類される有機物みたいなので、実際にはどんな有機物で代替えされているのかわかりませんね・・・。
どちらにせよ芳香族炭化水素に分類されている有機物は、発がん性があったり中毒性があるものが多いので、「ノンキシレンだから安全!」ではなく、キシレンタイプ同様に室内の換気、防毒マスク・保護具の着用をし慎重に取り扱うようにしましょう。
使い心地
左:B液 右:A液
どちらも透明な液体ですね。
硬化させる前の液体の粘度は少し高めなので、流動性や気泡抜けの性能についてはキシレンタイプのほうに分がありそうです。
硬化後の物性は、ノンキシレンタイプにしてはかなり優秀。
適度な硬度や靭性どちらも持ち合わせており、ガレージキット用のレジンとしても十分に使うことが出来ます。
こちらも注ぎ口は付属していませんので、別途「ベロ」を用意しておいたほうがいいですね。
平泉洋行 ハイキャスト
- 販売:平泉洋行
- 価格:3800円~/2kg (2024/01/19)
- 硬化速度:90~120秒タイプ
- キシレンタイプ
こちらも昔から大変人気なレジンですね。東急ハンズのクラフトコーナーでも取り扱ってたりもします。
キシレンタイプで流動性や硬化後の物性もいいため非常に使いやすいです。値段が安いのもいいですね。
ただし、一般販売されているハイキャストのラインナップには「180秒の遅硬化タイプ」が無いので、真空注型をメインとしている私はあまり使う機会がありません。残念。
成分
- A液:ポリオール類・キシレン・エチルベンゼン
- B液:キシレン・エチルベンゼン・4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
ウェーブ レジンキャストEX
- 販売:ウェーブ
- 価格:4620円~/2kg (2024/01/19)
- 硬化速度:120秒タイプ・180秒タイプ
- ノンキシレンタイプ
こちらも昔からよく見かけるレジンですね。品揃えの良い模型店などで取り扱ってることが多いです。
模型メーカーのウェーブが取り扱っている商品なので、もし店舗に在庫が無かったとしても問屋からの取り寄せが可能だったりする場合もあるので、どうしても必要な場合は店主に聞いてみてもいいかもしれません。
硬化後の物性については、可も不可もなくといったイメージ。なぜかノンキシレンのホワイトのみ靭性が無く細部が折れやすいという評判(私もボキボキ折れた経験あり。)もあるので、自分が複製するものを良く確認してからレジンを選びましょう。
大量に購入する場合は、ウェーブの公式直販サイト「Be-J ビージェイ」を利用するのがオススメです。
ノンキシレンタイプのレジン以外にも、キシレンタイプのレジン、クリアーレジンなどなど、種類豊富に揃えられています。
成分
- A液:第三種有機溶剤
- B液:第三種有機溶剤
- 4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート1%以上含有
ポリウレタン樹脂の小ネタ
これであなたもウレタン樹脂マスター!他にも小ネタがあればTwitter(現 X)でこっそり教えてほしいです。
内フタの加減で保管状態を確認できる
▲新品購入して未開封のまま1年経過したレジン
B液の内蓋を確認することで、購入したレジンが新鮮かどうかを大雑把に見極められます。
未開封の状態でも白っぽくなってたら、製造から少しだけ時間が経過しちゃったレジンです。
鮮度が良いレジンの内蓋では白い白濁はみられません。
個人的にレジンは数年保管してても、未開封であれば意外と使えてしまったりするので、あまり気にするような事では無いかもしれませんが・・・。気持ちの問題。
キシレンタイプとノンキシレンの違い
これは個人的に感じていることですが、
- 硬化後の物性【キシレンタイプ>ノンキシレンタイプ】
- 流動性の良さ【キシレンタイプ>ノンキシレンタイプ】
- 臭いの強さ【キシレンタイプ>ノンキシレンタイプ】
- 真空環境での沸騰の激しさ【キシレンタイプ>ノンキシレンタイプ】
といった大まかな違いがあります。
レジンの性能だけを見るとキシレンタイプのほうが使いやすいものが多い印象です。
とはいえ、キシレンの臭いが苦手・健康被害への不安がある、といった方も多いと思いますので、適宜判断して最良のレジンを選んでみてください。
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