RCベルグにガレージキットの複製代行を頼んでみた!

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  • 柚P

 

こんにちは。柚P(@yzphouse)です。

ガレージキット販売をしているディーラーなら一度は憧れる業者複製。ついに私も業者複製を経験してきました。

今回、複製依頼を受けてくれたのはガレージキット界隈では有名な『RCベルグ』。複製代行以外にも、シリコーンゴムやポリウレタン樹脂などの材料の販売もしているので、お世話になっているという方も多いのではないでしょうか?

そんなRCベルグでの業者複製がどんなものだったのか、アークナイツのススーロのキットと共に紹介していきます!

それでは続きからどうぞ。

複製代行に出す原型

今回はこちらの原型をRCベルグに提出して複製してもらいます。

アプリゲーム『アークナイツ』より『ススーロ』です。かわいいね。

原型パーツは全部で43パーツ。

1/7スケールで、組み立て後の全長は20cmほどあります。

ポンチョのパーツが大きいので、かなり大きなシリコン型が必要になりそうですね。

見積もりについて

まず気になるのが、複製を依頼したときに発生する「金額」ですよね。

複製代行では「パーツ形状」「サイズ」「何個複製するか」など色々な要因で金額が大きく変わってきます。

このくらいのボリュームだと1体あたり1万円~が相場でしょうか?パーツ数の少ない水着の美少女フィギュアだと5000円~で量産できると聞いたこともあります。

なんにせよ、RCベルグには見積もりの基準がちゃんとあると思うので、複製予定の原型写真を用意して簡単な見積もりをとってもらうことにしました。

ガレージキット複製業者へ見積もり依頼するときに注意するべきポイントとは?

ガレージキット複製業者へ見積もり依頼するときに注意するべきポイントとは?

複製代行へ見積もりを依頼するときの注意点やポイントについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

見積もりフォームから連絡してみる

RCベルグの公式HPから、【見積・成形】→【見積もりはこちらから】を選択して見積もりの連絡を入れてみましょう。

見積もりの連絡をする際には

  • 製品名(正確な名称、サイズ、スケール等)
  • 数量
  • 納品形態
  • 納期(イベント名など)
  • パーツリスト(原型の写真など)
  • 再生産の予定

などを記入しておくとスムーズでしょう。

さらに詳しい内容はRCベルグ公式HPの【見積・成形】→【原型納品】のボタンをクリックしたら出てきますのでそちらを確認してみてください。

というわけで問い合わせフォームから連絡してみました。

問い合わせた内容は、

  • 複製代行見積りをお願いしたいという旨を伝える
  • 複製する数量(母型の有無も)
  • 再生産の予定など
  • 原型のサイズ・数がわかる写真5枚

個人情報もありますのでモザイクばっかになってますが、1回目の連絡はこんな感じです。

次の日には返信のメールが届いてました。とても早いです。

25個の生産をするための見積もりですが、

  • 1体生産するための手間賃と材料費が4100円(レジンや離型剤代なども含む)
  • 元型製作代金が112000円(粘土埋めを含めたシリコン型製作の技術料)
  • シリコン代が93000円(ベルグのシリコンが5000円/1kgなので約18kgほど使う計算?)

ということらしいです。

元型製作代金」と「シリコン代」は1個生産でも50個生産でも同じ料金かかってしまうので、複数生産すればするほど1体あたりが安くなるという感じ。

私の場合、25個生産で合計33万円(税込)になるので、1体あたり13200円で生産できる計算になりますね。

金額に問題がなければ、そのまま複製の依頼に移ります。

成形依頼~納品まで

見積もりの内容で問題なければ、そのまま手続きを進めてきます。

次はより正確な金額を出してもらうため、複製をしてもらう「原型パーツ」を指示された住所(RCベルグ)へ送ります。

原型パーツを送るとき、パーツリストも忘れずにに同封しておきましょう。

原型パーツがRCベルグに届いたら「最終の見積書」が届きます。私の場合は25ショット生産で 336875円(税込)でした。はじめの見積もり通りですね。

ちなみにはじめて依頼をする場合は、複製代行にかかる費用はすべて「前払い」で支払うことになります。複数回利用されてるお得意様だと、納品後の入金でも大丈夫になったりするみたい。

お金の振込みをした時点でこちらのやることは無くなりますので、あとはRCベルグからの連絡を待つのみです。

あとはよろしくお願いします~!

1ヶ月後、テストショットが届く

見積もりのメールを送った9月30日のちょうど1ヶ月後、10月30日にテストショットが家に届きました。

テストショットは合計で2キット分あり、この2つはキット生産分の25個には含まれてはいないようです。

「これってお金かからないの?もらっていいの?」とRCベルグに聞いてみたところ「塗装見本を作ったり、版権元に提出するサンプルとして使ってください」とのことでした。気前良すぎです。

サービスで貰えたテストショットは、パーツ表面に粘土カスが混ざってたり微細気泡が噛んでたりするので、本当に最初の1~2ショットのテスト品なんでしょう。

さらに1ヶ月後、すべての複製品が届く

見積もりの連絡をしてから約2ヶ月後、ようやく25個分の複製品が届きました!

私が複製依頼をしたときはそこまで忙しくない時期だったのか、2ヶ月ほどですべての複製が終わったようです。

大きなイベント前になるとRCベルグもかなり忙しくなるため、依頼から納品までに2ヶ月以上かかってしまうこともあるでしょう。ちなみにワンフェス開催の3ヶ月前くらいには、公式HPやTwitterで告知がされ複製代行が締め切られたりします。

イベント用のガレージキット複製を依頼される場合は、そちらも忘れず確認しておきましょう。

複製品を確認してみよう

納品形態には

  • バラ(パーツ毎)
  • 袋詰め(セット状態)
  • 箱詰め

などがあるみたいでしたが、どのくらいの金額が掛かるか分からなかったため「一番お金のかからない納品形態でお願いします」と事前に伝えていました。

そしたら個別梱包で送られてきました。

確かにパーツ毎に梱包するより、シリコン型から剥がしたものをそのまま梱包するほうが楽です。

このセットで梱包されているパーツ達は、地元静岡の新聞紙で1段ずつ丁寧に梱包されていました。

数を確認するため、仕上がった複製品25個分を床に広げてみました。

お金を払って2ヶ月ぼーっと待ってるだけでこれが仕上がるって凄いですよね。

ちなみに私の場合は、25個での依頼でしたが実際に入っていたキットは26個でした。

+1個入っているのは不足パーツや配送中の破損に対応できるようにするためでしょうか。やっぱり気前良すぎです。

各パーツごとに個別梱包されているので、箱詰めも超楽ですね!

業者複製の感想

お金を払ってるとはいえ、こんなにも綺麗なパーツをいとも簡単に手に入れてしまってもいいのだろうか・・・

このキットを購入してくださったお客様からは「気泡が一つもなかった」「組み立てやすかった」「不足パーツが1つもなかった」と大変好評でした。ちなみに販売した25個のキットからのパーツ請求は1件もきませんでした。すごい。

あとお金の話の続きですが、業者複製といえば「全部売れても赤字!」なイメージを持って方も多いと思いますが、私個人の見解としては「売れれば普通に黒字にもできる」と感じました。(そもそも全部売れても赤字になる値段設定をする人に問題がありそう)

自家複製と業者複製を比較しても、今回の原型を自家複製しようとしたら材料費だけで10万円くらいはどのみちかかりますし、数抜けてもせいぜい40個が限界です。

しかもある程度の技術・知識をもってないと、複製されたパーツに気泡やバリが多発している質の悪いガレージキットにもなりかねません。

さらに時間もかかります。粘土埋めに1週間、レジン注型に1週間、そのあいだ作業部屋は臭いし汚いしで超大変です。

それらを踏まえて考えると、+20万円でシリコン型を作って複製・梱包までやってくれるサービスは割とアリなのではないかと思います。

うちの場合

こういう内部事情を暴露すると各方面から怒られが発生しそうですが、皆さんが一番気になってるであろうところでもあるので公開しちゃいます。私のだけですが。

今回複製してもらったアークナイツのススーロのキットですが、業者複製ということで1体18000円という高めの価格設定にさせてもらいました。(BOOTHだと手数料5.6% + 22円がかかるので19000円としてます)

この値段で複製費330000円を回収するためには【 330000円÷18000円=18.3個 】になるため、キットを18個売れば赤字回避ということになります。そこからの売上12万円はそのまま財布に入ります!!やったね!!購入してくださった方本当にありがとうございました・・・!

※実際には原型製作費、キットの箱代、梱包材、デカール代、など色々なところでお金がかかってますが、今回は業者複製の記事なのでそこだけに注目して計算しました。

イベントに参加するときは?

ただし、ワンフェスなどのイベントに参加する場合は(今年は中止になったので参加できませんでしたが)、ここからさらに参加費3万円が引かれ、さらに地方勢だと交通費やホテル代も引かれます。私(広島)の場合だと4万5千円くらい。

それでも25個すべて完売したら約5万円ほどプラスになるので、打ち上げとかで美味しいものを食べる余裕くらいはできます!

実際のところ、業者複製をされているディーラーのイベント売上はどこもこんなもんだとおもいます。赤字と黒字の境目を行ったりきたりしてる感じ。100~200とか売ってる超大手ディーラーさんはわかりませんが。

ガレージキットは売れても売れなくてもキットの生産、イベント参加だけで数万円単位が簡単に飛んでく趣味です。ガレージキットを買ってくれるお客さんのおかげで、我々ディーラーは生かされてます。本当に感謝です。

追加生産について

そうそう、今回は25ショット分を初回生産してもらいましたが、RCベルグで使用してるシリコン型の寿命は50ショット分あるみたいなので、あと25ショット分追加生産してもらえるみたいです。(シリコン型は時間経過で劣化してくるので必ずしも50ショットうてるわけではないです)

追加でキットを作ってもらうときは、シリコン代と元型製作代金は必要ないため「1体生産するための手間賃と材料費が4100円」の金額だけでいいです。これならかなり安上がりで済みます。

つまり次に25個増産してもらうときは、4100円×25個=102500円だけでいいのです。

さらにそのキットが全部売れると450000円の売上!かかった費用は102500円だけなので347500円の黒字!!

お・・・お金持ち!!(そんなにたくさん売れないけど)

どうですか?売れるアイテムが作れれば業者複製も全然ありでしょう?

おわりに

今回複製代行を頼んだアークナイツのススーロのフィギュアですが、実は初回販売分は自家複製だったんですよね。

予定では50ショット抜くつもりでしたが30ショットでシリコン型が限界を迎えるなどして散々でした。

30個で死んたシリコン型をもう一度作りなおすのが超嫌だったので再生産分はRCベルグさんに複製代行を頼みましたが、はじめからRCベルグに頼んで母型まで作ってもらってれば、もう少し楽に量産できていたのかなとも思います・・・。

このように複製作業自体かなーーーり面倒くさく、ハードルの高い作業でもあります。

業者複製は、フィギュアを作ってみたが複製に自信がない、お金はあるが時間が無い、賃貸なのでそもそも部屋でウレタン樹脂などを扱えない、レジンアレルギーです、なんて方にもオススメです。

というわけでRCベルグの複製代行レポートでした。

では。

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