こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
みなさんはガレージキットを塗装するとき、どんな「プライマーサーフェイサー」を使っているでしょうか。
模型メーカーから沢山の種類が発売されているプライマーサーフェイサーですが、実際に使ってみないと何が違うのかイマイチわかりませんよね。
というわけで、この記事では各模型メーカーが販売しているプライマーサーフェイサーを片っ端から使ってみて、その性能を徹底比較してみました。
この記事では島崎恭一様のサイト「ガレージキット用プライマーとサーフェイサーのテスト」の検証方法を参考にさせていただいきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
それでは続きからどうぞ。
目次
プライマーサーフェイサーの比較方法について
使用するのは、ガレージキットで使われている「ポリウレタン樹脂(レジン)」の板で、銘柄は「RCベルグ ファインキャスト ホワイト 180秒タイプ」です。
レジンの表面は「表面処理をしていないツルツルのレジン板」と「400番の紙やすりで表面処理をしたレジン板」の2種類を用意しています。
さらに、レジン板を製作するときに「離型剤」は使用していません。離型剤の洗い残しで検証結果にバラツキが出たらいけないので。
プライマーサーフェイサーが塗り分けしやすいよう、マス目状にマスキングテープを貼り付けておきます。
そして各メーカーのプライマーサーフェイサー・プライマーをエアブラシで塗装します。(スプレー缶の塗料も紙コップにいったん取り出してからエアブラシで塗装しました。)
プライマーを塗装したら、剥がれた部分がわかりやすいように、上からラッカー系のブルーを塗ります。
最後に全面にマスキングテープを貼り付けて「粘着力に負けて塗料が剥がれたらアウト」というのを基準にして比較していきます。
使用する塗料の紹介
今回の比較で使った塗料の紹介です。長いので結果だけ知りたい人は飛ばしてもらっても結構です。
ガイア サーフェイサーエヴォ
ガイアノーツが販売しているサーフェイサーです。パッケージにはレジンキャストにも使えると書いてあります。
隠蔽力が高く、暖色系のグレーなので個人的には好きなサーフェイサーなので頑張ってもらいたいですね。
クレオス Mr.サーフェイサー1000
クレオスから販売されているサーフェイサー。
パッケージには「ガレージキットにも最適」と書いてあります。
「瓶タイプ」の他にも「缶スプレータイプ」もあるので、エアブラシなどの環境がない人でも使えます。
クレオス Mr.プライマーサーフェイサー1000
通常のMr.サーフェイサー1000のプライマーが入ったタイプ。
サーフェイサー自体の削り心地が良いので、少し前まで愛用してました。販売しているメーカーがクレオスなので手に入りやすいのもポイントが高いです。
「瓶タイプ」の他にも「缶スプレータイプ」もあるので、エアブラシなどの環境がない人でも使えます。
タミヤ サーフェイスプライマー
タミヤが販売しているサーフェイサー。
プライマー入りなので何にでも使えそうです。それからスプレータイプなので気軽に使えますね。
タミヤ ファインサーフェスプライマー(L)
みんな大好き、タミヤのファインサーフェイサーです。
プラへの食いつき、塗装表面キメの細かさ、入手性、どれをとっても優れた性能と言われています。
果たしてレジンには食いついてくれるのだろうか。
ガイアノーツ NAZCA メカサフ
ガイアのサーフェイサーエヴォの色付き?という印象のサーフェイサー。
噂ではトルエンだとかキシレンだとかの強い溶剤が入っているので、食いつきは他のサーフェイサーに比べて良くなっているとか・・・
パッケージには「レジンキャストにも使えます」と書いてあります。
造形村 GKサーフェイサー
見た目は完全にソフト99のプラサフと同じように見えますが、ボークスの店員さんの話によると「最近モデルチェンジしたフタが斜めにカットされているタイプのサーフェイサーは、中身が専用に作られた別物になった」らしい。
値段もソフト99に比べて2倍くらいと高めです。
ソフト99 プラサフ
造形村のGKサーフェイサーとの比較のため購入してみた「ソフト99プラサフ」。
造形村のと中身が別物でガレージキットに使えなかったら、実車の塗装に使おうと思います。
ちなみに、裏面を見る感じ使用されているガスの種類も同じではないので、別物の可能性のほうが高そうです。
クレオス Mr.メタルプライマー改
ここからは「無色透明なプライマー」の紹介です。
始めは、クレオスのMr.メタルプライマー改です。大抵の模型店で取り扱っている商品ですね。
旧メタルプライマーと比べ、中身が改良されて食いつき性能がよくなっています。希釈にはラッカー系溶剤が使えます。
「瓶タイプ」の他にも「缶スプレータイプ」もあるので、エアブラシなどの環境がない人でも使えます。
クレオス 【旧】Mr.メタルプライマー
改良前のメタルプライマーです。手元にあったので使ってみました。
廃盤になっている商品なのでもう買えません。
中身はこんな感じです。旧メタルプライマーは透明、メタルプライマー改は白濁しています。
食いつき性能にどのくらい差が出てくるのか楽しみです。
タミヤ メタルプライマー
タミヤのメタルプライマーです。
自転車とかバイクとかのチェーンに塗る潤滑油と間違えそうなパッケージですね。
私は1度も使ったことが無いのでどんな性能なのかは全く知りません。
造形村 GKサーフェイサー・透明
造形村のGKサーフェイサーのクリアーver。
サーフェイサーという名前ですがキズ埋め能力はなさそうです。透明なのでサフレス塗装とかクリアーパーツの下地として使えますね。
事前にチェックしたネット情報では「全然食いつかなかった」というのを見かけたので期待薄です。
ガイア マルチプライマー
中身がそのまま「ミッチャクロン」で有名なガイアのマルチプライマーです。
ガイアノーツのマルチプライマーは50mlで700円です。大量にガイアのマルチプライマーが必要な場合は、ミッチャクロンをそのまま缶で買うほうがお得ですね。
フィニッシャーズ マルチプライマー
フィニッシャーズのマルチプライマーです。
ガレージキットモデラーの中では「これを使っとけば間違えない」と言われているほどに高性能なプライマーです。
実は私はまだ使ったことがありません。結果がたのしみです。
複合資材株式会社 スポットNX-2
最後です。複合資材株式会社というメーカーの「スポットNX-2」です。
最近になってちょっとずつ有名になりつつあるプライマーで、模型通販サイトのGパーツさんでも取扱いを始めていたりしてます。
容量が420mlで2900円するのでコスパは高くないですが、そのぶん性能が高いのかも。
ちなみに、中身は薄い黄色だったのでクリアーパーツの塗装では少しだけ色味を変えてしまうかもなので注意です。
プライマーサーフェイサー・プライマーの食いつき性能を比較してみた。
おまたせしました。塗料の紹介が終わったのでさっそく比較結果を発表していきます。
まずは「表面処理をしていないツルツルのレジン板」からです。
ここで使用したのはタミヤのマスキングシールです。粘着力が非常に弱いので、このマスキングシールで剥がれるようではガレージキットには使いづらいですね。
マスキングシートを剥がすテストの結果
①ガイア サーフェイサーエヴォ② クレオス Mr.サーフェイサー1000③クレオス Mr.プライマーサーフェイサー1000④ タミヤ サーフェイスプライマー⑤ タミヤ ファインサーフェスプライマー(L)⑥ガイアノーツ NAZCA メカサフ⑦造形村 GKサーフェイサー⑧ソフト99 プラサフ⑨クレオス Mr.メタルプライマー改⑩クレオス 【旧】Mr.メタルプライマー⑪タミヤ メタルプライマー⑫ 造形村 GKサーフェイサー・透明⑬ガイア マルチプライマー⑭ フィニッシャーズ マルチプライマー⑮複合資材株式会社 スポットNX-2
ここで脱落したプライマー・サーフェイサーはコチラ。
- ①ガイア サーフェイサーエヴォ
- ② クレオス Mr.サーフェイサー1000
- ⑥ガイアノーツ NAZCA メカサフ
- ⑧ソフト99 プラサフ
- ⑩クレオス 【旧】Mr.メタルプライマー
クレオスのサーフェイサーはプライマーは入っていないので剥がれたとしても納得はできますが、ガイアのサーフェイサーエヴォ、メカサフ、が綺麗に剥がれてしまったのはちょっと意外でした。
ソフト99のプラサフも綺麗に剥がれてしまいました。これで造形村のGKサーフェイサーとは中身が全くの別物というのが証明されたのではないでしょうか。
クレオスの旧メタルプライマーも剥がれましたね。この性能はプライマーとしては使えないですね、改良されるのにも納得です。
マスキングシールより強力な「養生テープ」「布テープ」でも剥がれるか試してみた。
マスキングシール以外にも、強力そうなテープで塗膜が剥がれるか試してみました。
しかし、このテストではマスキングシール以上に剥がれるプライマーはありませんでした。
なのでプライマーとしての性能が十分ある塗料はこの10種類でした。
- ③クレオス Mr.プライマーサーフェイサー1000
- ④ タミヤ サーフェイスプライマー
- ⑤ タミヤ ファインサーフェスプライマー(L)
- ⑦造形村 GKサーフェイサー
- ⑨クレオス Mr.メタルプライマー改
- ⑪タミヤ メタルプライマー
- ⑫ 造形村 GKサーフェイサー・透明
- ⑬ガイア マルチプライマー
- ⑭ フィニッシャーズ マルチプライマー
- ⑮複合資材株式会社 スポットNX-2
これらの生き残ったプライマー・サーフェイサーなら、表面処理をしてないレジンでもしっかり定着してくれるので安心して使えますね。
【さらなる高みへ】ペンや金属ヘラで擦って、さらに負荷をかけてみる。
ここからは、さらに負荷をかけていき「より強い定着力」を比べていきたいと思います。
この検証では、普通のガレージキットには必要ない能力を調べていきますが、「レジンの可動フィギュア」などの”関節を頻繁に動かす必要のある作品”なんかの下地塗装で参考になればと思います。
しかし、これ以上はテープでは剥がれなさそうだったので、次はプラスチック製のペンのフタで擦ってみます。
結果は
- ③クレオス Mr.プライマーサーフェイサー1000
- ⑮複合資材株式会社 スポットNX-2
の2種類が剥がれて脱落。
マスキングシールの段階で少し剥がれかけていた、クレオスのプライマーサーフェイサーは擦ったらパリパリと綺麗に剥がれました。
期待していたスポットNX-2は、Mr.プライマーサーフェイサーより食いつきはしていたものの、塗膜の強度がそこまで無かったのか剥がれちゃいました。
NX-2はPPにも使えるということなので、柔軟で柔らかめの下地塗料なのかもしれません。
続いて、金属ヘラで擦ってみます。ここまできらた剥がれても「使えない」なんて言いません。金属ヘラで擦るようなガレージキットなんて無いし、普通なら剥がれますから。
結果は、
- ⑨クレオス Mr.メタルプライマー改
だけが剥がれました。
意外でした。それ以外は耐えています。ちなみに塗料が剥がれている用に見えるのは「金属ヘラで色を付けた塗膜だけが剥がれている」という感じになっています。
【結果】サーフェイサー部門で最後まで残った3種類
④ タミヤ サーフェイスプライマー
馬鹿みたいに食いついています。(褒めてる)
色のついた塗膜が削れても、下地のサーフェイサーはしっかり食いついています。最強でした。
⑤ タミヤ ファインサーフェスプライマー(L)
同じメーカーのサーフェイスプライマーよりは弱い?ですが、金属ヘラで擦っても剥がれない強力な定着力がありました。
タミヤの商品は何を使っても間違いないですね。
⑦造形村 GKサーフェイサー
造形村のGKサーフェイサーも最強でした。金属ヘラで何十回擦ってもサーフェイサーが剥がれません。最強でした。
【結果】透明プライマーの部門で最後まで生き残った4種類
⑪タミヤ メタルプライマー
他の生き残ったプライマーにくらべて、塗膜のエッジ部分が弱いように見えますが、最後までしっかり定着してくれました。
⑫ 造形村 GKサーフェイサー・透明
「GKサーフェイサー・透明」は悪い噂があった割には非常に強い定着力でした。溶剤分が強いのでガレージキット専用ですが非常に良い性能です。
ネットで見た情報を鵜呑みにして「GKサーフェイサークリアはゴミwww」とか思ってた過去の自分を叱ってやりたい。
⑬ガイア マルチプライマー
ミッチャクロンも安定の食いつき性能です。ただし塗装後の塗膜には少しだけベタつきがあるので「ホコリが付いたら取り除きにくい」という問題点もあります。
⑭ フィニッシャーズ マルチプライマー
最後はフィニッシャーズのマルチプライマー。
安定の性能です。塗膜表面のベタつきもほぼ無く万能なプライマーと言えるでしょう。
400番の紙やすりで表面処理をしたレジン板の結果
結果だけ言うと、どのプライマー・サーフェイサーも金属ヘラで擦っても剥がれることはありませんでした!!
この結果でわかったことは「どんなプライマー・サーフェイサーでも表面処理さえしっかり出来てれば塗料が剥がれることはない。」ということです。
表面処理は大切ですね。
この記事の反響の一部に「ガイアのエヴォ愛用してるけど一度も剥がれたことがない」「クレオス旧メタルプライマー使ってるけど剥がれたことはない」というのをいくつか見かけました。
それは「細かいところまでしっかり表面処理ができている」からだと思います。そういう丁寧な作業ができるモデラーさんは自然と失敗も少なくなるというわけですね。スバラシイ。
とはいえ、ガレージキットのパーツの中にはヤスリの届かない部分も絶対にあると思います。
それを考えると「ヤスリで表面処理をしなくても定着してくれる安心感」は重要だと個人的には思いますね。
おわりに
この検証で「どのプライマーがどういう性能なのか」がわかったと思います。
実際には、「上から塗る塗料との相性」や「エアブラシなどの塗装環境」、「湿度・気温」、「塗料の乾燥時間」などなど、色んな要因で変わってくると思います。
この記事の結果はあくまでも、私個人が行った検証の一部なので「この結果が100%、その塗料の性能・性質を保証するということではない」という事をご理解いただければと思います。
今の時期は、ちょうどワンフェス前で展示見本を製作されている人も多いと思いますので、この記事を参考に失敗しないガレージキット塗装をしましょう!
それでは。
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