こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
プラモデルで誰もが憧れるメッキパーツ。しかし本物のメッキは、ニッケルやアルミといった金属をパーツ表面に定着させて作られるものなので、個人で再現するのはなかなかにハードルが高い。
しかし、世の中にはそんなメッキに限りなく近づけてくれる夢のような塗料があります。
各模型・塗料メーカーが開発した『高性能なメッキ調塗料』というものが販売されているようです。
今回紹介するアイテムは塗料ですので、本物の金属を蒸着させるような高価な設備がなくても、誰でも気軽にメッキ調の塗装ができちゃいます。
というわけでこの記事では模型店で手に入りやすい、
- タクミ 「AMCスーパーミラーⅡ」
- GSIクレオス 「メッキシルバーNEXT」
- ガイアノーツ 「プレミアムメッキシルバー」
- ガイアノーツ「プレミアムミラークローム」
- ボーンペイント「ボーンミラー」
- show up 「テラクローム」
- マーカータイプのメッキ調塗料
の7種類を紹介していきます!
それでは続きからどうぞ!
目次
メッキ塗料を使う前に!
メッキ調塗料を塗装する前に、重要なポイントを簡単に解説しておきます。
まず一番重要なのが下地です。
メッキ調塗料を塗る前の下地はピカピカの光沢にしておく必要があります。サーフェイサーやつや消し状態の上からメッキ塗料を塗布しても綺麗な輝きは得られません。
次に、エアブラシでの吹付け加減についてです。
これは塗料の種類によって特性が違うので、商品説明をよく読むなり、テストピースで練習するなりして事前に確かめておきましょう。
ものによってはエアブラシの空気圧などの細かい指定もあるので、参考にしてみましょう。
タクミ 「AMCスーパーミラーⅡ」
まずはじめはタクミの「AMCスーパーミラーⅡ」です。
エアブラシ専用塗料なので、うすめ液で希釈せずともノズル経0.2mmのエアブラシで吹き付けることが出来ました。
塗料の吹き付け方法ですが、1回目は色が乗るか乗らないかくらいの薄めに吹く、軽く乾燥させたのち同じように薄く吹き重ねるという工程を2~3回ほど繰り返すことで、綺麗なメッキ調の塗膜ができます
「AMCスーパーミラーⅡ」の耐性について
ここでは、クリアーコートによる塗装面の変化、マスキングテープの貼り付けによる塗装面の変化、を見ていきます。
真ん中で区切っているとことが「マスキングテープ」を貼り付けて剥がした跡。
クリアーコートでは、「水性アクリルのクリアー」と「アクリジョンクリアー」を使用しています。
そしてクリアーコートした表面ですが、どちらとも曇ってしまいましたね。
「マスキングテープ」を剥がしたところも見てみましょう。写真ではマスキングテープと一緒にメッキの粒子が持ってかれてます。
しかし、この時はメッキ塗料を1時間程度しか乾燥させずにマスキングテープを貼ったのでこんな結果になってしまいましたが、再度、塗料を24時間以上乾燥させたあとに、マスキングテープを貼り付けて実験してみたところ、メッキ塗料の剥がれもほとんどありませんでした。
マスキングテープの貼り付けは塗料がしっかり乾燥した後なら可能みたいです。
次に、耐摩耗性と耐エナメル溶剤のテストです。
中央をエナメル溶剤を含ませた綿棒で擦ってみました。
結果、擦った部分のメッキは綺麗に取れてしまいました。エナメル塗料でのスミ入れの拭き取り作業は出来なさそうですね。
耐摩耗性については、「爪で引っ掻く」「布で擦る」をしてみます。
爪でひっかくと流石に傷が入りましたが、塗装面が剥がれるまではいきませんでした。布で擦るでも同じように塗装面はびくともしませんでした。意外と強い。
GSIクレオス 「メッキシルバーNEXT」
つづいて「メッキシルバーENXT」です。
一昔前に薄め液とセットで売っていたメッキシルバーがありましたが、ここで紹介するのは改良された現行モデルとなります。
GSIクレオスの塗料なので非常に入手し易いのが特徴。値段も1000円程度なので手軽に購入できるのも嬉しいですね。
扱いも非常に簡単で、エアブラシの圧力を規定の「0.3~0.5MPa」で守っておけば、雑な吹き付けを行っても簡単にメッキ調になってくれる優秀な塗料なんです。
「これは厚吹きしすぎたかな」とか「こんなに重ね吹きしても大丈夫かな?」なんて考える必要はありません。どんなに雑に塗っても綺麗なメッキ調になってくれます。
エアブラシ初心者やメッキ塗料を初めて使うという人には一番オススメできる優秀なメッキ調塗料ですね。
「メッキシルバーNEXT」の 耐性について
先程と同じように、水性のクリアー塗装とマスキングをしてみました。
メッキシルバーENXTのパッケージに「上からクリアー塗装をすると、光沢を損ないます」と注意書きがありますが検証なので一応やってみます。
「水性クリアー」と「アクリジョン」を塗装してみると光沢は損なわれメッキは曇ってしまいました。パッケージに書いてあったとおりですね。
中央のマスキングテープを剥がした箇所も見てみましょう。
表面のメッキ粒子がテープの粘着面に持って行かれて光沢感が少しだけ損なわれました。メッキシルバーENXTの塗装面にマスキングテープを貼るのはあまりよくなさそうですね。
ちなみに、メッキシルバーENXTのマスキングに関してGSIクレオスから「24時間以上乾燥させればマスキングも可能です」と言われていたので数日間しっかり乾燥させたのですが、それでもマスキングテープの粘着面にメッキが少し持っていかれるという結果になりまいました。
ただし、今回の比較は「下地塗装をしてないポリスチレン樹脂(プラスプーン)に直接メッキ塗料を吹き付けているだけ」ですので、ラッカー塗料を下地に塗装していたらしっかり定着してくれるのかもしれませんね。
同じように耐摩耗と耐エナメルシンナーの検証もしてみます。
先程の結果とは違い、エナメルシンナーを含ませた綿棒でこすっても塗装面に変化は見られませんでした。これならエナメル塗料を使用したスミ入れもできそうですね。
さらに布で擦ったり爪で引っ掻いたりしてみましたが、塗装は剥がれることもなく高い耐久性を見せてくれました。
流石、国内模型塗料の大手であるGSIクレオス。メッキの細かさ、扱いやすさ、コスパ、耐久性、どれも素晴らしい性能でした。
あ、言い忘れていましたが、この塗料の原料で使われている金属粒子は錆びやすいので、塗装表面を素手で触ると表面が曇ったり変色したりする恐れがあります。塗装後は素手で触れないよう注意して取り扱いましょう。
ガイアノーツ 「プレミアムメッキシルバー」
ガイアノーツよりプレミアムメッキシルバーです。
まず特徴的なのがボトルのパッケージですね。フタとラベルに本物のメッキが使われているためかなりの高級感があります。
まず、塗料の特徴についてですが私は「かなり癖がある」と感じました。
他のメッキ塗料に比べるとメッキ調の塗装をする難易度が高めです。
先程のメッキシルバーNEXTとは違い、少しでも厚く吹いてしまうだけでメッキ塗装が失敗してしまいます。
エアブラシの圧力は低め(0.5MPaが丁度よかったです)に設定しましょう。そしてプレミアムメッキシルバーの塗装では、薄く吹き付けて、乾かして、薄く吹き付けて、乾かして、、、を4回ぐらい繰り返してようやくメッキ調の塗装になります。
「他にも更に綺麗なメッキをつくれる方法があるのでは?」ということでエアブラシの圧を上げてみたり、極端に下げてみたり、と色々吹き方を変えてテストピースに塗装してみましたが、薄く何回も吹き重ねる方法が一番綺麗なメッキになりました。
綺麗に塗装することができれば、ほかの2種類と変わらないくらいのメッキ感は出せるので、塗装するコツさえ覚えてしまえば使えないことはないです。
「プレミアムメッキシルバー」の 耐性について
クリアーコートとマスキングテープでのテストです。先程は「使いにくい」とばかり言いましたが、こっからのテストではかなりいい成績を残してくれました。
まずクリアーコートからです。「水性クリアー」「アクリジョンクリアー」を吹き付けてもメッキの塗装面に変化は見られませんでした。
つまり水性クリアーでのトップコートが可能ということが分かります。これは意外と凄いことで、上から水性塗料が塗れるということは、「メッキ調のキャンディ塗装」も可能になるということです。
マスキングテープを剥がしたとき塗膜の耐性も素晴らしく良かったですね。何回マスキングテープを貼ったり剥がしたりしてもメッキの塗装面は変化することはありませんでした。
「耐エナメル溶剤」と「耐摩耗」のテストでも、どちらも好成績でした。エナメルシンナーを含ませた綿棒をこすっても、塗装面に影響は無かったです。なのでエナメル塗料でのスミ入れが可能という事です。
耐摩耗テストでも同じように塗装面はびくともしませんでした。
メッキ感と扱いやすさは他の塗料に劣ったものの、それ以外の耐久性が非常に優れていました。ガイアノーツの塗料なので比較的手に入りやすいほうで、パッケージもカッコいいということで、最終的なオススメ度は★3です。
ガイアノーツ「プレミアムミラークローム」
【2018/10/05追記】
ガイアのプレミアムメッキシルバーの改良版である「プレミアムミラークローム」です。
プレミアムメッキシルバーの性能をそのままに、使いやすさと、メッキ感の向上がされています。
メッキ感も、この記事で紹介している他の3つの中でもトップクラスの鏡面になりました。
使用感も、適当に吹き付けてもちゃんとした「メッキ感」が出るようになっています。使いやすさはクレオスのメッキシルバーNEXTに迫るものがあります。
プレミアムミラークロームの 耐性について
水性クリアーコートの検証でも、他の3種のメッキ調塗料よりもいい結果がになりました。
写真では少々くもっているようにも見えますが、これはクリアー塗料自体の艶と色です。メッキの塗膜自体が侵されているような感じではありません。
マスキングテープにも対応していました。下地塗料は無しでもスプーンのプラスチックにしっかりと定着していました。メッキ粒子が剥がれることもありませんでした。
メッキ感を損なわずにクリアーコートもできるので、水性塗料のイエローを使えばゴールドを作ることも出来ます。
ちなみに右側の曇っている方は、「クリアー塗料を直接混ぜて使用してもメッキ感が出るのか」という検証で作ったものです。メッキ感はでませんでした。失敗です。
個人的には、現在手に入れられる模型用のメッキ塗料の中では一番のオススメです。
しかし、こちらもクレオスのメッキシルバーNEXTと同様に、指で触ると塗膜が曇ったり変色したりするようです。よく触れる部分に使用する際はクリアーコートしてみるとよいかもしれません。
比較結果 各塗料の使用感について
写真で見た感じはどれも同じように綺麗なメッキ調になっています。
肉眼で見た感じだと、
AMCスーパーミラーⅡ=プレミアムミラークローム > メッキシルバー NEXT> プレミアムメッキシルバー
という順で、粒子が細かい&メッキに近い と感じました。
「AMCスーパーミラーⅡ」は値段が高いだけあってかなりメッキに近いです。シルバーの粒子も一番細かいように思えます。
「メッキシルバーNEXT」も同等レベルのメッキ調です。この中では一番コストパフォマンスの高い塗料なのでは無いでしょうか?
「プレミアムメッキシルバー」は、パッケージデザインでは一番メッキ感の出そうな感じでしたが、塗装してみるとちょっと期待はずれな感じでした。
「プレミアムミラークローム」は、改良版ということもあり、他の3種類に負けない、かなり高いメッキ感と使いやすさが特徴的でした。
その他メーカーのメッキ塗料の紹介
ほかにも、色んなメーカーからメッキ塗料が販売されているのでそちらも紹介します。気になる方は各自で調べてみて下さい。
こすって銀sun
銀のパウダーをパーツにこすりつけてメッキ調にする道具
SpazStix アルティメイト ミラークローム
ラジコンボディの塗装で開発されたラッカー系のメッキ塗料(エアブラシ専用)
アルクラッドII クロム
アルクラッドⅡが販売しているメッキ塗料(エアブラシ専用)。このメーカーでは色んなメタリック色を多く取り扱っている。
BLシルバーコートRT / トライアル・キット
値段 ¥58000
あれ?0ひとつ多くない?と思ってしまうBAD LANDが販売しているメッキ塗料。専用のウレタンクリアーでコート出来るので耐久性がかなり高いメッキ塗料です。
気になる塗料ではありますが、値段が高いので手が出せません。
まとめ
メッキ調の塗料は1本あたりの値段が高く、手に入れにくい物です。
しかも用途がかなり限られているので、数種類のメッキ塗料を持っていたとしても「何がどう違いのか」をはっきりと認識できている人も少ないと思います。
今回の記事で「違いを比較して欲しい」「どれを買おうか悩んでいる。」「手っ取り早く特徴が知りたい」という方の参考になれば幸いです。
それでは。