こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
プラモデルの塗装で誰しもが憧れるメッキ塗装。元々のメッキというのは、ニッケルクロームやアルミなど、様々な金属をパーツ表面に定着させているものです。
そんな、メッキに限りなく近づけようと、各模型メーカーが開発したメッキ塗料が沢山販売されています。
ここで紹介するメッキ塗料は、本物のメッキ加工のような複雑な設備がなくても、誰でも気軽にメッキ調の塗装が再現できるものです。
実際には普通のシルバーの塗料という扱いになりまので、どちらかと言えば”メッキ調”の塗料といわれていますね。
今回は、プラモデル用のメッキ調塗料の比較ということなので模型店で手に入りやすい、
- タクミ 「AMCスーパーミラーⅡ」
- GSIクレオス 「メッキシルバーNEXT」
- ガイアノーツ 「プレミアムメッキシルバー」
- ガイアノーツ「プレミアムミラークローム」
を紹介していきます。
目次
メッキ塗料を塗装前にレギュレーターの設定をしよう
メッキ調塗料の取扱いには非常にシビアな吹付け作業が必要となります。
事前に、コンプレッサーのレギュレーターで空気圧を適切に調整しておきましょう。
「メッキ調塗料」を吹き付けるときのエアー圧力は低めの指示がされていますので、レギュレーターで圧力を弱めておきます。ちなみに、クレオスのメッキシルバーNEXTでは「0.03~0.05MPa」を推奨しています。これの数値はパッケージに書いてありました。
ただし、使っているエアブラシのノズル口径によっても変わってきますので、あまり弱すぎるとエアブラシから出るミストの粒が大きくなり、逆に綺麗に吹けない場合が出てきます。
そういうときは、空気圧を少し上げてやり丁度いい空気圧に調整してあげましょう。私のエアブラシでは0.06MPaくらいが丁度よかったです。(エアブラシのノズル径0.2mm使用)
タクミ 「AMCスーパーミラーⅡ」
使用感としては、エアブラシ専用塗料ということなのでうすめ液を入れなくても、ノズル経0.2mmのエアブラシでそのまま吹き付けることが出来ました。
塗料の吹き付け方としては、1回目は色が乗るか乗らないかくらい薄めに吹いて、軽く乾燥させたら2回目も同じように薄く吹きます。これを2~3回ほど重ねることで、綺麗なメッキ調を作っていきます。
扱いやすさは可も無く不可もなくという印象ですね。
「AMCスーパーミラーⅡ」の耐性について
これは「クリアーコートによる塗装面の影響」「マスキングテープの貼り付け」の検証です。
真ん中で区切っているとことが「マスキングテープ」を貼り付けて剥がしたところです。
写真ではわかりにくいですが、「水性クリアー」「アクリジョンクリアー」でコートしたところ、どちらともメッキが曇ってしまいました。メッキというより普通のシルバー系の塗料のような輝きになってしまいました。
「マスキングテープ」を剥がしたところも見てみましょう。写真ではマスキングテープと一緒にメッキの粒子が持って行かれてます。
しかし、この時はメッキ塗料を1時間程度しか乾燥させずにマスキングテープを貼ったのでこんな結果になってしまいましたが、再度、塗料を24時間以上乾燥させたあとに、マスキングテープを貼り付けて実験してみたところ、メッキ塗料の剥がれもほとんどありませんでした。
マスキングテープの貼り付けは塗装をしっかり乾燥させた後なら可能。という事がわかります。
次に、耐摩耗と耐エナメル溶剤のテストです。マスキングしている部分の中央をエナメル溶剤を含ませた綿棒で擦ってみました。
結果は写真で見てわかるとおり、擦った部分のメッキ塗装が溶け出して取れてしまいました。なので、エナメル塗料でのスミ入れの拭き取り作業は出来ないということが分かります。
耐摩耗性のテストでは、「爪で引っ掻いてみる」「粗目の布で擦ってみる」をやってみました。「爪でひっかく」では、流石に傷が入りましたが塗装面が剥がれるまではいきませんでした。結構強かったですね。「布で擦る」でも同じように塗装面はびくともしませんでした。
「」の耐摩耗性はそこそこ強かったですね。
というわけで結果です。
3種類の中では一番綺麗なメッキ調の塗装が出来ましたが、値段の高さ、入手のしにくさがあるのでオススメ度は★3です。
GSIクレオス 「メッキシルバーNEXT」
次は「メッキシルバーENXT」です。一昔前に薄め液とセットで売っていたメッキシルバーの改良版になります。
GSIクレオスが販売している塗料なので、大抵の模型店で取り扱っており非常に入手し易いのも特徴です。値段も1000円をきるので結構手軽に購入できるのも嬉しいですね。そして、塗料の特徴は「入手のしやすさ」「コスパ」だけではないんです。
エアブラシの圧力「0.3~0.5MPa」の範囲で守っておけば、かなり雑な吹き付けを行っても簡単にメッキ塗装ができます。
メッキ調塗料は取扱いが難しい物がほとんどで、綺麗にメッキ塗装するにはかなりコツが必要だったりしまが、この塗料は違いました。
「これは厚吹きしすぎたかなぁ」とか「こんなに重ね吹きしても大丈夫か?」なんて考える必要はなく、厚めに塗ってしまっても重ね塗りしても、塗料が乾いたら案外、綺麗なメッキ調になってくれてたりします。
エアブラシ初心者の人やメッキ塗料を初めて使うという人にもかなりオススメなメッキ調塗料だと思いました。
「メッキシルバーNEXT」の 耐性について
先程と同じように、クリアー塗装とマスキングをしてみます。既に、メッキシルバーENXTのパッケージには「上からクリアー塗装をすると、光沢を損ないます」と注意書きがありますが検証なので一応はやってみます。
「水性クリアー」と「アクリジョン」を塗装してみたところ、注意書きにあった通り光沢が損なわれて曇ってしまいました。
中央のマスキングテープを剥がしたところも見てみます。細かいメッキ塗料がテープの粘着面に持って行かれて光沢感は少しだけ損なわれました。つまり、マスキングテープを貼るのはあまり推奨されないという事ですね。
マスキングに関しては、GSIクレオスから「24時間以上乾燥させればマスキングも可能です」という情報があったので期待していのですが、数日しっかり乾燥させた後でも、やはりマスキングテープの粘着面にメッキ塗料が少し持っていかれるという結果になってしまい少し残念です。
ただ、今回の比較では「下地塗装をしないでポリスチレン樹脂に直接メッキ塗料を吹き付けている」ので、ラッカー塗料が下地だったら、もうすこしメッキ塗料の定着も良くなるのかもしれません。
次に耐摩耗と耐エナメルシンナーのテストです。
エナメルシンナーを含ませた綿棒で塗装面をこすっても、塗装面はびくともしませんでした。これならエナメル塗料を使用してメッキ塗装したところにスミ入れも可能ですね。
そして布で擦ってみたり爪で引っ掻いてみたりもしましたが、コチラも塗装が剥がれることもなくかなり高い耐久性を見せてくれました。
やはり国内の模型塗料のシェアの大半を締めているクレオスのメッキ塗料。メッキの細かさ、扱いやすさ、コスパ、耐久性、どれも素晴らしい性能です。
それから、言い忘れていましたが、この塗料に使用されている金属粒子は錆びやすいので、素手で触りまくってると表面が曇ったり変色します。塗装面に触れないよう注意して取り扱いましょう。
ガイアノーツ 「プレミアムメッキシルバー」
ガイアノーツよりプレミアムメッキシルバーです。まず、特徴的なのがボトルのパッケージです。フタとラベルに本物のメッキが使われていてかなり高級感があるので、机の上に置いているだけで「出来るモデラー」になったような錯覚さえ覚えます・・・
さて、この塗料の特徴についてです。まず始めに、「使用感にかなり癖があるな」と感じました。
他のメッキ塗料に比べると「かなりサラサラの薄い塗料」になっていて、ちゃんとしたメッキ調の塗装をするのには少し練習が必要です。先程のメッキシルバーNEXTとは違い、少しでも厚く吹いてしまうだけでメッキ塗装が失敗してしまいます。
エアブラシの圧力は低め(0.5MPaが丁度よかったです)に設定しましょう。そしてプレミアムメッキシルバーの塗装では、薄く吹き付けて、乾かして、薄く吹き付けて、乾かして、、、を4回ぐらい繰り返してようやくメッキ調の塗装になります。
「他にも更に綺麗なメッキをつくれる方法があるのでは?」ということでエアブラシの圧を上げてみたり、極端に下げてみたり、と色々吹き方を変えてテストピースに塗装してみましたが、薄く何回も吹き重ねる方法が一番綺麗なメッキになりました。
綺麗に塗装することができれば、ほかの2種類と変わらないくらいのメッキ感は出せるので、塗装するコツさえ覚えてしまえば使えないことはないです。
「プレミアムメッキシルバー」の 耐性について
クリアーコートとマスキングテープでのテストです。先程は「使いにくい」とばかり言いましたが、こっからのテストではかなりいい成績を残してくれました。
まずクリアーコートからです。「水性クリアー」「アクリジョンクリアー」を吹き付けてもメッキの塗装面に変化は見られませんでした。
つまり水性クリアーでのトップコートが可能ということが分かります。これは意外と凄いことで、上から水性塗料が塗れるということは、「メッキ調のキャンディ塗装」も可能になるということです。
マスキングテープを剥がしたとき塗膜の耐性も素晴らしく良かったですね。何回マスキングテープを貼ったり剥がしたりしてもメッキの塗装面は変化することはありませんでした。
「耐エナメル溶剤」と「耐摩耗」のテストでも、どちらも好成績でした。エナメルシンナーを含ませた綿棒をこすっても、塗装面に影響は無かったです。なのでエナメル塗料でのスミ入れが可能という事です。
耐摩耗テストでも同じように塗装面はびくともしませんでした。
メッキ感と扱いやすさは他の塗料に劣ったものの、それ以外の耐久性が非常に優れていました。ガイアノーツの塗料なので比較的手に入りやすいほうで、パッケージもカッコいいということで、最終的なオススメ度は★3です。
ガイアノーツ「プレミアムミラークローム」
【2018/10/05追記】
ガイアのプレミアムメッキシルバーの改良版である「プレミアムミラークローム」です。
プレミアムメッキシルバーの性能をそのままに、使いやすさと、メッキ感の向上がされています。
メッキ感も、この記事で紹介している他の3つの中でもトップクラスの鏡面になりました。
使用感も、適当に吹き付けてもちゃんとした「メッキ感」が出るようになっています。使いやすさはクレオスのメッキシルバーNEXTに迫るものがあります。
プレミアムミラークロームの 耐性について
水性クリアーコートの検証でも、他の3種のメッキ調塗料よりもいい結果がになりました。
写真では少々くもっているようにも見えますが、これはクリアー塗料自体の艶と色です。メッキの塗膜自体が侵されているような感じではありません。
マスキングテープにも対応していました。下地塗料は無しでもスプーンのプラスチックにしっかりと定着していました。メッキ粒子が剥がれることもありませんでした。
メッキ感を損なわずにクリアーコートもできるので、水性塗料のイエローを使えばゴールドを作ることも出来ます。
ちなみに右側の曇っている方は、「クリアー塗料を直接混ぜて使用してもメッキ感が出るのか」という検証で作ったものです。メッキ感はでませんでした。失敗です。
個人的には、現在手に入れられる模型用のメッキ塗料の中では一番のオススメです。
しかし、こちらもクレオスのメッキシルバーNEXTと同様に、指で触ると塗膜が曇ったり変色したりするようです。よく触れる部分に使用する際はクリアーコートしてみるとよいかもしれません。
比較結果 各塗料の使用感について
写真で見た感じはどれも同じように綺麗なメッキ調になっています。
肉眼で見た感じだと、
AMCスーパーミラーⅡ=プレミアムミラークローム > メッキシルバー NEXT> プレミアムメッキシルバー
という順で、粒子が細かい&メッキに近い と感じました。
「AMCスーパーミラーⅡ」は値段が高いだけあってかなりメッキに近いです。シルバーの粒子も一番細かいように思えます。
「メッキシルバーNEXT」も同等レベルのメッキ調です。この中では一番コストパフォマンスの高い塗料なのでは無いでしょうか?
「プレミアムメッキシルバー」は、パッケージデザインでは一番メッキ感の出そうな感じでしたが、塗装してみるとちょっと期待はずれな感じでした。
「プレミアムミラークローム」は、改良版ということもあり、他の3種類に負けない、かなり高いメッキ感と使いやすさが特徴的でした。
その他メーカーのメッキ塗料の紹介
ほかにも、色んなメーカーからメッキ塗料が販売されているのでそちらも紹介します。気になる方は各自で調べてみて下さい。
こすって銀sun
銀のパウダーをパーツにこすりつけてメッキ調にする道具
SpazStix アルティメイト ミラークローム
ラジコンボディの塗装で開発されたラッカー系のメッキ塗料(エアブラシ専用)
アルクラッドII クロム
アルクラッドⅡが販売しているメッキ塗料(エアブラシ専用)。このメーカーでは色んなメタリック色を多く取り扱っている。
BLシルバーコートRT / トライアル・キット
値段 ¥58000
あれ?0ひとつ多くない?と思ってしまうBAD LANDが販売しているメッキ塗料。専用のウレタンクリアーでコート出来るので耐久性がかなり高いメッキ塗料です。
気になる塗料ではありますが、値段が高いので手が出せません。
まとめ
メッキ調の塗料は1本あたりの値段が高く、手に入れにくい物です。
しかも用途がかなり限られているので、数種類のメッキ塗料を持っていたとしても「何がどう違いのか」をはっきりと認識できている人も少ないと思います。
今回の記事で「違いを比較して欲しい」「どれを買おうか悩んでいる。」「手っ取り早く特徴が知りたい」という方の参考になれば幸いです。
それでは。