こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
この記事ではフィギュアの頭部を作るまでを紹介していきます。
目次
二次元イラストを立体として把握してみる
オリジナルを作るにしても、マンガ・アニメのキャラクター(版権モノ)だったとしても、まずはフィギュアの頭がどのような立体なのかを具体的に知る必要があります。
二次元イラストを参考に「顔のバランス」「横顔・正面顔のアウトライン」がどのようになっているのかをしっかりと考えておきましょう。
フィギュアの顔で難しいのは左右対称のバランスよりも、目より下に存在している「曲面」の再現なんですよね。マジで意味分かんないです。
この部分に関しては、いくら文章で説明しても理解できないと思いますので、実際のプロの原型師が制作されたフィギュアとかを実際に観察して参考にするしかないと思います。
私が意識しているポイントは「両頬」「鼻下」の膨らみですね。
イラストではなんの記号も入ってないのっぺりとした面ですが、立体になるとこの「頬」と「鼻」の膨らみが大きく現れます。
実際にパテを盛りながら頭部パーツを作ってみる
考えるより先に手を動かしてみましょう。
今回は「グレイスカルピー」をメインに頭部パーツを製作していきます。
グレイスカルピーは、熱を加えるまで固まらない特殊な粘土です。自分の気が済むまで形状を弄ることが出来ます。
はじめに製作した、フィギュアの原寸大に印刷した資料をトレースしてパーツのサイズを決めていきます。
資料からパーツへのトレースの仕方は色々あると思いますが、私はクリアファイルに入れた資料をマジックでトレース→クリアファイルのガイドを参考にパテを整える。というやり方をしました。
ディバイダーを使ってサイズをトレースするって方法もありますね。
足りない部分に追加でパテを盛ったりして整えていきます。曲面が多いので半丸のスパチュラとかを使えばいい感じになります。
顔などの難しいパーツを作っている時は、自分が好きだったり目標としているプロ原型師の製作した「資料」を参考にしながら作業するのも良いでしょう。
1つのパーツを作り続けていると、何が正解で何がカワイイのか分からなくなってきます。顔パーツでゲシュタルト崩壊が起こります。定期的にプロの作品を見ることで自身の「お目々直し」をすることをオススメします。
それから、神原型師の2次元イラストや出来の良いフィギュアとかで目の肥えた中のいい友人から意見をもらうっていうのもいいですね。
気になるところをバッサリと言ってくれるような人が近くにいてくれると頼りになると思います。
まだまだ不細工ですが大体のサイズは決まりました。
正面、横顔、斜め顔、のどの角度から見ても破綻がないように作るのがコツでしょうか。
いやそれが一番難しいところなんですけどね。私のも全然出来てないですし・・・
スカルピーをオーブンで焼き固める
ある程度の形状が決まったら、塗料皿(金属製)ごとグレイスカルピーを焼き固めます。
正面顔を焼き固めたらパーツを塗料皿から外して後頭部も作っていきましょう。
ついでに耳っぽいものも作っておきましょう。それっぽい形のものをスパチュラで造形していきます。
ある程度形が出来たら再度オーブンで焼き固めて、パーツ表面をヤスリで磨いて綺麗にしておきましょう。
髪パーツを製作する
続いて、先程製作した頭部パーツに髪の毛を盛り付けていきましょう。
使用するのは「タミヤ速乾エポキシパテ」です。
さっきまで使っていたグレイスカルピーは、毛先の細いパーツなんかは簡単に折れちゃうので、ここでは強度のあるタミヤ速乾エポパテを選びました。
頭部パーツに髪の毛を盛る前に、頭部と髪の毛のパーツがくっついたらいけないのでワセリンを塗って離型処理をしておきます。
ワセリンを塗った上から頭部のてっぺん(ベース)を先に盛り付けておきます。
スパチュラを使ってエポパテの形状を簡単に整えておきます。
その上から前髪を貼り付けていきます。前髪のサイズは原寸大に印刷した資料を参考にし作ります。
そのままベタッと。
続けて他の髪の束も。
両サイドのアホ毛も作ります。
現状はエポパテを盛ったままなのでボリュームがすごいです。こうやって顔のアウトラインをもみあげで隠してやれば不細工な顔もそれっぽく見えちゃいます。不思議。顔のラインは後で修正していきますが。
このまま硬化させて前髪のパテが固まったらパーツを削り込んで形を整えていきましょう。
前髪の整形
エポパテが半硬化くらいの硬さになったら、頭部パーツから取り外します。
完全硬化させちゃうと剥がしにくくなっちゃいますので、半硬化(2時間くらい)で取り外すのがオススメ。
多めに盛り付けたパテを整形していきましょう。まずはアウトラインを整えるところから。
アウトラインをペンで下書きします。
前髪の頂点はこんなラインで繋げてみました。
バナナのイメージ。
この線を目印にナイフを使ってアウトラインを整えます。
アウトラインを整えるついでに、髪の束感も出してみました。束単位で丸みが出るように削り込んでみました。
顔に前髪がべったりくっついてたら気持ち悪いので、髪パーツの裏側を削り込んでいき顔と髪の間にスキマを作っていきます。
奥まった部分なのでデザインナイフではなく彫刻刀を使うと楽ですね。
そんなこんなで、前髪のパーツ整形が終わりました。表側と裏側を削ったので断面はこんな感じになっています。
ひし形?ラグビーボール形?そんな形をしてます。
後ろ髪の製作
作りかたは前髪とほぼ同じです。
頭部パーツにメンタムを塗って、ベースから盛り付けていきます。
そのベースの上から髪の束を貼り付けていきます。
このフィギュアは「傘」を持っているので、傘の軸が後ろ髪に干渉しないように事前にプラ棒を差し込んでおき穴を開けておきます。
完全に硬化したあとは、ナイフで形状を整えます。
ヤスリで軽く表面を整えたら完成です。
髪が出来ました。
頭部パーツの細部を仕上げていく
髪が完成しましたが、まだ頭部パーツの細かい修正が残っていました。
細かい部分を作り込んでいく前に、気になっている部分をエポパテを使用して微修正しておきましょう。
口を作る
こうやって線で書いてしまってもいいのですが、せっかくのフィギュアなので口もモールドとして再現していきます。
もともとのイラストだと、もっとのっぺりとした顔が似合うような気もしますが、ブログのネタとしても紹介しておきたいのでついでに作っておきます。
※瞳の下書きがコロコロ変わっていますが気にしないで。(どんな瞳のデザインが良いのか色々検討してるとこ)
まずは、ナイフを使って口のラインの下唇側を削ります。
下側が無くなったので下唇を噛んでるような感じになりました。
そしたら削った分だけ下唇のパテを盛ります。ふっくら盛り付けると唇っぽくなると思います多分。
やりすぎると大人っぽい雰囲気になり、控えめにすると子供っぽい雰囲気になります。
アイラインの凹凸の再現
フィギュアではよくある「能面」に目が直接書かれている、というヘッドパーツでもいいのですが、今回は「アイライン」をモールドとして再現してみようかと思います。
モールドを作るためにまずはパテを盛ります。
パテが硬化する前にBMCタガネを使ってアウトラインを粗めに整えます。
パテの余分を切り取ったら、スパチュラを使ってある程度の形に整えます。
あとはBMCタガネや特殊形状ダイヤモンドヤスリで整えたら完成です。
あ、ついでに眉毛も作りました。太眉最高。
まとめ
フィギュア製作については、私もそこまで経験がないのでまだまだ下手くそなんですけど「こんな手順で作ってる」程度に参考にしていただければと思います。
自身でフィギュアを製作している中で「このパーツはどんな形なの?」「耳・鼻・口の形状は?」なんて疑問も出てくると思います。そういう時は、食玩でも、プライズのフィギュアでも、1万円以上のメーカー製フィギュアでもなんでもいいので、プロの製作した造形を生で見てみる。というのが一番参考になるのではないかと私は思っております。
それでは。