「MISUMIアルミフレーム」を使ってフィギュア・模型で使える展示台を設計してみた

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは、柚Pです。

以前、このブログでこんな展示台を作ったのですが、皆さんは覚えていますでしょうか?

ワンフェスでも使えるフィギュア展示台をアクリル板とアルミフレレームで自作してみた!

つい最近までこの展示台を運用し続けていたのですが、やはり何度も使い続けていると問題点や不満点が見つかってくるというもの・・・。

というわけで今回は「MISUMIアルミフレーム」を使って、既存の展示台で気になっていた問題をサクッと解決していきたいと思います!

 

 

既存の展示台の問題点について

ワンフェスでも使えるフィギュア展示台をアクリル板とアルミフレレームで自作してみた!

この展示台も2023年の冬ワンフェスから運用し始めたので、かれこれ3回ほど使っているようです。

現状気になっている問題点は、

  • 3Dプリント製のジョイントの強度不足
  • フレーム同士の接続強度
  • 組み立て難易度が高い
  • 耐熱性が無い

などが挙げられます。どれも3Dプリンター出力品を起因とする問題ばかりですね。

設営毎に壊れるジョイント、各パーツの寸法精度の悪さによる組み立て難度の高さ、溢れ出る苦情(主に自分から)・・・設営と撤収で大きな時間や精神力を持ってかれるのはもう御免です。

さらにさらに、組み立て難さ、ジョイントの強度も大きな問題ですが、個人的に感じている1番の懸念点は「熱問題」と考えます。

この写真は9月の夏場、空調の効いてない部屋にフィギュアを展示した状態で丸一日放置した展示台でして・・・

暑さで溶けとるやんけ!!!

ジョイントとして使用しているレジンは、私も大好きresioneのM68ですので、強度や靭性の問題は無いはずです。しかし、真夏の室温の暑さには堪えられなかったのか見事にフレームが崩壊してますね。

接続部が折れている、というより部屋の熱でジョイントがじわじわ曲がってこの状態になっているようです。

去年の夏ワンフェス会場も同じくらい暑かったですし、最悪の場合はワンフェス当日に同じような状態になっていたかもしれません。

MISUMIのアルミフレームとは

「3Dプリンター製のジョイントが暑さに問題があるなら、全て金属製にすればいいじゃない。」

ということで、以前より妄想していた「アルミフレーム」を使った展示台の設計をすることに決めました。

色々調べてみると、アルミフレーム専用の設計ソフトがあることを知ります。しかも「個人事業主」「法人」なら無料で使えるらしい。

今回はMISUMIのアルミフレームを使って設計をしていくのでMiSUMi Frames」というソフトをインストールしてみました。

MEMO
個人事業主ではない一般の方にはMISUMIやMiSUMi Framesの利用はできないので、モノタロウでTRUSCOとかSUSとかACEの製品を個別で注文しましょう。

MiSUMi Framesを使ってみる

MiSUMi Framesの出来は非常に良く使い方がとても簡単なのも特徴です。

はじめての人でも10分も使ってれば慣れるでしょう。

ソフト内にプリセットされているアルミフレームにはいくつか種類があるようで、私はMISUMI製の20×20mmの「5シリーズ」というアルミフレームをメインに設計しています。

ここでは既存の展示台で使用しているアクリル板が使えるよう、板のサイズから逆算してアルミフレームの寸法を決めていきます。

設計できたらパーツの選定です。

なんとMiSUMi Framesでは、3Dモデルを設計するだけで必要なパーツを全て選定して発注までまとめて出来てしまえるようです。

ただし、MiSUMi Framesのソフトには入っていない便利なパーツがMISUMIの製品ラインナップにあったりもします。

公式販売ページから閲覧できるパーツのチェックもしておくと、より理想的な展示台が作れるでしょう。

さらにMiSUMi Framesでは、フレームの総重量が調べられたり、フレームの強度計算、部材費の計算もしてくれます。

この展示台は140~160サイズの段ボールで配送する必要があるので、フレームの重さも重要です。あまり豪華なフレームを作りすぎると総重量が10kg~になっちゃいますから、必要最低限の骨組みだけで完結させるようにしたいですね。

注文したパーツを確認してみよう

さっそく注文したパーツが届きましたね。

3Dモデルの設計を元に0.5mm単位で精密にカットされたフレームパーツは美しいですね。

これはフレーム同士を接続するジョイントですね。右から

  • 90度に接続 → 突起付反転ブラケット(HBLFSN5-SET
  • 90度に接続 → ブラインドブラケット(HBLBSL5
  • 直列に接続 → アルミフレーム用長ナットL(HNTLG5SET
  • 45度に接続 → 角度付きブラケット(HBL45TS5-SET

となります。

「アルミフレーム用長ナットL(HNTLG5SET)」と「角度付きブラケット(HBL45TS5-SET)」はMiSUMi Framesのラインナップには存在てないパーツなので、MISUMIの公式サイトにて個別で選定し注文しています。

フレームを組み立てていく

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まずはエンドキャップを取り付けていきます。

プラ素材を傷つけないゴムハンや木ハンがあると便利ですね。

両端にキャップの取り付けが必要なフレームには事前にナットを挿入しておくのを忘れないように。

フレーム同士は3Dモデルの設計図を参考にしながら組み立てていきます。ここで必要になる工具は六角レンチのみ。

すべてのパーツがボルトオンで接続できるため、何度も組み付けミスをしても問題ありません。

無事に全てのフレームパーツを組み立て終わりました!

以前までの3Dプリンタージョイントを使用した展示台と比べると、格段に剛性感が上がっており、安心して運用できそうです!

高演色テープLEDを使った照明の改良


▲以前までのLED照明

フィギュアイベントでつかえる展示台の照明を改良して理想の形に!

以前まではL字に折り曲げたアルミ平材にテープLEDを使っていましたね。

これはこれで気に入っていましたが、繋がった展示台を分断するように照明が取り付ける必要があるためちょっと邪魔。せっかくなので少し改良してみましょう。

正面の柱を無くすためには「展示台の端から端まで1本で繋がっている吊り下げ式の照明」を作るのが理想でしょう。

そして今回は剛性のあるアルミフレームを使っているので、少し無茶な設計でも再現できそうです。

というわけで、両サイドから飛び出した600mmのフレームに直接吊るす状態で取り付けられる、全長1200mmの1本もののLED照明を設計してみました。

ちなみにテープLEDは今まで使っていたものを使いまわしています。LEDテープはエナメル溶剤を染み込ませると楽に剥がせますよ。

■ここでの使用パーツ

照明を分解できるようにしよう

全長1200mmのくそ長い棒が段ボールに入るわけもないので、ある程度の長さに分割できるようにしておきましょう。

私の場合は400mm×3本に分割できるようにしてみました。

アルミフレームを分割するにあたりLED配線の分割も必要になりますので、ここではエーモンの2極カプラーを使ってみました。

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コネクタ端子と銅線を取り付けるのには「電工ペンチ」という専用工具が必要になります。

私は細線用の電工ペンチを持ち合わせていなかったので、ペンチでうまいこと金具を折り曲げ、コネクタと銅線が抜けないようハンダを流し込み固定してみました。

注意
本来、銅線とコネクター端子はカシメて固定するものです。ハンダ付けで固定する行為は、コネクタ端子の発熱によりハンダが溶け銅線が抜けてしまう恐れがあるため推奨されていません。

今回は使用電源のパワーや消費電力の観点から、断線してもそこまで危険ではないと判断したうえで行っています。真似する場合は全て自己責任でお願いします。

カプラーを導入したことにより、アルミフレームの分割時、テープLEDの配線も一緒に分離できるようになりました。

LED照明の角度について

展示スペースの奥行きが400mmに対して、LED照明が取り付けるフレームの突き出し量は600mmに設計しています。

つまりLED照明だけちょっとだけ飛び出してるってことです。

これに対応させるため、45度の角度付きブラケット(HBL45TS5-SET)を利用しLED照明の角度を調整して「斜め上からの光源」にしてやります。

顔に落ちる影が一気に無くなり、高演色LEDにより色の鮮やかさも格段に上がりましたね。

ここまで大きく変化が出てくれると、わざわざ照明を作った甲斐があるというもの。

保守部品

この展示台はイベント会場で運用するつもりなので、パーツを紛失・破損させてしまったとき用にある程度の保守部品も追加で買っておきました。

  • M4 六角穴付止めねじ くぼみ先(SSHC-ST3W-M4-5)→ ブラインドブラケット用
  • M5 六角穴付止めねじ くぼみ先(SSHC-STU-M5-5)→ アルミフレーム用長ナットL用
  • アルミフレーム用後入れバネナット(HNTP5-5)→ アルミフレーム接続用
  • 六角穴付ボルト (CBM5-10)→ アルミフレーム接続用

かかった金額について

アルミフレームで展示台を作ると結構値段が張るイメージがありましたが、実は意外と安く作れちゃったんですよね。

MISUMIで購入したパーツは保守部品なども全て含めて合計22,000円ほどで済みました。

将来への投資と考えれば安いもんでしょう。

ちなみに以前まで使っていた展示台の「10mm角のアルミパイプで製作したフレーム」には、11,000円ほどかかっています。

段ボールで梱包してみる

せっかく新しく作ったフレームも段ボールに入らなければ話になりません。

というわけでアルミフレームを適度に分解して段ボールに収まるサイズまで小さくしてみました。

今までの展示台よりも重量が重くなっていることが想定されるので、まずは25Kgの重さまで対応できる160サイズの段ボールに入れてみます。

はじめに一番大きなパーツを入れてみましたが、なんと底面にジャストフィット。

同じ要領で残りのパーツも全て入れてみましたが、思っていたよりコンパクトに梱包できましたね。

本番の梱包では、むき出しのテープLED照明といった繊細なパーツもあるので、緩衝材を使って丁寧に梱包したいところですね。

展示台以外にも、イベントで必要になる備品関係も全て入れてみました。

これで重量は20kgほど。160サイズの規格内にとどめるなら残り5kgしか追加で物を入れられませんね・・・。

ですので残りのスペースは比較的に重量の軽い、お土産や、塗装済み完成品、販売物の在庫を入れておくのに使いたいですね。

おわりに

いままではLED照明の兼ね合いもあったので、1200×400mmの展示台に3体のフィギュアを展示するのが限度でしたが、中間の邪魔な柱が無くなったお陰でスケールフィギュアが6体も置けるようになりました!倍ですよ!

今後はMISUMIのアルミフレームを使った展示台でイベントに参加していきますよ~!

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