こんにちは。柚Pです。
以前『マスキングゾルの性能比較!プラモデルを上手に塗り分けられる便利なアイテムを使いこなせ!』という記事を書きましたが、皆様にSNSで拡散していたけたお陰もあり反響も良くたくさんの方に見てもらうことができました。
そして、その記事の反響の中に少し気になるツイートもいくつか見かけまして。それが「マスキングゾルは色移りするので使わない。」というもの。
たしかに実際に私もマスキングゾルを使った作業の中で、剥がした箇所がシミになっていたり色移りしていたりなんて事を経験したことがあります。
とはいえ、こんな便利なアイテムを使わないってのも勿体ない。どんな条件だと「色移り・シミ」が発生するのか把握できたらマスキングゾルを使わなくなったモデラーが帰ってくるかも。
というわけで今回は「マスキングゾルの色移り問題」についてサクッと検証していこうと思います!
それでは続きからどうぞ。
▼マスキングゾルの比較紹介記事はこちら
目次
検証方法
どんな原因で色移り・シミが起こっているのかを把握するため、検証方法をいくつか考えてみました。
マスキングゾルに含まれている顔料or染料が悪さをしている?
これが一番濃厚そうですよね。
塗装面に対してマスキングゾルの顔料や染料が時間経過によって染み込んでシミになっている可能性がありそう。
これが原因の場合は「時間経過によって色移りの濃さが変わってきそう」なので、短期間で剥がしたマスキングゾルと長期間放置して剥がしたマスキングゾルを用意して比較してみましょう。
マスキングゾルの種類によって色移り・シミになりやすいものがある?
マスキングゾルだけでも色々なメーカーのものが販売されていますので、種類によって良いもの悪いものがあっても不思議ではありません。
というわけで以前紹介した5種類のマスキングゾルの比較も同時にしていきましょう。
塗装面の違い?
ラッカー系塗料の下地なのか、エナメル塗料の下地なのか、水性塗料の下地なのか・・・はたまた表面は光沢なのかつや消しなのか・・・この条件の違いによっても差が出てきそうです。
この検証でもつや消しつやありの2枚くらいは用意したかったんですけど、完全に忘れていたので今回は光沢ラッカー塗膜のみでの検証となります。
塗装面の乾燥具合による色移り?
マスキング作業って塗装中にすることが多いですよね、それに伴い乾燥時間が十分にとれていない場合もあるでしょう。
塗料の溶剤分が抜けきる前にマスキングゾルを塗ってしまったら、染料が使われたパーツでよくある「ブリード現象」みたいなことが起こりそうな気もします。
ですのでこの検証では、塗装して6時間程度乾燥させたテストピースを用意しました。表面は乾いていますが完全乾燥はしてないって感じですね。
使用するテストピース

テストピースには、タミヤのプラバンに【 タミヤ サーフェイサー→クレオスGXクールホワイト 】を塗装したものを使います。
マスキング作業はトップコート前に行うことがほとんどだと思いましたので、クリアー塗装しておりません。
- クレオス マスキングゾルネオ
- グッスマ マスクゾル
- クレオス マスキングゾル改
- ハセガワ マスキングリキッド
- ガイア マスキングコートR
左からこのような順番で塗布していきます。

というわけでズババっと塗ってみました。
塗るタイミングはすべて同じ(多少の差はあるが)にして、剥がすタイミングを1時間・3時間・6時間・24時間・2日後・3日後・4日後の順で剥がしていきます。
ではやっていきましょう!
1時間後
まずは一時間経過したマスキング剤を剥がしていきます。既に塗膜に変化があるものが出てきたようです。
クレオス マスキングゾルネオ

一発目からなんだか不穏です。
なんだかペチャペチャしたものが表面に残っていますね。
指で触った感じ「にじみ出たオイル?」のように感じました、色は薄い緑です。
グッスマ マスクゾル

私も愛用しているグッスマのマスクゾル。期待している。頑張ってくれ。
1時間経過での塗膜に変化はありませんでした。よかった。
クレオス マスキングゾル改

これでも一応剥がした後なんですけど、厚塗しすぎたのか中心部分がまだ未乾燥でしたね。
とはいえマスキングゾル改が剥がれた箇所の塗膜の変化は見られませんでした。ビニール系のマスキング剤は乾燥が遅いのでもう少し待ってみましょう。
ハセガワ マスキングリキッド

こちらも同じように中心部分が未乾燥でした。同じく塗膜に変化はありません。合格。
ガイア マスキングコートR

ビニール系の中では一番乾燥が早い?
ガイアのマスキングコートRは1時間ですべて乾燥しており普通に剥がせました。塗り方の差があるのかもしれませんが。
塗膜に変化は見られませんでした。
3時間後
3時間が経ったので2周目を剥がしていきましょう。
クレオス マスキングゾルネオ

先ほどと同じように、滲み?オイル?のような物が出てきています。
ラッカー塗膜とマスキングゾルネオの成分同士が反応して表面でのみ硬化阻害を起こしてたりするのでしょうか?
マスクゾル・マスキングゾル改・マスキングリキッド・マスキングコートR
面倒くさかったので全部まとめちゃいますが、この4種類はこの後も特におもしろい変化は起こりませんでした!これなら安心して使えますね!
というわけで6時間後以降はクレオスのマスキングゾルネオだけの変化だけ見ていきます。
6時間後のマスキングゾルネオ

見えにくいですが、同じくオイル滲みのようなものが見られます。
ただ、時間が経過してくるにつれ表面に残っているオイルのようなものが乾いてきているような気もします。
24時間後のマスキングゾルネオ

24時間後には、滲み出たオイルのようなものが完全に乾いていました。
マスキング剤を剥がした直前でも、滲みの成分は塗膜側でしっかり乾いて定着してしまっているので、成分が完全に分かれちゃってるんでしょうか?不思議です。
ちなみに24時間以降の2日後、3日後、4日後は、どれも同じような見た目で変化がありませんでしたのでさっくり飛ばしまして結果を見ていきましょう。
結果「マスキングゾルネオ」だけ色移りが起こった。

これは意外な結果でした。
使っているユーザーが一番多いであろうクレオスの「マスキングゾルネオ」のみで色移り・シミの現象が起こっていたとは。
液体マスキング剤で起こる色移り・シミの現象について更にネットで調べてみると「ハセガワのマスキングリキットでも起こる」との情報を見つけることができました。
しかし、どうもこれは旧製品(オレンジ色のやつ)でよく起こっていた問題のようで・・・現在のマスキングリキッドNEXTになってからは色移り・シミは起こらなかったので対策がされたということなのでしょうか。
起こってしまった「色移り・シミ」の対策は?

マスキングゾルネオで発生したこの色移りですが、起こってしまった後の対応策が無いか色々試してみました。
水を含ませた綿棒で軽くこすってみる

問題が起こっている表面を見た感じ「どうも色が染み込んでいるようには見えない」と感じたので、試しに水を含ませた綿棒でこすってみました。
すると

めちゃめちゃ簡単に落とせました。
マスキングゾルが水溶性なおかげで、シミとなっている成分も水を含ませた綿棒で簡単に溶かすことができるようです。
どうやら色が染み込んでるというわけではなく「マスキングゾルの成分の一部が薄い膜となって塗装表面に残っている」というのが色移りの原因のようでした。
これなら広範囲に色が染み込んでしまったパーツでも、流水で優しく洗ってあげれば簡単に色移りを落とすことができそうです。

ちなみにアクリル溶剤やエナメル溶剤でも落とせるか試してみましたが、水を使った時が一番簡単に色移りを落とせました。
アクリルもエナメルもラッカーの塗膜を侵す性質があるので、こすった跡が残って逆に塗膜が汚くなっちゃいましたね・・・。
まとめ
まだまだ検証不足な部分が多いですが、今回の結果だけでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
この検証ではあまり良い結果ではなかったクレオスのマスキングゾルネオも、「値段の安さを生かして広範囲のマスキングテープの隙間埋めメインに使う」のような使い分けをすれば十分素晴らしいアイテムにもなるでしょう。
公式HPにも「※カッターでの切り出しはできませんので、大きな面積のマスクや吹き付け時の塗装侵入防止等に使用してください。」て書いてありますし。
その人の使い方や考え方次第で道具は生かせるということも忘れずに。〇〇だから全部ダメ!という考え方はしないように!
というわけで液体マスキング剤の色移りについての検証でした。
それでは。
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