3Dプリンターの出力品洗浄で使った「IPA(イソプロパノール)」はリサイクルできるのか!?

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは、柚Pです。

3Dプリンターの出力品洗浄で大量に発生するIPAなどの「洗浄液」ですが、お金を払って買っている分、汚れたらそのまま廃棄するというのは少し勿体ない気がしますよね。

というわけで今回は、出力品で使用した洗浄液をリサイクルできるのかどうか実験してみようと思います!

用意するもの

IPAをリサイクルする実験を始める前に、使えそうなものをいくつか購入しておきました。

廃IPA

プレウォッシュ用途ではまだ使えそうですが、レジンが大量に溶けてかなり濃くなった洗浄液です。

このあと日光浴をさせるので、紫外線を通しやすい透明な容器に入れておきます。

ザルと不織布

大きめのザルと不織布のフィルターも用意しておきました。

不織布・ストッキングは、IPA内部のレジンを硬化させたときに出てくる固形物を分離する用途で使います。

バケツ

汚れてもいいバケツも用意します。

私はダイソーにてザルとバケツがセットになった商品を買いました。

廃IPAを天日干し

まずは廃IPAが入った容器を野外へ持ち出し、数日にわたり太陽の光を当て続けました。

日光浴をさせてる間は容器のフタを締め、IPAが空気中に揮発させないようにします。

数日後、太陽の光で廃IPA内のレジンが反応し、表面にゼリーのような固形物が形成されます。

UVが当たりやすい表面だけ固まってくるので、ゼリー状なった固形物をヘラで混ぜて、廃IPA内部のレジンが完全に反応するまでこの作業を繰り返します。

複数回まぜていると、太陽光を当てていても固形物ができなくなりました。UVで反応する成分は完全に固形になったと思われます。

固形物は沈殿し、上澄みには透明なIPAらしき液体が溜まっています。

固形物と上澄みを分離させる

反応させた固形物と上澄みを分離させるため、不織布とザルを使って濾します。

沈殿した固形物がオカラ状になるまで濾すのに結構時間がかかりそうだったので、不織布の口を縛って重しを乗せ効率的に上澄みの液体を絞りとってみます。

上澄みをさらに濾してみる

不織布で濾した「上澄み」にも、まだ細かい固形物が残っているので、さらに目の細かい「コーヒーフィルター」を通して除去してみます。

中身が見えやすい透明な耐油ホースを使ってゆっくり濾していきます・・・

コーヒーフィルターは目が詰まりやすいので、定期的に交換してやります。

上澄みを取り出せました

5.5Lの密閉容器に入れた廃IPAから、約2.0Lの上澄みが採取できました。

ここまで処理した上澄みは、UVで固まることもなければ顔料が沈殿することもありません。

結果

今回の実験では、この上澄みが「純度の高いIPA」に戻っているかが重要です。

ちょっとでも化学に詳しい方なら実験なんてしなくても結果は分かってたと思いますが・・・今回の実験は「失敗」でした!残念!

光造形レジンは、光で重合反応する成分や顔料だけで構成されてるような単純なものではなく、それ以外にもいろいろな「添加物」が含まれています。

いくら顔料を沈殿させてUVで反応する樹脂成分を上手に分離しても、その他の添加物がIPAに溶けたままというわけ。

実際に、取り出した上澄みの液体の匂いを嗅いでみても「レジンを洗ったあとのIPAの香り」がします。

さらに、上澄みの液体が乾いたあとには「何らかの成分の跡」が残ります。純粋なIPAだけだと揮発したあと何も残らないので、これはレジンに含まれる添加物が残っている証拠で間違いないでしょう。

ただ、ちゃんと透明な液体には戻せたので、プレウォッシュなどの用途には引き続き使えそうですね。

というわけで今回の実験はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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