こんにちは。柚Pです。
自作パーツを作ったりガレージキットのパーツを量産する際に使われるレジン複製。そこでは主に「2面型」と呼ばれる、裏と表の2枚からなるシリコン型が採用されています。
大抵のパーツはこの2面型と呼ばれる型で複製することが出来るのですが、ごくまれに2面型では複製が難しい複雑な形状のパーツに出会うこともあります。
そういうとき役に立つのが、今回紹介する「3面型」という型です。
メインとなる裏表の2枚の型の中に「中子」と呼ばれる3つめの型を追加されることで三面型は作られます。
というわけでこの記事では「3面型」の詳しい作り方を解説していきます!
目次
3面型で複製しやすくなるパーツの例
今回、3面型の製作で使用させてもらのはこちらのパーツ。
2022年の冬WFで一緒のディーラーで参加してくれた桐島金時(@kiri41ma1)さん製作の「アリス・ギア・アイギス 村尾未羅」の原型パーツを一時的にお借りしました。
実はこのパーツ、スカートの内側を覗くと大きな穴が存在しています。下半身パーツを差し込むために設けられた穴ですね。
このような「奥まった横穴」が存在するパーツに3面型が有効になってきます。
2面型の製作方法について

ここからは複製の基本となる「2面型を使った複製の知識・経験がある」という方を想定して解説を進めていきます。
2面型を使ったシリコン型での複製についての詳しい解説は『フィギュア複製を徹底解説!ガレキの原型パーツを粘土埋めしてみよう!』の記事をご覧ください。
実際に3面型を作ってみよう!
それでは3面型を作っていきましょう。
まずは粘土埋めからスタート。
粘土埋め
平に伸ばした粘土の上に、複製したい原型パーツを配置して埋めていきます。
原型パーツの配置については『レジン複製の粘土埋めで大切な『配置・レイアウト』についての基礎知識』でも解説しているので参考にしてみてください。
原型パーツと同じ大きさの穴を作りまして
埋めてやります。
粘土と原型パーツの隙間がまだ残っている箇所も綺麗に埋めてやりましょう。
四角い粘土を積み上げて
スパチュラで整えます。
このとき、粘土と原型パーツの境目が複製パーツのパーティングラインになりますので、どの位置にパーティングラインが来た後の処理が楽になるか考えながら粘土埋めをしてみましょう。
最後にスカート部の横穴の粘土埋めをしていきます。
ここは3つ目の型「中子」となる箇所ですので、少しだけ細工をしておきましょう。
カッターナイフを使って、土台となる粘土に切り込みを入れておきましょう。
後工程で粘土を剥がす際、切り込みを入れておけば中子の粘土を残しやすくなります。
切り込みを入れたあとは、先程と同じように粘土を筒状に積み上げて中子の形状を整えてやりましょう。
スパチュラを使って綺麗に整えます。
湯口を取り付ける
湯口となるプラパイプを取り付けます。
使っているのはダイソーで売られている編み棒ですね。たしか8mmくらい
型ズレ防止のダボをつける
筆のお尻やペンのキャップなんかを使って、型ズレを防止するダボをスタンプしてやります。
中子となる粘土にもズレ防止の溝を掘って起きます。
縦溝なのは中子をスライドして入れられるようにするため。
シリコン流し1回
粘土埋めの作業がすべて終わったら、気泡を噛まないようシリコンを丁寧に流しましょう。
1回目流し終わりました、12時間後に移動。
粘土を剥がす
シリコンが硬化したら、粘土を除去していきます。
ここでポイント。
裏側の粘土はすべて剥がすのではなく、中子部分に入れた切り込み部分を残すようにして剥がしてみましょう。
中子として残した粘土は、カッターやスパチュラを使って形を整えておきます。
最後は型ズレ防止のダボをスタンプしてやります。
これで2回目のシリコンを流す準備ができました。
まだ中子となる箇所に粘土が残っていますが、このままで大丈夫です。
2回目のシリコンを流す前に「シリコン用離型剤」も忘れずに塗布しておきましょう。
シリコン流し2回
2回目のシリコンを流し終わりました。
型枠を外し、開いてみましょう。
中子の粘土を除去する
開いたら、型内に残っている中子の粘土をすべて取り除いてやります。
このときシリコン型に埋まっている原型パーツは取り外さずそのままにしておきます。
もし原型パーツが完全に型から外れてしまった場合は、ワセリンなどの油を塗布して滑りを良くしてから、シリコン型にはめ直してやりましょう。
中子となる粘土をすべて除去した後、仕上がっている2つの型に再度シリコン用の離型剤を塗布しておきましょう。中子となるシリコンを流すので。
型をあわせたときに、中子となる粘土が入っていた箇所がぽっかり開いていればOK。
それでは3度目のシリコンを流し中子を作っていきましょう。
型同士をクランプする力加減について
中子を作る際、型同士を強くクランプしたままシリコンを流してしまうと、歪んた形に硬化した中子ができてしまいます。
こうなってしまうと、型ズレやレジン漏れなどのトラブルも起こりやすくなってしまいます。
ですのでシリコンを流すときのクランプ力はできるだけ弱めにして、歪みの少ない中子が出来るようにしましょう。
ちなみに私は型を当板で挟んで幅広の輪ゴム1本だけで固定しています。
シリコン流し3回目
中子のシリコンは縁から溢れない程度まで流し込んでやります。
これで3回目のシリコン流し完了です。
3面型の完成!
3回目のシリコンが硬化したら開いてみましょう。
無事にスカートの中に入る中子ができているので3面型は成功ですね。
湯口を切る
最後は湯口とパーツを繋げるレジンの通り道を作ってやりましょう。
レジンを流してみる
型が完成したので、実際にレジンを流してちゃんと使えるか確認してみます。
はい!成功ですね!
奥まっているスカート内部も、中子があるおかけで取り外しやすくなりました。
まとめ
ここまでの説明を読んだら分かってもらえたと思いますが、実はいつもの2面型に一手間加えるだけで3面型は簡単に作ることができます。
ちなみにこの技を応用すれば4面型でも5面型でも6面型でも作ることが可能です。事前に配置する中子の数とシリコンを流す回数を増やせばいいだけなので。
興味があればぜひ挑戦してみてください!
それでは。
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