こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
この記事ではフィギュアに付着している「離型剤」を落とすことについて詳しく解説していきます。
「離型剤落とし」では、お湯で茹でたり、中性洗剤で洗ったり、石油系溶剤で拭き取ったり、専用の離型剤落としに漬け込み洗浄をしたり・・・色んな方法があります。
やり方の違いによる「それぞれの特徴」にも触れながら、詳しく書いていきたいと思います。
目次
ガレージキットに付着している「離型剤」とは?
そもそも、どうしてガレージキットには「離型剤」なんて面倒くさい油が付いているのでしょうか?
この理由はガレージキットを複製する工程を知れば理解できると思います。
ガレージキットは写真のような「シリコン型」に「レジン」という樹脂を流し込んで作られています。
離型剤はこのシリコン型とレジンを効率的に”離型”させるために塗っておく油のようなものです。
シリコン型に塗る「離型剤」はこんなやつです。
オイルのような保護膜をつくるためのもので、吹き付けた型の表面が「ツルツル」になります。
この離型剤でコーティングしてやることで、成形されたレジンパーツが簡単に外れてくれるようになりシリコン型の寿命も伸びます。
「離型剤」を落とす主な理由は?
これは当然、「塗装や接着剤の定着をよくするため」です。
先程も説明したとおり、離型剤はシリコン型とレジンを引っ付かないようにするために塗るものです。離型剤がパーツに残っていれば、その上から塗る「塗料や接着剤」も剥がれやすくなってしまいます。
ガレージキットを綺麗に塗るためには、この「離型剤を落とす」というのはとても重要な工程なのです。
離型剤を落とす様々な方法
それでは本記事の本題に移りましょう。この「離型剤」を落とすにはどうすればいいのでしょうか。
パーツを鍋で煮る
レジンのパーツを鍋に入れてお湯で20分ほど煮るという方法。(使用する鍋は料理用とは別のものを使ってください)
しかし、お湯で茹でる方法は離型剤落としての能力はかなり低いです。
昔からガレージキットやソフビキットを作られている方からしたら「パーツをお湯で茹でる」を儀式的にやっている人も多いと思いでしょう。
お湯でパーツを煮る行為は「離型剤を落とす」という効果よりも、
- ”熱”を加えることによってレジンパーツに残った「溶剤分」を飛ばし完全硬化させる。
- パーツに残った「歪み」や「応力」をとる。
という効果のほうが大きいようです。
パーツに残った溶剤を飛ばすことで、時間経過とともに起こる「パーツ体積の収縮」が抑えられたり、梱包時に出来た「パーツの歪み」の矯正ができたりもします。
逆に細いパーツは熱で歪んで再生不可能な状態になってしまう恐れもあるため注意が必要です。
(追記:2023/03/06)
最近のガレージキットには、3Dプリンターで出力されたパーツが含まれていることがあります。
この3Dプリンター出力品パーツは、一般的にレジンキャスト(ウレタン樹脂)と呼ばれる樹脂とは特性が全く違うため、同じように高温のお湯で茹でてしまうとパーツがボロボロに破損してしまう恐れがあるので注意しましょう。
研磨剤入り洗剤で洗う
研磨材入りの洗剤「クレンザー」を使って洗浄する方法です。
レジンパーツを扱うので、食べ物を扱うキッチンで作業するのは避けたほうがいいかもしれません。
パーツを1つひとつ洗浄するのはとても時間がかかるので、音楽を流しながら作業すると捗るんじゃないでしょうか。
私がよく使用している洗剤はクリームタイプのクレンザーです。
ホームセンターに行けば90円くらいで売ってますね。
「研磨材」の入っているクレンザーを使うのには「洗浄と表面処理が一度に行える」という理由があります。
上の写真のレジンパーツは、まだ表面処理も洗浄も何もしてない状態。
見事に水をはじいていますが、
これを歯ブラシとクレンザーでゴシゴシ磨いていきます。
言い忘れてましたが、「クレンザー」のようなアルカリ性の洗剤を長時間使うときは、ゴム手袋を装着しておいたほうがいいです。手が荒れますので。
クレンザーで洗ったら水でゆすぎます。
水を弾かなくなり「親水性」になりました。これはクレンザーの研磨成分によって、磨いたパーツ表面に細かい傷ができたからですね。
この方法は、1つひとつ丁寧にブラシで磨かないといけないので大変ですが、このひと工程だけ「洗浄」「離型剤落とし」「パーツの表面処理」の3つがまとめて出来る一石三鳥な技だったりもします。
レジンパーツ専用のクリーナー液を使用する
模型メーカーが専用で販売している「離型剤落とし」です。離型剤落としの方法ではこれが一番オススメ。
ガイアノーツの「レジンウォッシュ」、ファインモールドの「ご機嫌クリーナー」なんかがありますね。
私はガイアノーツの「レジンウォッシュ」を愛用しております。漬け込むだけでしっかりと離型剤を落としてくれるスグレモノ。
超音波洗浄機と併用すれば確実に離型剤を落としてくれます。
市販の洗剤で落とす
専用の離型剤落とし以外にも、こんなのを使っている強者もいるみたいです。
これはスクラビングバブルの「激泡キッチンクリーナー」です。(2020/07/12追記:現在は販売終了。)
こすらないで落ちるという謳い文句もあるように、油を溶かして落とす力が強いらしい。
入れ歯用洗浄剤を使う
「入れ歯用の洗浄剤」を使用してレジンの離型剤落としをする強者もいると聞いたことがあります。
本当に入れ歯洗浄剤で離型剤が落とせるのでしょうか・・・?
洗浄剤から出る泡の力で、細かい隙間に入っている離型剤も効率的に落ちそうなイメージはありますよね。私は試したことが無いので実際の効果についてはノーコメントで。
パーツクリーナー
最後に「パーツクリーナー」です。ガレージキットの離型剤落としとして優秀なのは、呉工業のフォームングクリーナープロ。
車とか自転車とかバイク弄りが好きな人ならば、1本2本は置いてあるのではないでしょうか。
離型剤を落としたいパーツに直接スプレーして使います。
ちなみにブレーキクリーナーの中身を取り出して液にパーツを漬け込むと、レジンパーツが溶剤を吸って膨張することがあるので漬け込みはオススメしません。
ブレーキクリーナーの種類によってはレジンパーツを溶かしたり、レジンパーツに浸透しやすいものがあったりするので、使う前は事前にテストをしておくと安心ですね。
まとめ
この記事を読んだ人の中には「離型剤を落とすのは難しそう」なんてイメージを持っていた方もいるのではないでしょうか。
「離型剤を落とす作業」なんて、安く済ませようと思えばクレンザー一本買ってくれば数百円で出来るし、お金がかかってもいいから楽で簡単に終わらせたいという人は専用のクリーナーを買って漬け込むだけってのでもいいんです。
言ってしまえば「油さえちゃんと落ちればやり方なんでなんでも良い」というわけです。
今回紹介した記事では色々なやり方がありましたが、とりあえず自分が「これならできそう」というのを選んで実践してみるてください!
それでは。
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