こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
この記事ではフィギュアに付着している「離型剤」を落とすことについて詳しく解説していきます。
「離型剤落とし」では、お湯で茹でたり、中性洗剤で洗ったり、石油系溶剤で拭き取ったり、専用の離型剤落としに漬け込み洗浄をしたり・・・色んな方法があります。
やり方の違いによる「それぞれの特徴」にも触れながら、詳しく書いていきたいと思います。
目次
ガレージキットに付着している「離型剤」とは?
そもそも、どうしてガレージキットには「離型剤」なんて面倒くさい油が付いているのでしょうか?
この理由は、フィギュアを複製する工程を知れば理解できると思います。詳しい複製については「シリコン型とレジンを使った本格的な複製をしてみた!「レジンを流してパーツを量産編」」の記事を参考にしてみてください。
フィギュアは基本的に写真のような「シリコーン型」に「レジン」という樹脂を流し込んで作られています。離型剤はこのシリコーン型とレジンを効率的に”離型”させるために塗っておく油のようなものです。
ちなみに、シリコーン型に塗る「離型剤」はこんなやつです。写真のはフッ素系離型剤「ハイリムーバー94FXⅡ」という商品。
中身はフッ素系のオイルのようなもので、塗ったところが「ツルツルベトベト」になる感じです。シリコーン型の表面をこいつでコーティングしてやることで、シリコーン型で成形されたレジンのパーツも簡単に外れてくれるというわけです。
フィギュアの「離型剤」を落とす主な理由は?
これは当然、「塗装を出来るようにするため」です。
先程も説明したとおり、離型剤はシリコーン型にレジンが引っ付かないようにするために塗るものです。なので、当然ながら離型剤がパーツに残っていれば、その上から塗る「塗料」も剥がれやすくなってしまいます。
塗料がうまく乗ったとしたとしても、爪や手で触っただけで簡単に塗膜が剥げたりなんてことも。せっかく綺麗に塗装してもこれでは台無しです。
フィギュアを綺麗に塗るためには、この「離型剤を落とす」というのはとても重要な工程のひとつなのです。
フィギュアの離型剤を落とす様々な方法
それでは本記事の本題に移りましょう。この「離型剤」を落とすにはどうすればいいのでしょうか。
パーツを鍋で煮る
レジンのパーツを鍋に入れてお湯で20分ほど煮るという方法。(当たり前ですが、使用する鍋は料理用とは別のものを使ってください。)
お湯には数十滴ほど中性洗剤を入れると、より効果的に離型剤を落とすことが出来るようです。
しかし、玄人モデラーの中には「ソフビキットを茹でるのは分かるけど、ガレージキットは茹でる必要は無い」と言ってる方もいたりします。
実際に、お茹で湯でなくても市販の離型剤落としだけを使用してガレージキットの塗装に入っちゃっても問題はありません。
この「パーツをお湯で茹でる」という方法を儀式的にやっている人も多いと思います。離型剤の種類によっては茹でるだけでは落とせないものもあるでしょう。
ちなみに、お湯でパーツを煮る行為は「離型剤を落とす」という以外にも
- 長時間、”熱”を加えることによってレジンパーツに残った「溶剤」「可塑剤」を完全に飛ばす。
- パーツに残った「歪み」や「応力」をとる。
なんて効果もあると言われています。
レジンパーツに残った可塑剤・溶剤を飛ばすことで、時間経過とともに起こる「パーツ表面の収縮」に対応できたり、梱包時に出来た「パーツの歪み」の矯正ができたりもします。
逆に、細いパーツは熱に弱く、簡単に形状が歪んでしまうので「茹でる」という方法をとるのはあまり好ましくありませんね。
クレンザー洗剤などで洗って落とす
研磨材入りの洗剤「クレンザー」を使って洗浄するという方法です。
レジンパーツを扱うので、できるだけ食べ物を扱うようなキッチンで洗うのは避けたほうがいいかもしれませんね。
私はいつも風呂場で洗っています。パーツを1つひとつ洗浄するのはとても時間がかかるので、携帯電話などを持って入って好きな音楽なんかを流しながら作業するととても捗るんじゃないでしょうか。
使用する洗剤はクリームタイプのクレンザーです。ペーストタイプのほうが扱いやすいので私はこれを愛用しています。
ホームセンターに行けば90円くらいで売ってるでしょう。
界面活性剤の入っていない研磨剤を使う場合は、中性洗剤を一緒に混ぜて使ってやると離型剤が落ちやすくなると思います。
あえて「研磨材」の入っているクレンザーを選ぶのには「洗浄と表面処理が一度に行える」という理由もあります。
上の写真のレジンパーツは、まだ表面処理も洗浄も何もしてない状態です。見事に水をはじいていますが、
これを歯ブラシとクレンザーでゴシゴシ磨いていきます。
言い忘れてましたが「クレンザー」のようなアルカリ性の洗剤を長時間使うときは、ゴム手袋とかを装着しておいたほうが良いです。手が荒れます。
クレンザーで洗ったら水でゆすぎます。水を弾かなくなり「親水性」になりました。
この状態になると、「クレンザーの研磨成分によって、磨いたパーツ表面に細かい傷ができた」というわけです。
クレンザーを使用した洗浄方法は、1つひとつ丁寧に歯ブラシで磨かないといけない大変な作業ですが、このひと工程で「洗浄」「離型剤落とし」「パーツの表面処理」の3つがまとめて出来る一石三鳥な技だったのです。
レジンパーツ専用のクリーナー液を使用する
模型メーカーが専用で販売している「離型剤落とし」です。
ガイアノーツの「レジンウォッシュ」とファインモールドの「ご機嫌クリーナー」なんかがありますね。
私はガイアノーツの「レジンウォッシュ」を愛用しております。漬け込むだけでしっかりと離型剤を落としてくれるスグレモノです。
超音波洗浄機と併用すれば確実に離型剤を落としてくれるので、かなり強力と言えるでしょう。
ホームセンターで購入できる洗剤で落とす
専用の離型剤落とし以外にも、こんなのを使っている強者もいるみたいです。
これはスクラビングバブルの「激泡キッチンクリーナー」です。(2020/07/12追記:現在は販売終了したみたいです。)
こすらないで落ちるという謳い文句もあるように、油を溶かして落とす力が強いらしいです。
ガレージキットの場合は表面処理は必須なので、私はクレンザーで洗うだけで済ませる多いですが、プラモデルの離型剤落としとしてなら、「激泡キッチンクリーナー」を使うことがあります。
この記事「【ガンプラ初心者】全塗装でガンプラを仕上げてみた 工程まとめ」でも使ってます。プラモデルの場合は表面処理をしなくても、脱脂さえしっかりしておけば、ある程度の塗料は定着してくれるので。
入れ歯用洗浄剤を使う
他にも「入れ歯用の洗浄剤」を使用してレジンの離型剤落としをする強者もいると聞いたことがあります。
本当に入れ歯洗浄剤で離型剤が落とせるのでしょうか・・・?
洗浄剤から出る泡の力で、細かい隙間に入っている離型剤も効率的に落ちそうなイメージはありますよね。私は試したことが無いので効果についてはノーコメントで。
ブレーキクリーナー
最後に「ブレーキクリーナー」です。
車とか自転車とかバイク弄りが好きな人ならば、1本2本は置いてあるのではないでしょうか。
使い方としては、離型剤を落としたいパーツに直接スプレーして使います。それ以外でも、ブレーキクリーナーの中身を取り出して、クリーナー液にパーツを漬け込むというのも案外効果的かもしれません。
注意点としては、ブレーキクリーナーの種類によってはレジンパーツを溶かしたり、レジンパーツに浸透しやすいものがあったりするので、使う前は事前にテストをしておきましょう。
まとめ
この記事を読んだ人の中には「離型剤を落とすのは難しそう」なんてイメージを持っていた方もいるのではないでしょうか。
「離型剤を落とす作業」なんて、安く済ませようと思えばクレンザー一本買ってくれば数百円で出来るし、楽で簡単に終わらせたいという人は専用のクリーナーを買って漬け込むだけってのでもいいんです。
つまり言ってしまえば「油さえちゃんと落ちればやり方なんでなんでも良い」というわけです!!
今回紹介した記事では色々なやり方がありましたが、とりあえず自分が「これならできそう」というのを選んで実践してみるのはどうでしょうか。
それでは。