こんにちは。柚P(@yzphouse)です。
みなさんはレジン複製をする際に、シリコーン型の寿命を伸ばすために使用される「離型剤」というもがあるのをご存知でしょうか?
模型誌やウェブサイトなどで「レジン複製」の工程についてフォーカスされることはあっても、離型剤の種類まで詳しくカバーできているものってあんまりないですよね。
というわけでこの記事では、私が使っている離型剤をいくつか紹介していきたいと思います!
目次
そもそも離型剤とは
ガレージキットを買ったり作ったことある方なら「離型剤」というワードを一度は聞いたことあるんじゃないでしょうか?
離型剤というのは名前の通りの意味で「型からパーツを離れやすくするための油」のようなものです。パーツ成形の前に型に直接塗布して使用します。
離型剤で表面がコーティングされた型は、レジン(ウレタン樹脂)からのダメージが少なくできたり、パーツの型抜けが良くなるという効果が期待できます。
離型剤を使うことでシリコーン型の寿命が伸びたり、パーツが外しやすくなったりといいことばかりです。しかしガレージキットの買い手側は、成形品についた離型剤を落とさないといけないという手間が増えるだけなので、いいイメージは無いかもしれませんね。
「離型剤落とし」については、別の記事で解説していますので「フィギュア初心者でもできる!ガレージキットの離型剤を徹底的に落とす方法!」を参考にしてみてください。
初心者にオススメ! 信越シリコーン KF96SP
私が知ってる離型剤でもっともポピュラーなものです、信越シリコーンの「KF96SP」。
東急ハンズや、模型店、全国のボークスで取り扱っているため入手性はとてもいいです。
特徴として「表面がツルツルになる」という点があります。
型の表面がツルツルになるため、成形品もツヤの出た状態で成形されます。光沢感を失いたくないパーツなんかでも使いやすい離型剤です。
値段も1000円程度と安く、初めて使う離型剤としては結構使いやすくていいんじゃないでしょうか。
これはどの離型剤にも言えることですが、大量に吹き付けすぎると型の表面が結露したような状態になりパーツの整形不良につながるため、少しずつ様子を見ながら吹き付けてみてください。
KF96の原液だけで販売されているものもあるみたいなので、スプレーガンをお持ちの方はそちらを購入してみてもいいかも。
離型剤が大量に必要になる場合はコチラのほうがお得かもですね!
個人的に一番オススメ 信越シリコーン KF412SP
信越シリコーンの「KF412SP」です。先程のKF96SPとパッケージが似ていますが別物となります。
KF412SPはペインタブル用シリコーン離型剤というもので、「離型剤を塗布して成形したパーツが塗装できるタイプ」らしい。
これだけを見ると「KF412SPを使えば離型剤落としの作業は必要なくなる!」といきたいところなんですが、そんなうまい話はありませんでした。普通に塗料弾きます。過度な期待はせず普通の離型剤として使いましょう。
値段はKF96SPとくらべてKF412SPは若干高い1000円~くらいで買えます。
特徴は「成形品が自然なツヤで仕上がる」です。半ツヤくらいの表面になるので、フィギュア、メカもの、どんなパーツでも上品な感じに仕上がります。
個人的にはKF96SPよりも、表面の仕上がりが好みなのでKF412SPをよく使っていますね。
離型性能も良いので、普段使いの離型剤としてオススメです。
離型性能抜群 ユウビ造形 UB108
こちらはユウビ造形の「UB108」という離形剤。
フッ素系の離型剤で、値段は少し高めの2000円ほど。その代わり性能はかなりいいです。
この離型剤を使った成形品の表面はフラットなつや消し状態になります。パーツの表面処理しなくても塗料が食いつきよさそう。そんな印象をうけました。
しかも、この離型剤を吹き付けたら型の表面がサラサラになるおかげなのか、レジンの流れも気持ち良くなる気がします。ベビーパウダーと同じような効果で表面張力が抑えられてるんでしょうか?
私は真空注型機を使い始めてからUB108を使わなくなってしまいましたが、常圧複製の時代にはかなりお世話になった離型剤です。
スプレーガン必須! RCベルグ MR-101
RCベルグで販売しているウレタン注型用の離型剤の「MR-101」です。似たような名前で、シリコン合わせ型用の「MR-102」もあるので間違えないように。
この離型剤はスプレータイプではなく、原液が500cc入っている缶での販売となっています。
値段は3683円と一見、高く思えますが、500ccもあればかなりの回数使えるのでコスパは高いです。
原液タイプなので離型剤として使用するためには、エアブラシやスプレーガンなどの設備が別途必要になります。
ちなみに、MR-101はゴムやプラスチック(ポリエチレンやポリプロピレン)への攻撃性も高いので、専用のスプレーガンを用意したほうがいいですね。Oリングとかのゴム製のパッキンが油を吸って膨張して死ぬので。
私は、Amazonで売られている中華のK-3とかいう激安スプレーガンに入れて使っています。
性能については、RCベルグも愛用しているということもあり問題なく使えます。
表面の仕上がりは、半ツヤくらいになります。RCベルグで業者抜きされたパーツを見たことある方ならおなじみのあの感じです。
離型剤をシリコン型に吹き付けすぎたところで「成形品の表面がボソボソになる」ということはありませんでした。しかし、ゴムへの浸透力が強いという事もあり、離型剤を吹き付けすぎてるとシリコン型が離型剤を吸って膨張してきます。
膨張してくると、シリコン型のスジボリの凸部分が膨張して波打ったり、薄物のパーツが綺麗に抜けなくなったりするので、吹き付けすぎには注意しましょう。
少し扱いが難しいですが、ちゃんと使いこなせるようになれば高コスパ高性能な離型剤と言えるのではないでしょうか。
最終兵器 平泉洋行 ハイリムーバー94FXII
最後に、平泉洋行の「ハイリムーバー94FXII」です。私が知っている中で一番最強の離型効果を持った離型剤です。
フッ素系の離型剤で、値段は2000円~ちょっととお高めです。
離型効果が非常に高く「レジンとシリコンが剥がれにくくなってきたな」って時に使うと、まるでシリコン型が復活したかのように、型の限界から追加で10ショットくらい複製ができるくらいの離型性能があります。
それくらい性能がいいなら、最初からハイリムーバー94FXII使えばいいじゃん?って話になりそうなんですが・・・それでも全然いいと思います。型持ちも超良くなりびっくりするくらいの数が抜けるでしょう。
なぜ私が、この離型剤を最後にしか使っていないかというと「成形したパーツの表面がヌルヌルツルツルになって気持ちが悪いから」です。
ハイリムーバー94FXIIを使って複製したパーツのヌルヌル感は・・・あまり好ましいものではないですね。成形品の表面もツルツルテカテカになります。
離型剤の油膜がシリコーン型表面の細かいキズを埋めてくれるため、クリアパーツの複製でこの離型剤を使えば透明度の高い成形品を作ることもできます。
このような特徴をふまえて、ハイリムーバー94FXIIは「最終兵器」として使うことが多いです。もしくは、千切れたら嫌な深いダボにだけ吹きかけるとか。
「型、あと数回だけもってくれ!」ってときに超活躍する離型剤なので、1本だけでも持っておけば心強いでしょう。
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