ガレージキット複製業者へ見積もり依頼するときに注意するべきポイントとは?

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは。柚P(@yzphouse)です。

アマチュアディーラーなら一度は憧れるガレージキットの業者複製。その道のプロが複製作業を代行してくれるため、仕上がるレジンキットのクオリティも非常に高いのが特徴です。

しかし業者複製とはいえ、どんな原型パーツでも綺麗に複製してくれるというわけではありません。

この記事では、ガレージキットの量産を複製業者に外注するとき、どのようなポイントを注意すればいいかまとめてみました。

見積もり依頼をするときに押さえておくポイントとは

複製業者に外注するとき、複製したいパーツを確認してもらう必要があります。

確認方法は

  • 写真提出
  • 現物を配送
  • 持ち込み

などがあります。よほど特殊な原型とかでないかぎり写真提出や現物の配送で十分だと思います。

パーツのサイズ感が分かる写真を用意しよう

見積もりへ提出する写真は、各パーツのサイズが分かるように撮影しましょう。

縮尺がずれないよう、できるだけ真上(垂直)からのアングルにすると相手にサイズ感が伝わりやすいです。

それと、目盛りの入ったカッターマットもわかりやすくておすすめですね。

また、胴体や足などの縦に長いパーツを真上から撮ると本来の形が把握しにくくなります。

ですので、長いパーツは横に倒すなりして、形状が把握しやすいよう工夫して撮りましょう。

深さに気をつけよう

美少女系フィギュアでよくある胴体やスカートのようなパーツは、どのくらいの深さがあるのかを確認できる写真を用意しておきましょう。

パーツの深さが増えるほど、2面型で複製することが難しくなってきます。こうなると3面型という特殊な型を作らないといけないので見積もりの値段も変わってきます。

角ダボを多様しすぎていないか

PVCの完成品フィギュアなんかでよく見る四角い形状のダボ(角ダボ)ですが、実はこれシリコン型との相性はあまり良くないんですよね。

とはいえ、すべての角ダボがだめというわけではありません。

ここでのダメな角ダボというのは

  • ダボが細い:シリコン型がちぎれやすい
  • ダボが深い:シリコーンゴムが流れにくいしちぎれやすくなる
  • ダボ内部の表面処理がされてない:シリコン型とレジンが食いついてちぎれやすい

自身で複製を経験したことがある方なら、細くて深い角ダボが千切れやすくなるのはなんとなく想像できるかと思います。

よく見落としがちなのが、ダボ内部の表面処理がされてない、という点。

ダボの凸はヤスリで磨かれていますが、ダボの凹は内部や底面の磨きが甘いことが多いです。

パーツの磨きが甘いと、シリコーンゴムとレジンが食いつきやすくなり、シリコン型の寿命短縮・破損へと繋がります。

角ダボを使うとガレージキットは格段に組み立てやすくなります。が、組み立てる人だけではなく複製する人にも優しい角ダボを作ってください。

DTファイル(テーパーダイヤヤスリ) 2mm #400 HDT0240

DTファイル(テーパーダイヤヤスリ) 2mm #400 HDT0240

1,681円(12/08 02:34時点)
Amazonの情報を掲載しています

ちなみに凹の角ダボ磨きにはアルゴファイルのテーパーヤスリがおすすめです。

400番の2mm幅これ1本で、ほとんどのダボ穴磨きに対応できます。

パーツは薄すぎないか

これは業者複製だけでなく、個人複製でも言えることですね。

レジン複製では、シリコーンゴムという柔らかい素材を使用した型を使ってパーツを量産するので、少なからずパーツ中に歪みが発生してしまいます。この歪みによって厚みの薄いパーツは整形不良が起こりやすくなります。

パーツを歪ませる要因は様々で、熱膨張、離型剤の塗膜、シリコン型のクランプ、レジンの収縮、などがありますね。

複製業者さんは「パーツの厚みは最低でも1mmは欲しい。」と話していました。

スカートやベルトパーツなど、厚みが薄くなりやすいパーツは気をつけましょう。

パーツの厚みを測るときは、ノギスやスライディングゲージ、ダイヤルキャリパーなどを使うといいでしょう。

原型の表面はちゃんと磨かれてるか

これはデジタル造形からガレージキットに参入してきた原型師さんにありがちな話です。

アマチュアディーラーでもデジタル造形が主流になりつつある最近になってから耳にする話ですが、出力した3D原型をそのまま複製業者に丸投げしてるなんて事があるそうです。

ちゃんと磨きましょう。せめてサーフェイサーを塗装するとかして細かいプリント痕を埋めましょう。

ぱっとみ綺麗に見える出力パーツですが、表面を拡大してみるとLCDの模様が網のようにしっかりと入っています。

このままシリコン型を作ってしまうと、表面の荒れた型ができてしまいます。液状のシリコーンゴムは再現性が非常に高いため、細かい模様の溝にまでしっかり入り込んでしまいます。

通常だと50~60ショットで寿命がくるシリコン型が、表面の荒れたシリコン型になるだけで10~20ショットで限界がきてしまうそうです。

型の寿命が半分以下にまで下がるということは、シリコン型の値段も上がり見積り金額も増え・・・

というわけですので、依頼する側としても依頼される側としても原型は磨いておいたほうがいい!ということが言えます。

余談ですが「原型パーツはどのくらいまで磨いたらいい?」という質問を複製業者さんに聞いてみたところ、「ヤスリの400番まで磨いてサーフェイサーで傷埋めしてくれてたら十分」だそうです。

複製が無理な形状になってないか

立体的な髪の毛のパーツや複雑な一体成型パーツ、このパーツって複製できるのかな?と不安になるパーツありますよね。

業者複製は、素人では複製が難しい形状のパーツも独自の技術で対応してくれるというメリットもあります。

自分の判断だけで「この形状で複製は無理っぽいし仕方いから分割しちゃうおう」というのはもったいないです。せっかくお金を払ってプロにお願いするんですから、まずは相談してみましょう。

相談してみて複製は難しそうと判断されたら、分割するなりして対応しましょう。

まとめ

業者複製とはいえ、相手も同じ人間が作業しています。「この方が依頼される原型は複製しやすい」と思われるくらい綺麗な原型を目指しましょう!

そしてお互いに気持ちのいい取引ができると最高ですね。

それでは。