定価67100円の超高級エアブラシ!アネスト岩田『Custom Micron TAKUMI』が最高の相棒になった話

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  • 柚P

 

こんにちは、柚Pです。

ワンダーフェスティバル2025冬のイベントにてアネスト岩田から発表された新モデル『カスタムマイクロン 匠』、模型イベントを中心に販売をしているみたいですが、人気商品なため現在は入手困難な状態です。

値段も高く、リアルイベントでしか入手できない、そんな敷居の高い高級エアブラシではありますが、「ちょっと気になっている」という方、実は多いのではないでしょうか?

というわけで今回はアネスト岩田の高級エアブラシ『カスタムマイクロン 匠』の使用感などについて詳しく紹介していきたいと思います!

開封の儀

エアブラシ Iwata ICM 350T カスタム ミクロン 匠 0.18mm

エアブラシ Iwata ICM 350T カスタム ミクロン 匠 0.18mm

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この『カスタムマイクロン匠』は、ワンダーフェスティバル2025冬のイベントブースで購入しました。正規品です。

価格は定価で67,100円とかなり強気な値段です。
※Amazonのマケプレでは法外な価格で転売されていますがそちらには手を出さないように。

アネスト岩田の公式通販でも商品ページはあるみたいですが、在庫が復活しているところは今のところ見たことありません。精度の高いものですから本当に少量ずつしか生産できないのでしょう。

とりあえず外箱を開けて中身を取り出してみます。

なんだか手触りの良い布に包まれている金属製の箱が出てきました。

高級な布を取り払いました。

カスタムマイクロンのシリーズはすべてこのケースに入っているのでしょうか?

高級感がすごいです。箱代だけでも数千円かかってそう。

側面のスライドロックを解除すれば、ジュラルミンケースから札束が出てくるみたいなノリで「カスタムマイクロン匠」が登場します。

新品はビカビカなのでテンション上がりますね!

組み立て

カスタムマイクロン匠は「サイドカップ式」なので、本体とカップは別パーツとなっています。

本体とカップの接続は差し込むだけで完了します。ネジ式ではないので掃除も楽そうです。

エアブラシ側にタミヤの「クイックジョイント」を接続、ホース側には付属のエアーフィルターを取り付けます。

これで使用準備は整いました。

機能紹介

使用前に「カスタムマイクロン匠」がどんなエアブラシなのか確認してみましょう。

右利き・左利き、両対応

エアブラシに取り付けるカップは、右と左どちらでも接続が可能ですので、左利きの方でも使いやすく作られています。

ニードル付近のメンテナンス口

ニードルパッキン部分にメンテナンス用の穴が空いています。

パッキンの劣化で塗料の逆流したときもいち早く気づけたり、ニードルの可動部への注油でも便利に使えそうな穴です。

目盛り付きニードルアジャスター

ニードルアジャスターに目盛りが刻まれているので、ニードルの引き代を数字で管理することができます。

また、ニードルの端面に「ニードルキャップ」を取り付けることもできます。ニードルキャップを外して作業しているとき、ここへ取り付けておけば無くなさくて済みそうです。

テールキャップ

ニードルチャックにアクセスができる穴が空いています。ボディから内部のメカがチラ見えしてるのってカッコいいですよね。

こういう形状のテールキャップは最近のエアブラシでよく見かけますが、どういう意図で穴が空いているのでしょうか。

私はエアブラシの運用中にニードルチャックを頻繁に操作することがないので、この機能の意図がよく分かっていません・・・。使い方を知っている方がいればこっそり教えて下さい。

特徴

「カスタムマイクロン匠」の特徴を紹介していきます。

本体の先端からトリガーまでの距離が近い

▲距離:約50mm

「カスタムマイクロン匠」が他のどんなエアブラシよりも優れている点は、エアブラシ本体の先端からトリガーまでの短さにあります。ちなみに私がこの機種を購入した一番の理由がこれです。

▲距離:約65mm

実は私が愛用しているエアテックスの「エボリューション」も、ノズルからトリガーまでの距離がかなり短いモデルではあります。この取り回しの良さが気に入って愛用していたまであります。

ここの距離が短ければ短いほど取り回しが良くなり、パーツに接近させて細吹きするときのコントロール性が上がります。

ちなみに一般的なエアブラシでは、ここの距離は約70~80mm程度はあると思います。意外と長いんですよね。ぜひご自身が愛用している機種の長さを測ってみてください。カスタムマイクロン匠の「50mm」という数字がどれだけ短いのか驚愕します。

さらにカスタムマイクロン匠のヤバいところは「エアブラシを握ったまま薬指がパーツに届く」という事実。

基本的に模型のパーツを塗装する際は、片手でエアブラシ、もう片手で塗装するパーツを空中で保持していると思います。ですので細かい塗装を施すときにの両腕のコントロールは非常にシビアになり難しくなります。細吹きが苦手という方の大半はこれが原因だと思います。

しかしカスタムマイクロン匠の場合は、エアブラシを持った状態でもパーツに薬指が届くため「パーツとエアブラシ間の固定」が容易にでき、通常のエアブラシではたどり着けないコントロール性の良さを発揮できてしまいます。

実はこの「エアブラシを持った手を指で支える」という行為、どっかでやってるな~と思い出してみると、筆のコントロールが重要になる”フィギュアの面相作業”でよく使っていた技法なんですよね。

つまりこのエアブラシ、面相筆と同じような感覚で扱えてしまうということです。ヤバいです。

サイドカップ式のメリット

サイドカップ式といえば「パーツの視認性の良さ」がありますね。

本来ならボディの直線上に塗料カップがありますが、こちらのモデルはサイドカップ式なのでエアブラシをパーツに接近させて作業しても、吹付箇所の目視が容易にできます。

また、サイドカップ式のおかげで、ノズルからトリガーまでの距離が短くできたのでしょう。

模型用とでこういう使い方をするかわかりませんが、サイドカップを稼働させることで「上向き塗装」や「下向き塗装」に対応できるようになります。

車の板金塗装などでは便利に使える機能ですが、模型用途だと塗装の対象物を直接動かすことができるのであまり使わない機能でしょう。私は未だにサイドカップを動かして使ったことはないです。

実際の使用感について

とりあえず、お仕事で依頼された作品で3作品ほど塗ってみました。

まず「塗料の出がスムーズ」ということに感動しましたね。

実はわたしく、模型イベントでアネスト岩田のブースにおられるスタッフの方に「カスタムマイクロン匠、エグい値段高いけど、ぶっちゃけ他のエアブラシと何が違うの?この価格差はどこに反映されてる?」って直接聞いたんですよ。デリカシー無い質問してスミマセンでした。

スタッフの曰く「空気圧の弱い”低圧下”でも安定して塗料が出せる空気の流れに超拘って作ってます」とのことでした。

なるほど、それで低圧(0.03Mpa程度)で細吹きしたときでも安定して細かいミストが出せたのかと妙に納得しましたね。

ただし、この気持ちよさは通常価格帯(1万円程度)のエアブラシをずっと使っていたからこそ気付けるレベルです。決して普通のエアブラシが悪いという訳ではなく、カスタムマイクロンが気持ちよさに特化しすぎているというイメージ。

あとは、コントロール性が良くなったことで、「1/12スケール程度のフィギュアパーツのグラデーション塗装」も苦だと感じなくなったのも良かった点です。

FA:Gや創彩少女庭園なんかのフェイスパーツにグラデーション塗装でシャドーを乗せるのはかなり難しいのですが、カスタムマイクロン匠だと狙ったところに”スパッ”と塗料をかけられます。

薬指でエアブラシを支えた状態で狙えるので、ブレることも無く「道具に助けられている」感がすごいです。やはり短さは正義です。

それから私も初めて使った「サイドカップ式のエアブラシ」でしたが意外と違和感なく使えましたね。

塗料を入れると重心がどちらか一方に傾いてバランスが悪くなるのではと不安ではありましたが、実際に使ってみると全然気になりませんでしたね。そもそも細吹きしかしないエアブラシに塗料たっぷり入れることもありませんし。

そのほかは、可もなく不可もなくという感じです。各パーツの加工精度も高くて最高なのですが、こんな価格帯のエアブラシですので当然っちゃ当然ですね。

カスタムマイクロン匠の気になった点

ここからは個人的な悪口になります。自腹レビューなんでね、遠慮なく書かせていただきます。

先に謝っておきます。ごめんなさいiwataさん。

価格

自分はこの価格でも納得して購入してはいるのですが・・・。

でもやっぱり高いよiwataさん!!!!笑

1本で7万円弱するハンドピースを買うのにはかなりの勇気が必要でしたね。なんたってマキタの電動工具がバッテリー充電器セットで買えるような値段ですから

そもそもの販売数が少なかったり、値段相応のノウハウが詰め込まれてたり、相当な加工精度が必要で人の手で微調整がされているというのも十分理解しているつもりですが、簡易的な包装にしてもいいからもちっと安かったら嬉しい・・・。ほんのちょっとでいいので・・・。

ニードルキャップの塗料溜まり

カスタムマイクロン匠は0.18mmノズルなので「細吹き用エアブラシ」となるわけですが、ニードルキャップもその方向でセッティングされています。

なのでニードルを全開まで引いてドバッと塗料を出すと、ニードルキャップの先端に塗料が一瞬で溜まります。

エアブラシの特性から考えたらこれでも正常なんでしょうけど、ズボラ塗装モデラーの柚Pはそんな事忘れて全開塗装してしまい、ブシャっと塗料を撒き散らしてしまいガチです。

この対策としてニードルキャップを外して運用する方法もあります。

しかしニードルキャップを外すのはやっぱり怖い(エアブラシの価格が価格なので)ので、今は塗装毎に掃除をするように心がけて運用しています。

ちなみにツールクリーナーを入れて全開吹きしたら、溶剤もニードルキャップにブチ当たるので溜まった塗料の掃除も楽にできますよ。

塗料が一切詰まらない画期的なニードルキャップが開発されることを願っています。

ボディに開けられた穴

ニードルパッキンの根本であったり、デールキャップであったり、ボディ側にいくつか穴が設けられていますが、正直自分はそこまで必要無いかなと思っていたりします。

メンテナンス性は良くなるのかもしれませんが、自分は雑な作業をしがちなので、万が一ボディ内部に塗料がドバっと入ってしまったらそれこそ大惨事になります。

必要最低限の凹凸で掃除のしやすいフラットなボディのほうが個人的には好みでしたね。

なんだかんだで後悔の無い最高の一本になりました

ここまで色々書きましたが、現在はとても気に入っている1本になりました。

高級だからといって大切に保管してたら、ほとんど使わないまま腐らせてしまいそうですので、今後もお仕事と趣味のどちらでもゴリゴリ運用していきますよ。

この記事で「カスタムマイクロン匠」に興味が出たという方は、アネスト岩田が出店する今後のリアルイベントに注目してみてください。Twitterの公式アカウントで告知されると思います。

もし購入される際は「YZPハウスの記事を見て興味がでました」と言っても特に何も割引とかはされませんが、私が喜びます。ぜひよろしくお願いします。

それでは。