模型用のコンプレッサーを導入したいけど、種類もたくさんあるし、どこを見て選んでいいのか分からない!という人たくさんいると思います。
というわけで、この記事では自分に合ったコンプレッサーを選べるようになるための「性能表の見方」について解説していきます。
目次
そもそもコンプレッサーとはどういう機械?
コンプレッサーとは、エアブラシを使うために圧縮した空気を作り出す装置の一つです。電動の「空気入れ」ですね。
自転車や車のタイヤに空気を入れる機械も、実は模型と同じ「コンプレッサー」だったりします。サイズやパワーが違うだけで原理は同じもの。
模型用のコンプレッサーは、余計なパワーを落として室内でも使いやすいコンパクトなサイズにしてあります。
「室内で使える小さいボディーで空気をどれだけの力で出せるのか?」というのが模型用コンプレッサーの性能を見るための重要ポイントとなります。
コンプレッサーのスペックの見方
コンプレッサーの数値的な性能は、「使用圧力」「吐出空気量」「作動音」を見ることで確認できます。
例として、最も模型ユーザーに人気な「クレオス リニアコンプレッサーL5」のスペックで解説していきましょう。
定格圧力:0.1MPa
最大吐出空気量:5.27L/min.0.05MPa
作動音量:50db (無負荷時)
最大圧力
「0.12MPa」と書かれています。
これは、「コンプレッサーから空気を出していない状態なら空気圧を0.12MPaまで上げられる」という意味です。
サブタンクがついたコンプレッサーだと、どのくらいの圧力まで空気を貯められるかという数値でもあります。
定格圧力
「0.1MPa」と書かれています。
これは「エアブラシを繋いだ状態で連続で空気を出しているとき、空気の圧力を0.1MPa程度を保てる」という意味です。
エアブラシを使う上では、こちらの定格圧力を基準に選んでみるといいでしょう。
プラモデル用途だと、最低でも0.05MPaくらいの圧力があれば十分に使えるモデルだと思います。
ちなみに、大きな定格圧力になるぶんには「レギュレーター」という装置で減圧できるので問題ありません。大げさな話、ホームセンターで売られている大型のコンプレッサーでも、レギュレーターで減圧すれば模型用として使うこともできます。
吐出空気量
「5.27㍑/min.0.05MPa」と書かれています。
これは「0.05MPaの圧力となる負荷時、毎分5.27リットルの空気を出せる」という意味です。
吐出空気量はどのくらいの空気を吐き出せるのかという数値で、プラモデル用途だったら最低でも5.0L/min以上はほしいですね。
また、空気の使用量が多くなりがちな0.5mmノズルのエアブラシなどを使いたい方は、吐出空気量が多いコンプレッサーを選ぶようにしましょう。
サブタンク付きのコンプレッサーでは、吐出空気量の数値が大きいほど、タンクに空気を貯めるスピードが早くなります。
作動音量
「50db」と書かれています。
これはそのままですね。「作動させた時にどのくらいの騒音がでるのか」を指します。
同じ50dbでも「高い音の50db」と「低い音の50db」では音の種類が違うので、響き方や不快感が全然変わってきます。
しかし部屋の中で音が反射しやすく、耳障りに感じる音が多いです。
しかし、音の並が少ないた高い音に比べて不快感を感じにくいです。
ぶっちゃけ、実際に動作音を聞いてみるのが一番手っ取り早いです。
Youtubeでもコンプレッサーの動作音を紹介してくれている親切な方がたくさんいらっしゃいますので、そちらの動画をチェックしてみるといいでしょう。
コンプレッサーの「駆動方式」の違いについて
コンプレッサーの駆動方式には、「リニア駆動方式」「ダイヤフラム駆動方式」「ピストン駆動方式」があります。
種類によって、特徴が変わってくるのでコンプレッサーを選ぶ時の参考にしてみてください。
リニア駆動方式
代表的なものとして、クレオスのL5やL7、エアテックスのminimoなどの機種では「リニア駆動方式」が使われています。
タミヤのコンプレッサーもリニア駆動方式のものが多いですね。
空気を圧縮する脈動 (吐き出す空気の振動) が少ない
かなり細かい動作音(ヴーーーー)
動作音は小さいものが多い
連続使用に適している
リニア駆動方式は、磁力でピストンを動かすことから「強い力は出せない」「特殊な駆動方式なので価格が高い」という欠点があります。
しかし、高い出力が出せないと言っても模型用で使用する(0.1MPa程度)くらいは十分出せるパワーはあるので、あまり深く気にしなくてもいいでしょう。
ダイヤフラム駆動方式
エアテックスのecomoや、クレオスのプチコンCUTEなどは、この「ダイヤフラム駆動方式」となります。
コンパクトな機構なので小型コンプレッサーに採用される
リニア駆動方式に比べて、低価格で作れる
動作音も小さいものが多い(携帯電話のバイブレータの様な音)
安いという特徴以外は、リニア駆動方式とほとんど変わらないように見えますが、空気を作るための動作が違います。
ダイヤフラム駆動方式は、逆流防止弁の付いたダイヤフラムがペコペコ上下することで空気を送り出す仕組みです。ダイヤフラム自体はゴム性のパッキンなので、リニア式と比べると寿命は短いです。
ピストン駆動方式
「ウェーブ コンプレッサー 317」や「エアテックスのAPC018」なんかが「ピストン駆動方式」になります。ビジュアルが丸くてゴツいコンプレッサーはだいたいこのタイプです。
安価なものが多い
作動音が大きい
長時間の連続使用に向いていない(定格使用時間30分程度)
空気を吐き出す脈動が大きい
エンジンと似たような構造のコンプレッサーで、ピストンの上下運動によって空気の圧力を作りだす方式です。
大型のモーターでピストンを動かすため、大量の空気を高い圧力で安定して送ることができます。その代わり動作音が大きいく、空気を吐き出すときの脈動も大きめです。
空気の脈動という問題については「サブタンク」を追加することで簡単に解消することができます。
サブタンク付きピストン駆動方式
ツールズアイランド(Toolsisland) エアブラシ コンプレッサー オイルレスエアコンプレッサー 静音 簡易日本...
一部のピストン方式のコンプレッサーには、サブタンクが標準搭載されたモデルもあります。
サブタンクとは、コンプレッサーが作った空気を一時的に溜め込むことのできる容器ので、これが接続されることによってこのような次のような効果を得られます。
コンプレッサーの連続作動回数を少なくできる
空気の脈動を無くせる
空気中に含まれる水分が取れる
タンクを付けることによって、「エアーの脈動」「長時間の連続使用」「圧力スイッチの酷使による故障」というピストン駆動方式の持病が解決されます。
タンクの付いてないピストン駆動方式のコンプレッサーでも、本体に「圧力スイッチ」が付いている機種なら、別売りのサブタンクを後付けすることもできます
「圧力スイッチ」はこの黒い部品で、ピストン駆動方式のコンプレッサーの空気が出る頭についています。
後付けタイプでオススメなのは、アネスト岩田製のサブタンクですね。
タンクの容量は2.0リットルで「圧力計」「安全弁」「空気」「水抜き弁」と、必要なものが全て付いているコスパがいい商品です。
「圧力スイッチ」の読み方について
一部のコンプレッサーには「圧力スイッチ」というものが付いているモデルがあります。
これはコンプレッサー内が一定の圧力まで上がったら、スイッチをオフにしてくれる装置です。
エアブラシから空気を出してないときや、サブタンク内に空気がいっぱいになったときに動作してコンプレッサーの動作を止める大切な役割があります。
この圧力スイッチにも読み方もあります。
写真の圧力スイッチには「ON 40PSI OFF 60PSI」と記載されています。
”PSI”という単位を、わかりやすいように”MPa”表記に変換してみましょう。
「1PSI=0.00689476MPa」なので計算すると、
60[PSI]=0.413[MPa] 40[PSI]=0.275[MPa]
となります。
0.413MPa(60PSI)まで圧が上がったらOFFになり、0.275MPa(40PSI)まで圧が下がったらスイッチがONになることがわかります。
自分にあったコンプレッサーを探してみよう!
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コンプレッサーの性能表が一通り理解できるようになったら、次は実践編といきましょう!
別記事にて、私が個人的にオススメのコンプレッサーをいくつか紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。