バイクのプラモデルを製作!マフラーの『リアル系焼き入れ塗装』の塗装方法の解説

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは。柚P(@yzphouse)です。

みなさんはバイク模型での「マフラーの塗装」に拘ったことはありますか?

グラデーション塗装が難しそうだとか、バイクを知らないので焼けた色がわからない、とか色々ハードルの高いマフラー塗装ですが、今回の記事ではそんな方に向けて、タミヤのレプソルホンダRC213Vのキットを使用して「チタンマフラーの塗装」を詳しく解説してみようかとおもいます。

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マフラー塗装の基礎知識

マフラーを塗装するにあたって、まずは「マフラーがどんな金属で作られているのか」を知っておきましょう。

※実際の名称ではエキゾーストパイプとかサイレンサーとか言われてる部分ですが、この記事ではあのへん一体の排気装置のことをマフラーという名前で呼びます。

まず、使われている金属からです。

▲一般的な市販車でよく使われているマフラーは「ステンレス」の素材が多いですね。

ステンレス系のマフラーは、色味の無い「メッキシルバー」がほとんどです。ステンレスマフラーを装着しているバイクのキットは、はじめからメッキでパーツが整形されてるものも多いですよね。

▲旧車のバイクなんかは「スチール系のマフラー」が使われてたりもします。

スチール製マフラーは、素材が錆びやすい金属でもあるので、表面の錆止め保護として「耐熱ブラック」が塗装されてるのも特徴の1つですね模型でも、「つや消しブラック」でマフラーを塗装してやれば、それっぽく仕上げることが出来ます。

▲高級志向なスポーツバイクや、レースを走っているワークスマシンでは「チタン系のマフラー」が使われてたりもします。

チタン系のマフラーは、熱が入ると表面が虹色に変色するのが特徴ですね。錆や熱にも強く、軽量な金属なのでマフラーの素材にはぴったりです。ただしチタン素材なので値段が高いのがネック。ブルーやオレンジ色のグラデーションのかかった綺麗なマフラーは大抵の場合はチタン系とみて間違いないでしょう。

チタン系マフラーの色が変化する理由

ここで、チタンマフラーの色についても少しだけ説明しておきましょう。

チタンマフラーに色が付く原理としては、チタンの素材に熱が入ることで表面に「酸化皮膜」が作られ、その酸化皮膜の影響で光の反射光を変化させて虹色になっています。実際に顔料や染料で着色されているとかではなく、金属自体の色が変化しているというイメージです。

で、熱が入ることによって生成されていく酸化皮膜なんですけど、面白いことに酸化皮膜の厚みで色が変化していくという特徴がありまして。

酸化皮膜が厚くなっていくにつれて、ゴールド→ブラウン→ブルー→イエロー→パープル・・・みたいな感じで色が変化していきます。つまり「熱がよく入っている=ブルー」、「熱があんまり入ってない=ブラウン」という感じに色が変わっていきます。

色の変化する順番も決まっているので、この順番を知っていれば「マフラーのどの部分が何色になるのか」というのがイメージしやすいかと思います。

この酸化皮膜の色の移行を意識しながらチタンマフラーの塗装してリアルな焼け塗装をしてみましょう。

焼けの種類、焼ける場所

焼けの種類にもいくつか種類があります。

まず「溶接熱による焼け」ですね。手作りのチタンマフラーなんかは軽量化のため、板状のチタンを筒状に巻いてマフラーを作ってたりしてます。

筒状に曲げて作ったパーツを溶接で接続してマフラーを作るのですが、その接合面にはたくさんの溶接痕が残りますよね。もちろん、溶接された箇所には、熱が入るのでそこには酸化皮膜が出来ます。これが1つめの「溶接による焼け」です。

2つめに、実際にバイクを走らせて入る「排気熱による焼け」です。エンジン(排気熱が送られる側)と排気口(排気熱を吐き出す側)とでは熱の入り方は変わってきます。

それ以外にも、パイプがカーブしている部分も排気熱がぶつかりやすく熱が入りやすいので、こういう部分も色が変わってきます。

パーツを実際に塗装してみる

それでは先程の色の変化を意識しながら、実際にパーツを塗装をしてみましょう。

塗装する前に、複数の部品で構成されているパーツ同士の合わせ目を消しておきましょう。

合わせ目消しについては「合わせ目を消してガンプラのパーツ同士を完全に一体化させるコツを徹底解説!!」の記事を参考にしてみてください。

合わせ目消しができました。

続いて、シルバー系塗料を塗装するための下地を作ります。

シルバーの塗装する時は「光沢ブラック」で下地を作ってやります。シルバー系塗料は下地の表面に影響されやすいので、できるだけ光沢で仕上げておくと綺麗に仕上がります。

光沢ブラックで仕上げた下地の上からガイアノーツの「プレミアムミラークローム」を塗装します。

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ガイアの「プレミアムミラークローム」は、水性塗料で上からコートしても光沢感が無くなりにくく耐溶剤性が強いのが特徴の塗料です。この塗装の上から「焼けの塗装」をするのでオーバーコートしても大丈夫な塗料を選びましょう。

さらに詳しいメッキ系塗料の性能比較記事は「プラモデル用の「メッキ塗料」の違いを徹底比較!エナメル・クリアーコートへの相性は?」を参考にしてみてください。

溶接痕を残すためにマスキングする

まず、溶接痕の焼け表現をするために細切りしたテープでマスキングをしていきます。

一枚の板をC型に丸めたパイプを接続して作られているのをイメージして適当にマスキングしていきます。もっとリアルに溶接痕を再現したい場合は、実写の写真を参考にするというのもいいですね。

余談ですが、薄物のチタンの溶接では「tig溶接」という溶接方法がよく使われています。

tig溶接の見た目の特徴としては、直接溶接された箇所はそこまで酸化せず、溶接をした周辺のみ青く焼けるという特徴があります。なのでそれをイメージしながら、マスキングした部分(溶接箇所)の色はそこまで変えずに、その周辺に色を入れていきます。

tig溶接とは?
チタンは熱を加えるとすぐに酸化してしまう特徴があり、普通に溶接をしてしまうと溶接箇所が急激に酸化しクラックが入ってしまうという問題があります。その対策として、溶接棒の先端からアルゴンガスを吹付けて表面が酸化しないようにした溶接する必要があります。その溶接方法をtig溶接というらしいです。あとtig溶接は薄物の溶接にも適しているだとか。さらに詳しいことは各自で調べて。

溶接箇所にマスキングが出来たら、薄く希釈したクリアーブルーをエアブラシで塗装します。

吹き付ける箇所は熱の入りやすい「エンジン付近のエキゾーストパイプ」、「パイプがカーブしている部分」、「溶接箇所」、の3箇所です。

続いて、クリアーブルーの隣にクリアーパープルを塗り重ねます。

青系や紫系の焼け色は熱のよく入った部分にできるので、溶接箇所やエンジン側に多くなるように意識して塗装します。

続いて、パイプのストレート部分は熱があまり入ってなさそうなので、クリアーブラウンを塗装します。

近くで見たらこんな感じ。水性塗料の希釈をミスして、塗膜がパーツ表面で弾かれてしまってますが、逆にリアルになったのでこのままで進めます。

溶接箇所のマスキングを剥がして基本塗装は終わりです。2本目のマフラーも同じように塗装していきましょう。

2本目の塗装

このキットには2本マフラーが付いてるので、もう片方も同じように仕上げます。

まずはマスキングからですね、シートカウルの下に入る部分です。排気管の長さを確保するためにとぐろ状に巻かれた特徴的なマフラーですね、めちゃんこカッコいい部分なので気合を入れて作ります。

出口付近なのでそこまで熱は入らないかな?という想像をしながら、ブルー系とオレンジ系だけの着色で簡単に仕上げました。

汚し塗装をする

焼けのグラデーション塗装をしたまままだと、ちょっと綺麗すぎるので適度に汚しを入れてやります。

ここで使うのはタミヤの「ウェザリングマスターDセット」です。

マフラーのウェザリング専用のカラーセットのやつですね。青焼けや赤焼け、すす汚れなんかを追加することが出来ます。

青焼けと赤焼けは基本塗装の段階で終わってるので、黒色のパステルを使って「スス汚れ」のみ追加していきます。

マフラーの表面で焼けた空気中のゴミが付着した、細かいススのような汚れを再現していきます。

パステルのウェザリングでは、一緒にパーツの艶も消してくれるのでスス汚れの表現にはぴったりですね。艶も落ち着いて全体的な色味も統一されそれっぽく仕上がりました。

マフラーの完成

マフラーの焼け塗装でも「どういう理屈でその色になっているのか」を理解してるのとしてないのでは、仕上がりの説得力が変わってきます。

この記事を参考に、使われている素材を調べたり、実車をよく観察しながらリアルなマフラー塗装にチャレンジしてみてはどうでしょうか?

それでは。