プラモデルで使われている塗料には「水性塗料」「エナメル塗料」「ラッカー塗料」など種類があります。
この種類によって、含まれている成分というのは大きく変わってきます。
塗料の相性によっては、塗り重ねが出来たり出来なかったりしてきます。この相性を知らないまま、種類の違う塗料で重ね塗りをしまうと、下地に塗った塗料が溶けたりして綺麗な塗装が出来なかったりします。
そういう事が起こらないように、特性ごとに塗料の使い分けが必要になってくるわけですね。
はじめに塗料の種類について知ろう
水性アクリル塗料
水溶性の溶剤(アルコールなど)が塗料を水で洗ったり、水で薄めたりして使用できる塗料です。代表的なところでは、クレオスの水性ホビーカラー、タミヤのアクリル塗料などありますね。
水性塗料の特徴としては、洗浄や希釈で水が使用できるので気軽に使えるぶん、耐溶剤性が殆ど無いので、他のエナメル塗料、ラッカー塗料、を上から塗ることは出来ません。
逆に、下地が、エナメル塗料、ラッカー塗料の場合は、水性塗料を上から塗っても下地を侵すことがないので問題なく使用することが出来ます。
メーカー別の水性塗料の種類についてはコチラの記事を参考にしてみてください。
プラモデルの塗料の違いをメーカー別に比較!水性アクリル塗料編
エナメル塗料
エナメル塗料は「石油系の有機溶剤」をベースとした塗料の種類です。塗料自体の伸びが良いのが特徴で、プラモデルでは、よくスミ入れや筆を使用した部分塗装なんかで使われることが多いですね。
エナメル塗料は、油性塗料なので、水洗いは出来ませんが、ラッカー塗料より弱い有機溶剤が使われているので、ラッカー塗料の上からエナメル塗料を塗ることも可能です。
メーカー別のエナメル塗料の種類についてはコチラの記事を参考にしてみてください。
ラッカー塗料
塗料の中では一番強力な有機溶剤が使用されているラッカー系の塗料です。日本のプラモデル業界では一番メインで使用されている塗料の種類ですね。
有機溶剤に強いシンナーが使用されてるのいで、塗料自体がかなり臭いです。その代わり「発色が良い」「乾燥時間が短い」「塗膜が強い」という特徴があります。
強い塗料なので、この上から「水性塗料」「エナメル塗料」どちらも塗装することが可能です。しかし「水性塗料」「エナメル塗料」の上からラッカー塗料を塗装すると下の塗料を溶かしてしまうので注意が必要です。
メーカー別のラッカー塗料の種類についてはコチラの記事を参考にしてみてください。
塗料の相性について
違う種類の塗料を重ね塗りする時は「水性塗料」「エナメル塗料」「ラッカー塗料」の種類によって相性があるのでうまく使い分けてやる必要があります。
ここで言う相性というのは、塗料に含まれている「シンナー」の強さによるものです。
この三種類のシンナーの強さ簡単に比較すると、
水性塗料 < エナメル塗料 < ラッカー塗料
という関係になります。
弱い水性塗料の上から強いラッカー塗料を塗ると、「下に塗った水性塗料が溶け出す」というイメージです。しかし、「筆塗り」「エアブラシ塗装」の違いでも重ね塗り良し悪しが変わってくるので解説しておきます。
筆塗り塗装での相性
筆塗りでは、穂先で塗装面を撫でて塗装するというやり方です。
なので、水性塗料やエナメル塗料の上からラッカー塗料のような強い塗料を塗ると、下の塗料を簡単に溶かしてしまいます。
つまり筆塗りでは、弱い塗料の上から強い塗料を塗ることは出来ません。「塗料の強い」「塗料の弱い」の特性が大きく出てしまいます。
エアブラシ塗装での相性
エアブラシを使用すると塗料をミスト状にして吹き付けられるので、下地の塗料が弱くても、ある程度は溶剤分の強い塗料を吹き付けることが可能です。
ガンプラのスミ入れ後のトップコートも、この例にあたりますね。エナメル塗料でスミ入れした後に、上からラッカー塗料で塗装をしても問題ありません。
しかし、可能とは書きましたが、極端にラッカー塗料を厚塗りしたりすると、エナメル塗料が溶け出して滲み出てしまう恐れもあるので注意が必要です。
模型誌やプラモデルの情報サイトでは、「水性塗料やエナメル塗料の上にラッカー塗料は塗装出来ません」と書いているとことが多いですが、厚塗りをしすぎない事さえ注意しておけば、塗料の種類関係なく塗り重ねが可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
複雑な塗装をするようになると、種類の違う塗料を使い分けが必要になってきます。
水性塗料、エナメル塗料、ラッカー塗料、の3種類の相性はプラモデルの塗料を扱う上での基本知識となるので、しっかり覚えておきましょう。