プラモデル塗料で使う「水性アクリル塗料」の違いをメーカー別に徹底比較!

モデラー

  • 柚P

 

こんにちは。柚P(@yzphouse)です。

「家族がいてニオイの強いラッカー塗料は使えない」「シンナーを扱うのは少し不安だ。」というユーザーにオススメなのが、水で塗料の希釈、道具の洗浄ができる水性塗料です。

水を入れたコップを用意しておけば、場所を選ばず手軽に扱える塗料でもありますね。

今回はそんな水性塗料をメーカー別に比較していこうと思います!

GSIクレオス 「水性ホビーカラー」

GSIクレオスから販売されている水性ホビーカラー。

日本の模型店なら必ずと言っていいほど取り扱っているところの多い、ポピュラーな水性塗料の一つです。

水性ホビーカラーの特徴は、「塗料自体の臭いが少い」「乾燥前なら水に溶けるの」などがあります。

塗料を使用した後の筆やエアブラシなどの道具は、塗料が乾く前なら水で洗浄することが出来ます。

ただし、水性塗料とはいえ塗料が完全に乾いたあとは「耐水性」になり水では溶けない塗膜になります。完全に塗料が固まってしまった場合は、水性アクリル専用の薄め液や、アルカリ性のバスマジックリン等で溶かしてやりましょう。

塗料の乾燥時間はかなり遅めです。さらに、塗膜強度もそんなに強くはないため、爪などで少し引っ掻いただけでも簡単に傷が跡が残ったりします。

水性ホビーカラーは、他の塗料と比べると隠蔽力も弱い部類に入ります。

水性塗料は匂いが少なく比較的安全な塗料ではありますが、ラッカー系塗料にくらべて「塗膜の強さ」「乾燥時間の速さ」「隠蔽力の高さ」を犠牲にしています。

GSIクレオス 水性ホビーカラーうすめ液 400ml T111

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水性ホビーカラーの希釈には『専用のうすめ液』が用意されています。

水でも希釈できますが、希釈しすぎるとプラスチックに塗料が弾かれて塗装できなくなる恐れもあるので、できれば専用のうすめ液を使ったほうがいいです。

GSIクレオス 「新水性カラー アクリジョン」

こちらもGSIクレオスが発売している水性塗料の一つです。

名前は水性カラーアクリジョン。

この塗料はエマルジョン系水性塗料といって、さきほど紹介した水性塗料の欠点である「乾燥時間の遅さ」「塗膜の弱さ」を解消した新しい水性塗料になります。

臭いも非常に少なく、ほのかにアクリル絵の具のような匂いがするくらい。

塗料の乾燥時間はかなり早です。ただし、その速さ故にエアブラシで塗装するさいはノズルで塗料づまりがよく発生するので注意も必要。

隠蔽力については、イエローやレッドといった一部のカラーのみ「隠蔽力が弱い」と感じましたがそこまで問題はなさそうです。

下地の色が暗い所にそういう色を塗る場合は、先にホワイトを塗って、その上からイエローなどの塗料を塗って対応しましょう。

現在では、そのような欠点を補った「アクリジョンベースカラー」という隠蔽力を高めた塗料も発売されています。

ほかにも水性塗料には珍しい特徴として、完全に乾燥したアクリジョンの塗膜の上から、Mr.カラー(ラッカー系塗料)を塗装することが出来たりもします。

アクリジョンは一度乾くと、有機溶剤に強くなり塗装面が溶けにくくなるので重ね塗りも安心して行えますね。

注意
水性ホビーカラーの上からアクリジョンは重ね塗りするとヒビ割れてしまうのでそこだけは注意してください。

希釈には「専用のうすめ液」を使います。

アクリジョンは他の水性塗料とは少し特性が違うので、水で希釈することは出来ません。

エアブラシで使用する場合は「エアブラシ専用のうすめ液」を使いましょう。

使い終わった道具の洗浄は、塗料が乾く前なら水で洗うことが出来ます。

塗料が完全に乾いてしまったら水やうすめ液では洗浄することが出来なくなるので、そうなった場合は「アクリジョン専用のツールクリーナー」を使いましょう。

アクリジョンは一度乾いてしまうとラッカー系のツールクリーナーでも洗浄できなくなるため、こまめな洗浄を心がけましょう。

タミヤ 「タミヤカラー」

タミヤ模型が販売している水性アクリル塗料で「タミヤカラー」と呼ばれています。

この塗料もほとんどの模型店で取り扱っていますね、

乾燥後の塗膜はパリッとしており、塗料の伸びもよく非常に使いやすいです。

水溶性塗料なので、乾く前なら水を使って筆やエアブラシの洗浄が行えます。隠蔽力は他の水溶性塗料と同じく少し弱めです。

タミヤ カラー アクリル アクリル溶剤特大 (X-20A 250ml) 81040

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塗料の希釈や洗浄に使えるタミヤカラー専用のうすめ液もあります。

ちなみに、タミヤのプラモデルの説明書ではタミヤカラーの番号で色指定がされています。

カラー番号の見方は、つや有り塗料は「X」艶消し塗料は「XF」というかんじに、”X”のあとに、”F”(フラット)が増えた表記となります。

この表記は「タミヤエナメル」「タミヤラッカー」「タミヤスプレー」と全てに共通する色番号なので覚えとくと色々と便利ですね。

ボークス 造形村 「ファレホ」

ボークスが日本で代理販売している「ファレホ」というアクリル塗料。元々はスペインの塗料ですね。

そのため、塗料のパッケージもスペイン語で書いてあります。
▼【追記 2018/10/05】現在は日本語にも対応したラベルに変更されています。

普通の模型店での扱いは無く、全国のボークスショールームのみで手に入れることができます。

【 追記 2018/10/05 】ファレホが「Amazon」「楽天」「ヤフーショッピング」での取扱いを開始したみたいです。

Amazonでは「ボークス通販隊」楽天市場では「ボークスネットショップ」ヤフーショッピングでは「ホビースクエア」

もちろん今まで通り「ボークスホビー天国ウェブ」でも購入できます。

ファレホ モデルカラー 70950 #169 ブラック

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ファレホはカラーバリエーションがとても豊富で、ボークス店舗が近くにあるモデラーなら「水性塗料をすべてファレホにしたほうがいい」と思えるくらい高性能な水性塗料です。

特徴は、他の水溶性塗料には無かった「乾燥時間の速さ」「塗料の伸びの良さ」「隠蔽力の強さ」があります。

ファレホのモデルカラーは筆塗り専用の塗料になっており、筆塗り塗装がメインのモデラーにオススメです。

塗料の希釈には、ファレホ専用の「エアブラシシンナー」や、薬局などで取り扱っている「精製水」が使えます。

ボトルの先端は特殊な形になっており、筆塗りをする時の「ちょっとだけ塗料を出したい」という場面で便利に使えます。

さらにボトルの素材がガラスではなくプラスチック製なので、使い終わった塗料の破棄も簡単。

「ファレホ」にはいくつか種類があるのでそちらも紹介しておきます。

モデルカラー
ファレホの基本になるシリーズ。筆塗り用に塗料の濃度が調整されている。
ホワイト、イエローなどの基本的な色がラインナップされている。
モデルエアー
エアブラシで使えるように希釈して調整されているモデルカラー。
塗料の濃度以外はモデルカラーとほぼ同じです。
ゲームカラー
キャラクターフィギュアの塗装をするために調色されたシリーズ。モデルカラーより粘度が低く細かい塗装に向いている。
ゴブリングリーン、ウルフグレイ、などキャラクターに合った色が展開されている。
ゲームエアー
エアブラシで使えるように希釈して調整されているゲームカラー。
塗料の濃度以外はゲームカラーとほぼ同じです。
パンツァーエース
ミリタリー系の色が揃っているシリーズ。”明るい鉄さび色”や”キャタピラ下地色”などがある。
塗料の特性としてはモデルカラーと同じ。
メカカラー
日本初のファレホのシリーズ。アニメキャラやロボットに合う”鮮やかな色”を多数ラインナップしています。
普通の色以外にも、メタリック系の塗料があるのも特徴。
筆塗り、エアブラシの両方で使える濃さです。モデルカラーとモデルエアーの中間くらい。

筆塗り用のモデルカラーやゲームカラーでも、「エアブラシシンナー」や「精製水」で希釈してやれば、エアブラシで吹き付けることが可能です。

ファレホには有害な物質が含まれているという噂、マジ?

みなさんは塗料に使われている顔料に毒性があって問題になったなんて話を聞いたことはありませんか?

緑色の顔料として使われていた「ラジウム」、白色の顔料で使われていた「鉛」などなど、塗料を着色するのに使われている顔料が問題となって引き起こされた健康被害の歴史は調べるとたくさん出てきます。

実はファレホでもそういう噂話があったみたいです。

昔に販売されていたファレホの中には「カドミウム」という物質が成分中に含まれているものがありました。

え!大問題じゃん!って思われる方もいるかも知れませんが、カドミウムは絵画用品でも未だに使われているポピュラーな顔料でもあります。

歴史的に問題になったラジウムや鉛に比べると身体への影響力は弱いほうなので、ちゃんと保護具を着用して正しい扱いをしてれば特に問題は起こらないでしょう。

ちなみにカドミウムなどの毒性がある顔料が使われているファレホには、パッケージ内に”Do Not Spray”という記載もされています。エアブラシで使用すると塗料のミストを吸ってしまうリスクがあるのでやめてねって注意書きです。

そして、現在販売されている新しいファレホ(日本語が書いてある新ラベル)には「カドミウム」が含有されているものはすべて無くなっているらしいので安心して使ってください。

過去に販売していたファレホ(旧ラベル)には、カドミウム含有の物が実際あったそうなので、使う前に”Do Not Spray”の表記を確認して使用しましょう。

ゲームズワークショップ 「シタデルカラー」

ここ最近になって模型業界でよく耳にするようになった「シタデルカラー」。

シタデルカラーは、イギリスの「ゲームズワークショップ」という会社が販売していて、「ウォーハンマー」や「ザ・ロード・オブ・ザ・リング」というテーブルゲームのフィギュアを塗装するために作られた塗料です。

大きな模型店やウォーハンマーストアなんかで入手することが出来ます。通販だとヨドバシ.comなどで購入できます。

この塗料の特徴についてですが、水性塗料なので乾燥前なら水で道具を洗うことが出来ます。

筆塗り前提で開発されているので、ボトルキャップで穂先を整えたりし易いような特殊な形状になっています。

シタデルミニチュアという手で持って遊ぶゲームの駒で使われるような塗料なので、乾燥後の塗膜はかなり強いです。

塗料の乾燥時間も早く、10分程度でも触れるくらいまでしっかり乾いてくれます。

さらにシタデルカラーの上からラッカー塗料、エナメル塗料の重ね塗りも出来ます。その逆も可能。なんだかクレオスのアクリジョンみたいですね。

シタデルカラーは隠蔽力にも優れています。黒のパーツの上から白色を塗ってもよく発色したり、他の水性塗料にはない隠蔽力をもっています。

塗料1本あたりの値段が高いですが、高性能な塗料ですので安心して使うことが出来ますね。

希釈には「ケスト・シンナー」や「水道水」もしくは「精製水」が使用できます。

シタデルカラーには9つほど種類がありまして、初めての方はどれを買ったらいいかわからないと思うので簡単に説明します。

CITADEL BASE(ベース)
フィギュアの一番最初に塗るベースとなる色がラインナップされている。隠蔽力がとても高い。
CITADEL LAYER(レイヤー)
ベースの上に塗り重ねるのを目的に調色されたシリーズ。色の種類が一番多い。適度な隠蔽力。
CITADEL SHADE(シェイド)
影になるようなところに塗る塗料。

シャバシャバに希釈されている塗料なので、モールドに流し込んで使う。

CITADEL GLAZE(グレイズ)
シェイドと似たようなシャバシャバ系の塗料。

薄い塗料を全体に塗ってフィルターをかけて全体の色味を整えるフィルタリング系の塗料。

CITADEL EDGE(エッジ)
エッジのハイライト用の塗料。フィギュアの角に明るい色を塗ってエッジを際立たせるときに使います。
CITADEL DRY(ドライ)
ドライブラシ用の塗料。

ドライブラシがしやすいよう塗料の粘度は高め。

CITADEL TECHNICAL(テクニカル)
特殊な塗料。

「水溶性パテ」「グレイズを作るためのメディウム」「クリアカラー」など。
血糊なんかもありますね。

CITADEL TEXTURE(テクスチャー)
フィギュアの台座の土の表現なんかに使われる塗料。

塗料の中に細かい粒が入っているのでジオラマにも使える。

CITADEL AIR(エアー)
エアブラシで吹付けが可能な塗料。

エアブラシ用に希釈されているので筆塗り使用には不向き。

他にもシタデルカラー用の「アンダーコート」というスプレーもあります。

シタデルカラーの「塗膜の強さ」と「定着力」を最大限に発揮させるためには、この「アンダーコート」は必須ですね。